ミシンで革を縫ってみよう

ミシンで革を縫ってみよう

レザークラフトと言えば目打ちで穴を空けて手縫いする光景がお馴染みだが、今回はミシンで縫ってみようって今回。
だが、それには幾つかの条件が必要なんだよってお話。
暑いからバイクなんて乗ってられないぜって方はお付き合い頂ければと。

 

使用するミシン

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革の縫製には、腕ミシンと直線縫い用ミシンの2つを使い分けるのが普通。
場合によっては使い方さえ良く解らないミシンも登場するが、通常は腕ミシンと直線縫い用ミシンの2つ有れば事は足りる。

↑のミシンは大昔の工業用ミシン。
普通の直線縫い専用ミシン。
分類上は職業用とされるが、モーター分離式なのでここでは工業用と表記しておく。
5mm程度のサドルレザーなど苦も無く縫え、殴っても蹴ってもムーンサルトプレスしてもビクともしない鋳鉄製のボディを持つパワフルミシン。
見るからに古いが、細かい部品さえ入手出来るなら、ボディ自体は500年後でもそのまま使えそうだ。
それくらいに強いが、いかんせん一度設置したらビクともしない程に重いので、一般家庭に置くのはいまいち現実的では無い。
流石にコレを一般のご家庭に導入するのは無理が有る。

なお、これは一番スタンダードな下送り=送り歯が下にしか付いてないタイプだが、今どきは総合送りと呼ばれるあっちこっちがガチャガチャ動いて革や布を綺麗に送るミシンを使う事が多い。
下送りミシンで革を縫うと送り歯による傷が入るので、ビジネスとして考えたら品質はちょっと厳しいか。

腕ミシンってのはこんな奴。
直線を縫うのは中々に難しいけれども、タイトな箇所の縫製にはこれが無いとちょっと難しい。
この腕ミシンも今どきは総合送りが主流で、総合送り腕ミシンが無いとビジネス的には難しいのだけど、総合送り腕ミシンってのは扱うのは中々に難しかったりする。
慣れない内はまっすぐ縫うのさえ苦労するかも。

また厚物専用ミシンは厚物しかまともに縫えないので、ズボンの裾上げしたいとか、お子様グッズを作りたい、なんてママの要望は応えてくれない場合が有る。
3mmのグローブレザーで通園バッグを作るのならこれらのミシンは必要と成るが、そんなワイルドな幼稚園児はあんまり居ないので、普通はこんなミシンなんて家庭には要らない。

と、あれこれ長々と書いたけれど、一般のご家庭で鋳鉄製ミシンを置くのはどう考えても現実的では無いので、余程気合の入った人以外はもうちょい現実的な選択を取りたい訳だ。

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選択はこの2つ。
このクラスでは一番人気のJUKIのシュプールシリーズか、ジャノメのコスチューラシリーズ。
作動音や滑らかさではJUKIが上回るが、針板が工業用ミシンに準拠してるコスチューラは発展性が高いので、個人的にはそっちをお勧めしたい。

職業用ミシンと呼ばれる、モーターと本体が一体化した軽量ミシンが現実的な選択だ。
他にもブラザーやベビーロックからも出しているけれど、ともかくこのクラスの直線縫い専用ミシンが現実的な選択と成る。
軽量と言ってもアルミ製のフレームとボディを持つので、常識の範囲内なら耐久性に問題は起こらない。
3交代364日操業するなら多分あっという間に消耗するだろうけど、一人で使う分には多分そうそう壊れたりはしない。

これなら有る程度の革も縫えて、ジーンズの裾上げも帆布で通園カバンも縫えて、やる気次第でアロハもワンピースも縫える。
これさえ有れば、常識的な範囲内なら大体は縫える。
褌からレザートートバッグまで、幅広く縫える便利なミシンだ。

コンパクト収納!とは行かないものの、これくらいなら家庭でも十分に扱えるサイズだと思う。
流石にこれより小さな家庭用ミシンで革を縫うのは無理が有るので、革を縫うならこのクラスから選ぶのが正しい選択だ。

 

縫えるものは?

