整備工場の親父は、私が税務調査官で無い事に胸を撫で下ろした

誰が買ってるか分からないような服を売ってる服屋
誰が買ってるか分からないような金物屋
小汚いママチャリを法外な値段で売ってる自転車屋
何時通りかかっても客の入ってない飲食店

世には、何故潰れないのか不思議な店が結構有る。
どうやって経営が成り立ってんだ?って店が。
きっとそれには、外から窺がうだけでは分からない、何かしらの理由が有るんだろう。

常連の固定客が居たりとか、学校や企業と大口契約してるとか、店は自分の所有なので家賃が要らないから経営は楽だとか、あるいは儲かってないように見えて意外と儲けてるとか、もしくは裏の仕事が有るとか。
まぁ色々と理由は有るんだと思う。

随分前、仕事で通りかかった大阪の有る所。
その時、多分道端で電話してたんだと、なんとなくそんな記憶。
道端、自動車整備工場のすぐ横で。

そこは、お世辞にも綺麗とは言えない自動車整備工場。
綺麗とは言えないって言うか、私の稲妻レッグラリアートで破壊出来そうな、まさにバラックって名前が似合いそうな、そんな自動車整備工場。
車庫入れ失敗で崩壊は必至な様相。

すでに半壊状態。
大阪大空襲からまだ復興してないの?B29にやられたの?って具合。
客の車直す前に、自分の工場を直せよって感じ。

そんな所で電話しながらぼんやりと眺めてると、私のすぐ近くでボンネットを開ける整備士の姿が。
これまた汚い格好した薄汚れた親父。
汚い格好した薄汚れた親父が、これまた薄汚れた昭和の終わりごろの、古いどうって事の無い車のボンネットを開け、何かゴソゴソしてる。
1万9千8百円くらいで売ってそうな古びた車のボンネットを開け、何かゴソゴソしてる。
どうやらボンネットのヒンジが錆びてるのか、何か動きが悪いような、そんな感じ。

シューーーー

っと、そのヒンジにスプレーをし出した整備士の親父。
手には青い缶。
ワコーズの青い缶。
そう、それはラスペネ。

似たような青い缶のWD-40しか使えない庶民には手が届かない、憧れのラスペネ。
夢にまで見た珠玉のケミカル。
貴族か、一握りの成功者しか使えないセレブリティケミカルだ。
1本1000円を超える、選ばれた一握りの勝者にしか使えない珠玉の潤滑スプレーだ。
そのポンコツ車より高いのと違うかってスプレー。

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このバラック整備工場は意外と稼いでやがるぜと。
それを惜しげもなく使ってる自動車整備工場の親父を見た私は、まるでCRCのごとく、たかがボンネットのヒンジにラスペネをシューシューしてる親父を見た私は、そこらのオリーブオイルよりも高いラスペネを、ボンネットのヒンジにドバドバと豪快に使う姿を見た私は、もしかしたらその車の仕入れ値よりも高いのと違うかってラスペネをシューシューしてる親父を見た私は、ピピンと、ピピピンと感じるのだ。
親父め、ボロい成りしてるけど意外と稼いでやがるなと。
税金払って無さそうな身なりしながら、実は意外と稼いでやがるなと。
ラスペネを湯水のように使える位に実は儲けてやがるなと。

外壁はトタンの癖に。
蹴っ飛ばしたら壊れそうな工場なのに意外と儲けてやがる。
ラスペネをCRC感覚で使える程に儲けてやがる。
もっとも、ラスペネをCRC感覚で使ってるから工場は掘っ立て小屋のままなのかも知れないけど。

ともあれ、私が税務調査官じゃ無くて良かったな。
フフフ。
と、一人心の中でほくそ笑んでた私なのだ。

時は流れ、流れ流れたある日の事。
ちょっとした用事でその自動車整備工場の前を通りかかったら、今にも崩壊しそうだったバラック整備工場は大層立派な外観の整備工場にリフォームされてて、やっぱり儲けてやがったかと大きなお世話な事を思ってみた訳だ。

重ね重ね私が税務調査官じゃ無くて良かったねと思う。

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