クラシック

クラシックバイクと言えば、どんなバイクを思い浮かべるだろう?

古いインディアンとか、古いノートンとか、アエルマッキやモルビデリとか、昔のZとかCBとか、それぞれに思い浮かべるかも知れないが、どれもが曖昧で明確な基準は無い。
1969年~70年代初頭のCB750と、1990年代~2000年代初頭まで作られたCB750は何が違うのかと言えば、具体的に挙げるのは意外と難しい。
何もかもが全く違うのだけど、だからと明確に何が違うのか言えば、これが中々答えに窮してしまう。

クラシックバイクの一つの基準としては、点火方式で分ける案が考えられる。
CDI以前か以後か。
この分け方なら、CB750は巨摩郡のCB750Fが分水嶺と成るか。
90年代以降の日本製バイクしか触る事の無い私にはあんまり縁の無い話なのだけど、その昔にクラシックミニを触ってた事はあれこれと悩んだ部分では有る。
バックファイヤを起こしてボンネットのすき間から火を噴き上げた事が有ったので、それを機にあれこれと手を入れて、その時に点火系も永井のフルトラに換えて点火系統の悩みは解決したのだけど、まぁ今どきの自動車はそんな事に頭を悩ます事は無い。
もっと別の事に頭を悩ませてる事だろう。

また、キャブかインジェクションかって所でも分けられるんじゃないかと思う。
概ね2010年が生存限界と成るキャブレター。
セロー250なら、2008年以降のDG17Jが分水嶺。
たかだか20~10数年程前の事だけど、ここも大きな分かれ目だろうと思う。
性能的にも見た目的にもね。

そんな、もはや今どきは船外機か汎用エンジンくらいしかお目に掛かれないキャブレター。
ミクニは他にも色んな事やってる会社として存続してるが、ケーヒンは日立オートモティブシステムズに吸収。
ケーヒンの補修パーツは今はまだ供給はされるが、FCRに次ぐ新しいキャブの開発は無い。
そりゃ無いわ。
世間様では内燃機関すら止めるかもねって言ってるご時世に、新型キャブを作れと言う方がどうかしてる。

そんな今や昔のキャブの世界だが、それでもたかだか20年程前まではそれが当たり前だったことも有って、今も需要は十分に存在している。
我が家にもセロー225と言う、キャブの終焉間近な年代のバイクが今も元気にスーパーまでの足として頑張ってくれてるし。

キースター。
兵庫県尼崎市南部、臨港線沿いの武庫川近くに有る会社。
ここは、クラシックバイクのキャブの部品と言う、とてもマニアックだが、でもとても重要な部品を作る会社。
古いバイクでキャブの部品なんか無いぜってお嘆きの方に取っては、神のような存在。
モトコンポからRZV500まで取り揃え。
それがキースター。

 

そんなキースターにはこんな製品も有る。
これは、FCRのセッティング用ジェット一式と、リペア用のガスケット類に加えて、キャブボディの摩耗を修正するステンレスプレートとスロットルバルブのローラー、そして治具がセットに成ったモノ。
これでほぼFCRの補修とセッティングを行う事が出来る。

 

古来より伝えられしFCRとの最も正しい付き合い方は、ある程度使ったらヤフオクで売り飛ばして、新品のFCRを買う足しにするのがベストだ。
これが最も正しい付き合い方だとされる。

その理由は本体の摩耗と非分解指定のジェットブロックの存在。
前者はキャブの本体がスロットルバルブのローラーによって削られるって問題。
後者は、非分解指定なので内部のクチャクチャってしたゴムパッキンが補修パーツとして出ないって問題。

通常、どちらも自力での修理は困難で、特に本体の摩耗は本体を買い替える以外に道は存在しない。
従って、まだ消耗しきる前にささっと売り払って、新しいFCRを買うのが最も正しい道なのだ。
ジャンク品のFCRは愚の骨頂だよ。

だが、この蘇生キットと燃調キットを使えば、ボディの消耗の再生と、非分解指定のジェットブロックのパッキンを含むリビルトパーツとセッティングパーツが一気に手に入る。
これで、ボディが摩耗して部屋の飾りか手榴弾ごっこにしか使えなかったジャンクFCRが蘇る、かも知れない。
ボディが何ともない人なら、燃調キットだけでオッケーだ。

Dトラ用のこの補修キットのお値段は税込み16500円。
4気筒は47300円と、部品数が多い分だけちょい高い。

Dトラ用の新品FCRは、概ね75000円。
一方中古では、ヤフオクでは30000円位で手に入るので、大体45000円位でリビルドされた、と言えなくも無いFCRが手に入る。
その差は30000円。
中々に悩ましいラインだけども、ジェットが一杯着いてくるのでお得だと思う。
中々に悩ましいラインでは有るのだけども。
でもこれならジャンク品でもワンチャン直る可能性も有るので、とてもお得にリビルト出来る、かも知れない。
まぁ、正体不明の中古FCRなんてあんまお勧めはしないけどね。
下手したらどうしようもないガラクタを掴まされる可能性も有るしね。

 

そんな素敵なキースターのラインナップには、実は既にゼファー1100も、そして私の5MP型セロー225WEも含まれる。

セローのオーバーホールキットのお値段は4000円と、非常にリーズナブル。
純正ならニードルバルブセツト(フロートバルブ)だけで3700円もするのだから、とても安い。
付属品は、パッキン類の他にメインジェット6種類とパイロットジェットが3種類。
さらに純正キャブでは入手が難しいニードル(スロットルバルブに刺さってる方)も4種類ついて来るのだから、北海道から沖縄、暑い真夏も寒い真冬も、海辺からアルプスの山の上まで、セローのベストセッティングが出せる、かも知れない。
それはあなた次第だ。
どれだけマメな性格かによる。

私の場合、そこらのスーパーに買い物に行くだけなので、そんなに細かいセッティングは気にしないのだけども、友人の一人に長野県の真ん中辺りのGoogleMAPで見たら真緑の地域に住んでる人が居るので、そんな人にはとても有難いセットだろうと思う。
標高が800~1000m近い所に住んでるので、酸素濃度は平地の90%くらいに下がっている。
走る所はさらに標高が上がる場合も多いので、高地=つまり酸素量の少ないセッティングを行う事が必要と成る。
平地では問題無くても標高が上がれば、さらに真夏に気温も上がればその影響はノーマルバイクでもちょっとした問題と成りえるのだ。
その昔にはTWに高度補正機能なんてのも付いてたのだけど、雑にちょっと薄くするって機能はあちこち走る人には有用かも知れないけれども、高地に住んでる人なら最初から薄めのセッティングにしておいた方が良いのは言うまでもない。

平地に住んでてそこらのスーパーにしか行かないような今の私の場合、セローのキャブセッティングが必要有るのか否か、ってのはちょっとお答えしにくい所では有るのだけど、実際には夏と冬ではセッティングを変えてやった方が良いのは言うまでも無く、実際にその昔のセローが主力だった頃や、林道ごっこに連れ出される事が多かった頃にはマメにやってたもんだよ。
でも、セッティングについてはともかく、そろそろニードルバルブ(フロートバルブ)が怪しく、ジェットニードルの摩耗も怪しげなこの頃なので、そろそろここらにも手を入れてやろうか、とは思ってる。

それにしても、5MPもすっかりクラシックバイクの仲間入りしたもんだねと、ちょっと複雑な気持ちでそう思うばかりだ。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy