そして伝説へ....後編

前回のおさらい。

バイクの免許を取りたいと言い出した近所の女子高生。
ただの原付免許と言えども、公道を走る以上はリスクも有るし、時に大きな責任を背負い込む必要が有る。
ただの近所の人で有る私には、どうしろとも言えない難しい話だ。

校則では、特に禁止されてる訳では無いが、余り良い顔はされないとの事。
どうやら最近では、少なくとも彼女の通う学校では免許を取る高校生も少なくなってるらしく、もはや3ナイ運動なんてのは過去の遺物と化してるんだろう。
わざわざ禁止されなくても免許なんぞ取らんわって事だ。
少なくとも彼女の通う学校では。

そんな彼女は、ふと何かを思い出したかのように、口を開いたのだ。

バイクに関する小さな話があるのだとか。
バイクに関する小さな伝説があるのだとか。

な...何?伝説だと??

では続編。

 

彼女の通う高校には、バイクにまつわる小さな話が有るらしい。
小さな伝説が有るらしい。
どうやら、数年前にその高校の女子生徒が、制服着て大きなバイクに乗ってる所をPTAの会長だか校長先生だから見つけられて
ちょっとした問題に成ったのだとか。
と。

別に校庭を走り回ったりとか、窓ガラス割りながら校舎内を走った訳では無くただ街を普通に走ってただけみたいなのだけども、
自分の学校の生徒、或いは自分の子と同じ学校に通う女子生徒が制服着たままバイクを乗り回してるのはやはり宜しくは無いのだろうと思う。

『なんかねぇ、黒い大きなバイクだったみたいですよ』
『400とかよりもっと大きな』
『結局誰か解らなくて、伝説に成ってるんですけどね』

現在、大型二輪免許は18歳から取得は可能だ。
したがって、留年してないとして、高校3年生なら免許取得は可能なのだ。
それなら400ccよりも大きな黒いバイクを、女子高生が制服着て乗り回す事も不可能では無いだろう。
実際の所、RF400とRF900はおろか、RFとアクロスとの見分けすらも怪しい民間人の言う事なので、それが本当に大型二輪免許の必要なバイクなのか否かについては解らないけれども。
だが、ともかくその高校の制服を着た女子生徒が大きな黒いバイクに乗ってた事は確かなようだ。

制服着て乗るのはどうなんだろうとは思う。
中々に大胆な事だ。
にしても伝説って...

ここをご覧であろう大多数の男性諸君は知らないだろうが
民族衣装を着こなすスコットランド人以外はお分かりに成らないだろうが
スカートでバイク乗るって、かなりベロンベロンして乗りにくいのだ。
特に高校の制服のような、プリーツが入ってヒラヒラしてる、とてもいやらしいスカートでバイクに乗ったら、それはとても乗りにくいのだよ。
スースーするし、そしてとてもいやらしい。
そんなの別に体験しなくたった解るか。
おっと、特に体験談なんか求めて無いから、変態は黙っててくれないか。
口は閉じててくれたまえ。

一応書いておく。
私は16歳で免許を取って街中でバイクに乗ってるけれども、高校時代に制服着てバイクに乗った事は無い。
そんなヤケクソな事はしてないよ。
お間違え無く。

でも何年か前、こんな事が有ったのだ。
それは、まだ引越しする前の事。
近所の人の家でダラダラしてると、フリマだかバザーだかに出品する物は無いかと、近所の人達がやって来たのだ。
私がダラダラしてたお家へと。

既に何件か回ったらしく、引き出物セットやら季節外れの服やらウルトラマンのソフビ人形やら、戸別訪問して集めたブツはすでにちらほらと。
それらの荷物の中に、高校の制服が有ったのだ。
それも結構特徴的な、デザインに気合入れまくりな私立高校の制服。

持ち主は、何か出品してくれと来てた本人。
その高校を春に卒業したばかりの女子大生。
脱ぎたてホカホカの制服だ。

これは、バザーにはどうなの?
あまり宜しく無い気はするんだけどね

等と相談した結果、学校の制服を出すのはやはり不適切で有ろうとの結果で、その制服は却下されたのだ。
変態に嗅ぎつけられたら困るので、余り匂いの強い餌は控えておきたい。

ガラクタを広げたっぱなしでダラダラムードを漂わせたまま、ダラダラと喋ってると

『ところで、富子さんならこの制服着れるんじゃないの?』

と言う、謎の展開に。

『ん?ああ、そりゃ着れるさ
高校生の頃からサイズ変わって無いんだから』

おお、まるで昭和のエロ本のようだ
そのまま怪しい店に働きに行けそうだ

と、そんな有りがたい評価を頂きつつ、何事無く制服は着れたのだが、凄く地味だった私の高校時代の制服に比べ、今やえらく華やかに成ったもんだとしみじみと思った。

なんかお腹空いたねー。

かれこれ何時間も、ガラクタ広げたまま、どう言うわけだか私は女子高生の格好したままダラダラしてると、誰からともなくそんな声が。
あの...バザーに出す物を集め回ってんじゃないの?
イイのか?余所の家で何時間もダラダラしてて。

なんだか知らないけど、妙な高揚感に包まれた私は

『おお、んじゃ下のパン屋にパン買ってきてあげよう』
と、そんな展開に。

ちなみにその頃住んでたのは、兵庫県西宮市の山の麓。
眺めも良く、下のゴチャゴチャした所に住んでる下層民どもを見下して生きるのには良い立地だが
実際に生活するにはとても便利悪い。
スーパーやコンビニはおろか、自販機すら近くに無いのだから。
ネギ一束、コーラの一本を買うだけで、坂道をダァーーーって下った所で買い物して、ヒーヒー言いながら激坂登らねば成らない。
凍結した日にゃもうえらい事に。

だから車やバイクを持たない人はかなり過酷な生活を強いられる場所だったのだ。
帰りのヒルクライムを考えたら、ちょっとパン買いに行くのも躊躇してしまう。

同席してた奥様+女子大生は、免許の無い人や、免許が有っても車がすぐに出せない人。
バイク出せるのは私だけなので、おつかい担当は必然的に私に成る訳だ。

ちなみに今は、海抜のとても低い真っ平な平地に住んでる。
ママチャリで行ける所にコンビニにも有るし、やっぱ平地はイイもんだと思う。

穏やかな昼下がり。
私は、ヘルメットを片手に家の前に停めていたバイクの元へ。
この日はバイクで出かけてた帰りにその人の家に寄ってたのだ。

高校の制服を妙に気に入った私は、謎の高揚感に包まれたままスカートを翻してバイクに跨り、そしてエンジンに火を入れた。

1100cc空冷直4エンジンが目を覚ます。
漆黒のゼファー1100が目を覚ます。
星の数程有るゼファーのマフラーの中でも抜群に格好イイ純正マフラーから心地よいサウンドを響かせながら。
ん、やっぱりゼファーは純正マフラーに限る。
セメントでも詰まってんじゃ無いかって位にクソ重く無ければもっと良いのだけども。

流石に真夏にこの格好で何時間も乗ったら、内ももの火傷は必至なのだろうが
近所のパン屋に行く程度なら火傷の心配は無いだろう。

油断すると、台風時のビニール傘みたいに成りそうな、ミニスカートをニーグリップで押さえ込みながら
私は最寄で評判のパン屋へとスロットルを開けたのだ。
華やかな高校の制服に身を包まれながら。
得体の知れない謎の高揚感に心を支配されながら。

そんな出来事がそう言えば有ったよなぁ。
なんか、妙にテンション上がって女子高生の格好でゼファー1100に乗って近所のパン屋行って、なんかやたらジロジロ見られたよなぁって。
うわぁ、こいつマニアやでぇ
って感じのいやらしい視線を浴びまくったなぁって。
ああ、なんか有ったわぁ
はははは

と、とても見覚えの有る、もっと言えば着覚えの有る、デザインに気合入れまくりな私立高校の制服姿の近所の女子高生と玄関先で、
原チャリ免許について、そして数年前に制服着て黒い大型バイク乗ってたアホが居た伝説について、
あーだこーだと会話を交わしつつも私は強く思ったのだ。

そのゼファーに乗ってパン屋に行った件は彼女には尻が張り裂けても言えないわと。

重ね重ね強く思ったのだ。

そして、伝説へ。

あ、女子高生が免許取るとか云々って
まぁ好きなようにして貰えば結構かと。

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コメント

  1. リターンライダーあらためレボ より:

    私個人的に女子高生×バイクはありというか制服をきた富子さん×バイクがみたいですが…何か?
    やはり現役女子高生より女子高生の格好した女性がいいです。バイクでもなんでも。

  2. のりまき より:

    バザー集めで制服・・・のくだりで先の展開が見えたけど、筆力のなせる技が素晴らしく、予想以上に楽しく読ませていただきました。

    僕は下の子が就職して、「これで親父が死んでも迷惑かからんな」と思い、バイク免許を取りに行った遅咲きですが、その「バイクに乗りた~い」原点は、高校生の時見たある光景です。
    クラスメイト(私立男子校だったので、男)が、ナイスなプリーツスカート制服の女子高生を後ろに乗せて、颯爽と登場した。
    別れ際に、また後ろにナイスなプリーツスカート女子をヒラリと乗せて、ムギュッと背中に何かを感じてるはずなのに、「どうってことないよ」な表情で去っていった。

    僕もこれをしたくて親に相談したら、母親の大反対で撃沈しました。
    潜竜の生活をウン十年続け、やっと免許とバイクを手にしたのに、後ろに乗ってくれるのは、当然家内限定となり、しかもタンデマーはバーを持つ構造になっており、ムギューな体験を経験できずにこの世をおさらばしそうです。

    あ~、思い出しちゃった~

  3. 津山 より:

    落ちが読めず、ズッコケました。
    まさか伝説に。
    関係無いじゃん、高校生。
    でも、見た目だけは可愛いと思う。
    もちろん不謹慎だけど。
    ^_^