これら直線縫い用ミシンで縫えるものは、基本的には平なモノに限られる。
パワーの問題では無く、そもそもミシンの形状による問題。
帆布に革のテープを縫い付けるとか、平な革と革を縫い付けるなど、使えるのはそんな場面。
革で犬の首輪や時計バンドを縫う場合などにはバッチリ使える。
一方、サドルレザーで筒形のバッグを縫うとか、バイク用のサドルバッグを縫うとか、トランクケースやランドセルなどの立体形状を縫うのは無理が有る。
ぺったんこのトートバッグなら縫えるが、立体形状のバッグはちょっと無理が有るな。
そんなのを縫いたい人は、頑張って手縫いするか腕ミシンを買おう。

縫える厚さは5mm程度まで。
モーターのパワーやフレームの強度の問題よりも、押さえ金を上げれる物理的な高さの問題なので、それくらいが現実的。
帆布に革を縫い付ける場合なら、縫える革は3~4mm程度。
革と革を縫い合わせるなら、1.5~2mm程度の革同士が限界と成る。
通常はその厚みで大して困る事も無いが、鉈や斧のケース(シース)を作る場合かなりゴツい革を使うので、このクラスの職業用ミシンでは、強度的にも物理的な押さえ金の高さの面でも扱うのは無理が有る場合も。

 

革を縫うミシン選び最大のポイント

このモーター一体型職業用ミシンを選ぶ上で、革を縫いたいなら非常に重要な部分が有る。
それはここ。

使用する針の種類。
ミシン針と一口に言っても数えきれない程の種類が有るのだけど、モーター一体型の職業用直線縫い用ミシンの場合、一般的には工業用針のDBx1、或いは家庭用のHAx1かHLx5を使うのが一般的。
HAx1とHLx5は針の強度が違うだけでHLx5の方が強度は高い。
良く縫う人はそっちを使うのがお勧めだ。

DBx1とHLx5の違いは、針のミシンへの取付部分の形状の違い。
針のステムが丸い工業用のDBx1に対して、家庭用のHLx5は一部分が削られているので針の向きが確実にセットされる為、針の向き間違える心配が無い。

洋服しか扱わない場合はどちらでも構わない、と言うよりもセットしやすいHLx5の方が良い場合も有るのだけど、革を縫う場合は間違いなくDBx1仕様が正しい選択と成る。
買った後から針の仕様を変えたい!とか思っても無理が有るので、そこは買う前にちゃんと考えておこう。

 

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革を縫う場合に使うミシンは間違いなくDBx1仕様が正しい選択と成る。
その理由は、革専用ミシン針のDBxF2は、工業用のDBx針仕様のミシンでしか使えないって事。
残念ながら、このミシン針はHAx1/HLx5仕様のミシンでは使えない。

DBxF2の最大のウリはステッチの入り方。
このギザギザした手縫い風の独特のステッチパターンは、DBxF2を使わないと実現が出来ない。
単に革を縫うだけなら、ミシンのパワーさえそこそこ有ればどんなミシンでも家庭用レザー針で縫えるのだけど、この色っぽいステッチを求めるならDBxF2は絶対に外せないポイントだ。
したがって、JUKIのミシンを始め職業用ミシンと呼ばれるミシンは数多いが、革を縫うのを前提とするならDBx1仕様が正しい選択と成る。
HAx1/HLx5仕様のミシンは自動糸通しが使えるのだけど、DBx1仕様なら針の選択肢が広がるので、良く考えてチョイスしたい。

 

使用するミシン針と太さ

前述したようにレザークラフトで使う針はDBxF2の一択。
この斜めに入ったステッチが得られるのはこの針だけなので、特にステッチを魅せつけてやりたい場合にはこれは決して外せない点だろう。
逆に、ステッチを目立たせたくない場合は、ステッチが真っすぐ入るDB×F17を使う。
革を縫うならこの2種類有れば事は足りる。

職業用ミシンで使用できる針のラインナップは9~18番。
19番~25番までの太い針も存在するが、そのサイズの針はステム径が2.02mmと太いタイプと成り、一般的な職業ミシンでは使えないので注意しよう。
この太い針は厚物向けの工業用ミシンで使う針なので、職業用ミシンでは使用不可と成る。
ベビーロックの職業ミシン=エクシムプロ EP9400LS 極は厚物用と銘打ってるが、これも結局は#18までしか使えないのでJUKIやジャノメと大差は無い。

