赤い少佐も言っていた

 

どうしようかなぁー
買おうかなぁー
やっぱ止めておこうかなぁー

と、お尻をムズムズさせながら考えてた挙句、遂に買ってしまったパトリックのスニーカー。
ただのスニーカーに15000円はどう考えても高いとは思う。
思うけど、確かに思うんだけど、この歩き心地は流石にパトリックだと思う。
何がどうだと言われても、それはそれで困ってしまうけど。

たまには歩くのも悪く無いか。

私は、真新しいスニーカーで、夜明け直後の爽やかな街を歩いた。
すぐ足元に、こげ茶色のしし唐的物物体Xが転がっているのも気付かずに。
今そこに地雷が置き捨てられてる事など露知らず。
新品の白い革製スニーカーの着地地点に、こげ茶色のしし唐的な物体Xが転がっている事など知る由も無く。
恐らくはノラ猫ちゃんが産み落としたで有ろうしし唐的な物体Xが、新品の1万5千円もするスニーカーの着地点に捨て置かれてる事なんて知る訳も無く。

うどん屋さんに行った時の事。
職場の人間の何人かでちょっと遠出した際に、セルフのうどん屋さんに立ち寄った時の事。

あ、仕事してた頃なので、もう何年も前のこった。

1.店に入ったらお盆を持ってカウンターへ行く
2.うどんを注文する
3.トッピングを取る
4.サイドメニューを決める
5.レジで清算

良くあるパターンのセルフのうどん屋さん。
大手だろうと個人の店だろうと、大体こんな感じだろう。

『かけうどん』

私の前に並んでた同行してた新入社員の若者は『かけうどん』を注文した。

別に新入社員が上司より先に注文するなとか言う気は無い。
ビールを注ぐときはラベルを上にしろとか、そんな訳の解らない事も言わない。
と言うかそもそも会社の人間連れて飲みになんか行かないけど。
飲めないし。

だが、就業時の昼食として、かけうどんを注文するのは非常に正しい選択と言える。
何食べようが好きにすりゃイイんだけど。
スティックパンだろうと、カニカマだろうと、うな重だろうと、チーズフォンデュだろうと、何だって好きな物食べてれば。
だが、少なくともこの場でカレーうどんを選択するのは間違いと言えるだろう。
食後すぐに人と顔合わせて話をする予定の有る身。
歯磨きがし難い状況においてカレーうどんは良い選択とは言えないだろう。

イイぞ。
若者よ、その選択はとてもイイぞ。

私は新入社員のその正しい選択に、心の中で賛辞を送った。
それで正解だ。
と。

『冷たいのと温かいのと有りますが』

と、聞いてくる店員さん。

冷たいかけうどんなんてあまりピンと来ないけれども、実は香川に行っても普通に見られる意外と一般的な組み合わせ。
中には、冷たい麺に温かい汁かけたり、逆に温かい麺に冷たい汁かけたり、なんか最近のうどんの組み合わせは混沌としている。
中々にカオスだ。
混沌なる饂飩の世界。

ちなみにその店は、単に冷たいか温かいかだけ。
特にややこしい事はやってない。
ゴルゴンゾーラやメープルシロップのトッピングなんかも無い。

『冷たいのと温かいのと有りますが』

と、聞いてくる店員さん。

すると若者は答えた。
即座に答えたのだ。

『あ、ホットで』

と。

.......!
何??ホットだと??
かけうどん、ホットのオーダーだと??
その言葉のチョイスはどうなんだ??

ベンチャー企業の社長でも選ばない言葉のチョイスだろう。
ホットって....

異物混入事故を起こした食品会社の社長が、お馴染みの晒し者会見で『アイムソーリー』なんて言わないのと同じく
ベンツを買った時にヤナセのディーラーの人が『サンキュー』と言わないのと同じく
やはり適切な言葉のチョイスが有るだろうと思う。
外国資本の企業の人間で有ろうと無かろうとも。
意味合いは通じても、不適切な言葉の選択ってのが有るだろう。

ホットって....
うどん屋の店員さんもそりゃ固まるわ。
ホットって....

その若者言葉に少々心を乱されつつも、私は彼と同じく『かけうどん』を注文した。
半径1mに流れる不穏な空気を感じながら。
....ホットって....

季節は初秋の頃。
まだ冷たいうどんは十分アリな季節。
十分にアリだろう。
よし、今日は冷たいうどんにしておこう。
ちょっと今日は冷たいかけうどんって奴にチャレンジしよう。
実は意外と食べた事無い。

私は答えた。

『冷たいのと温かいのと有りますが』

と、聞かれるまでも無く、答えた。
聞いてくるのはハナから解ってるので、わざわざ同じ事言わせるのも面倒だろうから先に答えた。

『かけうどん ア....』

ハ!!っとする私。

ハ!!っとする店員さん。

ハ!!っとする私の後に並ぶ同行者。

特に何も思ってない新入社員。

何をシカトしてんだ?
そもそもお前のせいだろうが。
お前がホットだなんて言うから、そんな地雷を仕掛けるのが悪いんだろうが。
だから思わず口から『ア』なんて言葉が出てきたんだろうが。

『かけうどん ア....ア.....温かい方をお願いします』

全ての思いを飲み込み、私は場を取り繕ったのだ。
本当は冷たいのを食べたかった事なんてこの際構いやしない。

私は地雷を踏まない、踏んだりしない。
かけうどんのアイスなんて言わない、言いやしない。
私は地雷を踏まない、踏んだりしないんだ。
うどん屋でも新入社員のし掛けた地雷なんて踏まない。
そして道端でもモンキーバナナなんて踏まない。
絶対に。
絶対にアイスなんてうどん屋で言わない。
そんな地雷は踏まない。
絶対にだ!

踏まなければどうと言う事は無い。
赤い少佐も似たような事言ってた。

追伸:今度機会が有れば冷たいかけうどんを注文しようと思う。
地雷を踏まなければね。

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