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ジンベイザメをホエールシャーク等と呼ぶ欧米人のセンスの無さ

 

この日、私は一人で自転車に乗っていた。
この日って何時やねんってのはさておき、たまには私も外で自転車に乗る。
三本ローラーinベランダばかりな訳では無い。

自転車と言ってもいつものママチャリでは無く、勿論の事ロードバイク。
そこそこのフレームにそこそこのコンポを組んでる、エンジン次第ではそこそこ以上に走る立派な自転車。
ん、エンジン次第では。
ああ、それは大きなお世話だね。

巡航速度と書くと何かと語弊が有るのでも控えておくが、ともかく25km/h~30km/h程度の速度でもそこそこな時間ペダルを回してると、ふと気付くと何時の間にか結構家から遠く離れてたりする。
思えば遠くに来たもんだと、小休止して水割りアクエリアスをグビグビと飲んでると、ふと重要な事に気付いたのだ。

1.財布持って来てない
2.ボトルがそろそろ空に成りそうだ
3.日が昇ってかなり暑くなりそうだ
4.お腹すいた
5.どうしよう

どうしようって言われても困るんだろうけど。
でもどうしよう。

 

ここで取るべき正しい選択はUターンして家に帰る事。
間違っても、先に進む選択を取るべきではない。
大学生の思い出作りなら、お腹空かせながら先に進むと何かしらのハプニングにも出会えて、何かしらの思い出も作れるのだろうけども、別にそんなの求めて無い私は、ただただ平穏に家帰る事しか考えられない。
思い出なんか要らない。
僕はおむすびが欲しいんだな。

ボトルの中身は1/4くらい。
生ぬるい水割りアクエリアスでも、あるだけ上等な代物。
だが最悪無ければ無いで、水くらいなら手に入る。
ペプシくれとか贅沢言わない限り、水くらいならそこらの公園ででも手に入る。
オーストラリアの砂漠でも無ければ、核戦争後の荒廃した街の片隅でも無いのだから。
水くらい何処でも簡単に手に入るさ。
幸いにして、トゲの生えたモヒカンバギー男と水を取り合う事も無いのだから。

問題はお腹空いた事だ。
これが中々の問題。

団子と引き換えに桃太郎さんの傭兵に成る訳にも行かないし、かといってやさしいおばちゃんがおむすびくれたりもしない。
たまたま出合った漁師に、たまたま準備してた漁師鍋をご馳走に成るなんて、テレビ東京の旅番組みたいな気の効いた偶然は無い。
って言うか漁師なんか居ない。
ああ....お腹すいた。

直ぐ横を走る車のマフラーが竹輪に見えてきそうな、そんな空腹による幻覚に襲われる私に、新たなる試練が降り注いだのだ。
それは虫。
名は知らない、小さくて大量に集団作って飛んでる鬱陶しい虫。

花粉症持ちのくせにマスクは嫌いな私も、この時ばかりはマスクが欲しくなる。
自転車でマスクしたら凄く苦しそうな気もするけど背に腹はかえられない。

時折現れる名も知らない小さな虫の大群に翻弄される私。
避けるに避けれないので、ただ突っ込むしか道は無い。
それ以外に手段は無い。
車道走ってるので避けたら危ないし。

空腹、水不足、気温上昇、財布忘れた、虫が鬱陶しい...

黙示録のラッパ吹きのごとく、幾つもの災厄に見舞われたながら、ただひた走る私。
がんばるアタシって素敵☆
なんて微塵も思わない。
ただただ、財布忘れた事をぐずぐずと悔やむのみ。
ぐずぐずぐずぐず悔やむのみ。

SRのキャプトン風マフラーがキリタンポに見えてくるかの、そんな空腹による幻覚に襲われる私は、その時一つの映像が脳内に鮮明に映し出されるのを認識した。
空腹と、時折現れる正体不明の小さな虫の大群に翻弄されるワタシの脳内に、一つの映像が脳内に鮮明に映し出されるのを認識したのだ。

ジンベイザメ3匹による捕食映像 PREYING OF WHALE SHARKS
 

それはジンエイザメ。
英語ではホエールシャーク等と言うセンスの欠片も無い名前を着けらたジンベイさんの映像。
大口を開けてプランクトンを捕食するジンベイザメさんの映像。

は!もしや、この鬱陶しい小さな虫を食ってしまったら一石二鳥なんじゃないか?
家に帰る頃には空腹も満たされるんじゃ無いか?
アタシ、まだまだ走れるんじゃ無いか?
象のウNコ汁を飲むベア・グリルスに比べたらまだ幾らかマシでは無いか。

さぁ、口を大きく開けて虫の大群に突っ込むのよ、富子!
たんぱく質を補給するのよ。

そんなグッドアイデアを思いついた私は、静かに歩道へ自転車を乗り上げ、頭を冷やすべく木陰で再びの小休止を行うのだった。
お腹空いたらロクな事思い浮かばないわと自責しながら。
ただただ財布を忘れた事をグズグズと悔やみながら。

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