絶望した!
私は絶望した!
だって、ふと気付いたらハマチバッグが無かったんだから。
電車で無くしたか、駅のホームで無くしたか、それとも途中でハマチ好きのエイリアンにさらわれてたのか?
記憶がハッキリとしないので良く解らないのだけど、ハッキリと解ってたらそもそもバッグを無くしたりしないわと言ってみたい気分だ。
何処で無くしたかぁ!ハッキリと解ってたらぁ!そもそもぉ!バッグを無くしたりしないわぁぁ!!!
と。
その時、私はさらに大きく絶望した。
そのエコバッグの中に、免許証を入れてた事をハ!!!っと思い出したのだから。
うぉぉぉ、免許無くしたぁ!ゼツボーしたぁー
ハマチだけなら諦めも着く、ハマチは無くてもイモが有ればコロッケは作れるので諦めはつく。
でも免許はマズい、マズ過ぎる。
なんでそんな所に入れてたかは良く解らん。
多分パスケースに入れてたお金でハマチ代を支払った後、ポイっとパスケースをエコバッグに入れたんだと思う。
そんな所に大事なモノを入れるなよって話なんだけど、重ねて言うが人は100%正しい行動が取れる訳では無い。
うっかりミスや判断ミスなんてマンモス追いかけてた頃の洞窟から宇宙ステーションの中まであらゆる場所で起こり得る。
youtubeのお馬鹿動画だけの話では無いのだ。
だからゼロハリバートン持ってるんだから、貴重品はそっちに入れとけって話はごもっともだけど、そんな事は今更言ってももはや手遅れなので聞きたく無い。
で、交番へ届けに行った訳だ。
やっちまったゼ的な絶望感にお尻を叩かれながら重い足取りで。
交番のお巡りさんは手慣れたモノ。
落とし物の届けなんて日常茶飯事だろうから。
半泣きに成りながら、落とし物しました的に泣きついて来る鬱陶しい人間の相手なんて日常の事。
ケンシロウにとってのモヒカン男の襲撃くらいに日常の一こま。
あ、またモヒカン?
ってな感じに日常。
『何入ってましたか?』
と、お尋ねになるお巡りさん。
『えっと...ハマチ....』
流石の百戦錬磨のお巡りさんとて、仕事帰りにハマチを落としたと言って来る訳の解らない人間はちょっと珍しかったようで。
え?って。
横で別の人を相手してたお巡りさんも、え??って。
そのお巡りさんに相手して貰ってたお兄ちゃんも、え???って。
『ハ...ハマチですか?....で、他には?』
ここで最大のミスを犯してしまったんだ。
すぐ後に、パスケースって言うべきだったと凄く悔やむ事に成ったんだ。
私とした事が、なんて愚かな判断ミスをと悔やんでも悔やみ切れない。
それはハマチのせいにでもしておく。
ハマチ野郎のせいだと言っておく。
ハマチの他に財布を落としたと言ってしまった事は、ハマチによる心の動揺が原因なんだと。
ああ財布ですか、現金は幾らで他に何が入ってるのか?とお巡りさん。
『えっと...免許証と、バンドエイドと、現金は250円程...』
え?って。
横で別の人を相手してたお巡りさんも、え??って。
そのお巡りさんに相手して貰ってたお兄ちゃんも、え???って。
に...二百五十円ですか....
ハマチと免許とバンソーコーと現金250円ですか....え???
そりゃ苦笑いの一つも出るわー。
ああ、そりゃ仕方無いわー。
イイ歳した大人が、ハマチと250円入りの財布落としたとやって来たら、そりゃ苦笑いの一つも出てしまうわ。
違う、違うんだ
財布はちゃんとゼロハリに入ってるんだ。
小学生じゃ無いんだから、250円しか持って無い訳じゃ無い。
流石に250円しか持って無い訳じゃ無い。
と思っても後の祭り。
財布で間違ってる訳じゃ無いしね。
パスケースって言えばパスケースだけど、財布って言えばやっぱり財布なのだから。
だから特に問題なんか無い。
ただ、全財産250円だと誤解された事以外に間違いなんて一つも無いんだから。
終始微妙な空気のまま届けは終わり
まぁ見つかったら連絡するよってな感じで適当に処理されたのだった。
ハマチと250円だからそりゃ無理も無いか。
私は絶望した。
ただただ絶望した。
消息不明の免許の行方に、そして同じく消息不明のハマチの行方にも、私はただただ絶望した。
勿論今も出てこない。
7年程経った今も出てこない。
末尾が『0』だった頃の免許証も、そしてあの日ハマチコロッケを作ろうと買ったハマチも。
勿論今も出てこない。
お陰で免許の末尾が『1』に成った今もまだ出てこない。
まぁ今更7年前のハマチが出てこられても、それはそれで困ってしまうんだけど。
多分勝手にブリには成ってないだろうし。
ミンチには成ってるかも知れないけれどね。
ハマチマハチ書いてたら、ハマチって何だったっけかと軽く思ったりもしながら、この長いお話はこれで終わる。
では皆様、ハマチには気をつけよう!
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