これらの使用する針の選択は、縫う対象と成る生地や革と、使用する糸によって決まる。
革の縫製で一般的に使われるフィラメント糸は、ミシン糸としては太めの#8で90Tex、もう一段階細い#20では60Texが標準的な太さ。
Texとは糸の太さの単位で、1000m当たり1gの糸が1Tex。
90Texとは、1000m当たり90gの糸って事。
ちなみに糸の太さは
#90<#60<#30<#20<#8
一般的にはこの順に太くなる。
#90はロックミシンや薄い生地、#60はシャツを始めとして洋服全般、#30~#20はジャケットやジーンズ等の他に鞄の縫製には一般的な太さ。
革の縫製でステッチをアピールさせるには#8。
さらに太い#5、#1、#0も有るけれども、その太さに成ると職業用ミシンで使うのはちょっと難しい。
糸調子が取るのが難しい問題も有るが、そもそも太い糸に適合する太い針が使えないのがその理由だ。

ミシン針大手メーカーのオルガンでは、90Texの糸に対応したミシン針は#14~。
#18の針は110Texに対応するので、フィラメントの#8の他にスパンの#8(105Tex)も使える。
だが、さらに太い#5の糸は150Texなので、対応する針は#22~#23に成る。
前述したように#19以上はステム径2.02mmの針なので、職業用ミシンでは使えない。
それが、職業用ミシンでは、糸は#8までしか使えないって理由。

何かややこしい話だけど、困ったら#18使っておけば良いと思う。
フィラメント糸なら#8を十分にカバーしてるので、大体は問題無く使えると思う。

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ミシン糸

使用するミシン糸は、フィラメントの#30、#20、#8が標準。
前述したように、針の太さの問題により#8より太い糸は使えない。
#5や#1、或いは#0なんかは凄く存在感の有るステッチが得られるが、残念ながら職業用ミシンでは使用できない。
#5ならギリ....どうかなぁ。

ステッチを目立たせたい場合は#8。
ステッチを目立たせたくない場合、または内側に隠れて見えない場合は#20か#30を使う。
全て#8で縫っても構わないが、#8と#20とでは1.5倍ほど値段が違うので、コスト面で見たら#8で全部賄うのはちょっと不経済。

下糸は#20か#30。
上糸が#8の場合でも、下糸は#20を使うのが一般的。
厚物用ミシンでは倍釜と呼ばれる大型ボビンが使えるのだが、職業用ミシンでは存在しないので糸巻き量の面でも下糸は#20か#30が普通の選択。
上糸と下糸の太さが違っても問題は無く、#30でも糸の強度は十分に有るので、薄い革や柔らかい革なら#30で強度の面でも問題には成らないので心配は無用だ。

左の白い糸がフィラメント。
テトロンと呼んだりもする、つるつるしたミシン糸。
滑らかで仕上がりも綺麗でミシンに糸くずが溜まらないメリットは大きいが、糸巻きから勝手にホロホロと解けてきたり、しっかりと返し縫いしないと縫い目が解けたりと扱いは少々難が有る。

また、このフィラメント糸を接着剤でコーティングしたボンド糸ってのも有って、耐熱性が高いので高速縫製時の摩擦熱で切れる事は無い為、鞄の縫製工場ではもっぱらボンド糸が使われる。
摩擦熱で溶けるってどんなスピードなんだろうかと思うのだけど、きっとあの大気圏に落ちたザクと同じくらいに凄いスピードなんだろうと思う。
でもこのボンド糸はパッキパキなので、慣れないとキンク(折れ曲がり)しやすくて癖がちと強い。

右の黄色い糸はスパン糸。
一般的に家庭用ミシン糸と言えばこちらを差す扱いやすい糸。
扱いやすいのだが、一般的にはジーンズ用の#20までなので、革を縫うにはあまり使われない。

 

まとめ

使用ミシン DBx1仕様のモーター一体型職業用ミシン
お勧めはジャノメのコスチューラシリーズ。
DBxF2、DB×F17 #18

フィラメント #30、#20、#8

 

さらに続く....かも知れない。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy