ドゥカティが作る新たなトレンド

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自転車レースにおいて、空気抵抗を減らす事は非常に重視されるポイントで有る。

ttbike

これは、サイクルロードレースの中で、タイムトライアルと呼ばれるレース専用の自転車。

シートポストの角度からして違う、通常のノーマルバイクとは全然違うバイクなのだけども、一番の違いはやっぱりハンドル。
DHバーと呼ばれる、より深い前傾が取れるハンドルと、それに最適化されたシフターが組まれる。
風除けの無い単独走行において、この空気抵抗の軽減は非常に重要なのだ。

そして、外見上の違いとして挙げられるのがホイール。
山岳TTでは仕様は人それぞれに分かれるが、平坦主体のタイムトライアルでは、概ねフロントはディープリム、リヤにはディスクホイールが組まれる。

TTでこんなデザインのホイールを使う理由は、それは勿論これまた空気抵抗を減らす為。
ホイールが高速回転する事により、スポークによる空気抵抗が問題に成ってくるのだ。

最高速が80km/hにも手が届くトップクラスのTTスペシャリストのパワー。
その最高速域では周長=2100mmのタイヤが何回転してるだろう?
平均速度40km/hの場合では周長=2100mmのタイヤが何回転してるだろう?

面倒なので計算しないけど、まぁともかくえらい勢いで回転してるって事だ。
この回転数になれば、たかだか針金と言っても空気抵抗がバカに成らないのだ。

その為取られる手法として

1.スポークの数を減らす
2.スポークを扁平形状にして空気を逃がす

そしてもう一つが、スポークを短くする
と言う事。

このディープリムホイールの目的は主にその3番目。
リムを分厚くしてスポークを短くし、スポークで発生する空気抵抗を軽減させると言う事。
リム形状で空気抵抗が小さくなるとか、重量増が慣性力を強めて巡航しやすいとか、ホイールの強度が上がるとか副次的な効果はあれこれ有るけれども、主にはスポークを短くして空気抵抗を小さくしようってのが本筋。

その究極がディスクホイール。
空気を掻き乱すスポークが無いので、回転方向に対する空気抵抗は抜群に小さい。
反面、重量面では不利なので山岳TTでは使われない場合が多い。
また、横風には弱いので、屋外レースではまずフロントにディスクホイールが使われる事は無い。
屋内のトラックレース専用のホイールだ。

だからTTではこのホイールを選ぶの一般的な訳だ。
ディープリムホイール+ディスクホイールの組み合わせが。

ちなみに、リヤのみの装着で有ってもディスクホイールは横風の影響を受けるので、集団で走行する通常のレースでは使用禁止。
あくまで、自分一人、もしくは自分達のチームだけで走るタイムトライアルだけに許されたレギュレーションだ。

ducati-disc-rear-wheel

そんなディスクホイールがMotoGPに姿を現したのがこのサンマリノGP。
テストライダーのミケーレ・ピロのマシンに装着されたのが多分GP界では初だろうと思う。
記念すべきディスクホイール元年だろうと思う。
多分。

組んでるのは勿論リヤだけ。
見てくれの斬新さと物珍しさしか省みないアメリカンカスタムバイクの世界ではフロント用のディスクホイールなんてのも存在するが、真っ当な人間は勿論フロントにこんなホイールは履かない。
勿論、このドゥカティにもリヤだけだ。
そりゃそうだ。

メリットを求めて何か新しい事を始めると、そこに必ずデメリットが顔を覗く。
スロットルバイワイヤにせよウイングレットにせよ。

結局、何かしらの看過できないデメリットの為、このディスクホイールはフリープラクティスのみで再びお蔵入りと成ったのだが、今後はもしかしたらコレが新たなるトレンドと成るのかも知れない。
ウイングレットに続き、ドゥカティが作る新たなトレンドと成るのかも知れない。

正直、格好悪いからどうかなぁとは思うけれど。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy