タップを垂直に立てるコツ
慣れなきゃ意外と難しいタップ立て。
今回は、どうしてもネジが斜めに切っちゃうアナタにお贈りする、ハンドタップで垂直にネジを切るコツ...のお話。
私の使ってるのは、SKCのTタイプタップハンドル(T-20&T-30)に、何処かのメーカーのJISマーク入り中タップ。
特にどうって事の無い普通の道具。
個人的な好みでラチェットタイプは使わない。
ホーザン(HOZAN) タップハンドル 適応タップ3~6mmφ K-437A 新品価格 |
1.下穴はボール盤で空ける
これが大前提。
ハンドドリルで真っ直ぐに空けるのはかなりの困難を伴うので、ボール盤を使うのがやはり大前提。
ココが曲がってたら絶対どうにも成らないとても大事なポイント。
こればかりは譲れない。
だから、ボール盤で無理せず丁寧に真っ直ぐ穴を空ける。
あまり無理したら、家庭用ボール盤は歪む、ていうかテーブルなんてグニャグニャなので、優しく空けてやるのが大事。
これが大前提と成る。
下穴の基準値は以下を参考に。
M4:φ3.3 M5:φ4.2 M6:φ5.0 M8:φ6.8 M10:φ8.5
これがメートル並目ネジの下穴径の基準。
基準ね。
ばら売りのドリルなら3.3mmも6.8mmも手に入る。
ストイックなまでに基準値にこだわる方はお買い求めを。
0.5mm単位でのセットしか持ってないなら、近似値でもまぁ大丈夫じゃ無いかと。
2.面取りをする
穴の面取り。
ネジ切り前にやっておくとタップも立て易い。
3.ガイド用ナットを用意する
今回使ったのはフランジナット。
指でクルクルと容易に回せるように中タップを通しておくと使い易い。
今回はそこらに転がってたフランジナットを使ったけれど、こんな四角ナットを持ってればそっちの方が良いと思う。
4.タップのセッティング
ナットのお尻から、タップの先っちょがちょっとだけ出る程度にセットする。
5.ネジ切り
フランジナットのお陰で真っ直ぐに立つので、タップが傾かないようにナットをギュっと抑えながらネジを切る。
ナットとタップの噛みあわせが硬いとやり難いので、事前にクリクリと軽く回せるようにタップを通しておくのが大事だ。
潤滑もお忘れなく。
ココで使うナットは、普通のナットよりも自立しやすいフランジナットが良い。
上記した面積の広い四角ナットを使えばもっと安定する筈だ。
これで概ね真っ直ぐに切れるように成るかと思う。
この方法は、その昔に何処かの工場にロボットを設置した際に一緒だったおじさんが使ってた技。
穴だけ空けてネジを切り忘れてた何処かのウッカリさんの尻拭いの為、現場でネジ切りと言うスパルタンな作業をするハメに成った際におじさんが使ってた技。
巨大な洗浄機の上の方だったので、大きな脚立に乗ってさらに身を乗り出しながらの作業。
真っ直ぐタップを立てるのが非常に困難な状況だった。
きっと私がやってたら斜めってたと思う。
こんな所でヘタしてタップを折ったら大惨事だ。
このナイスな技にちょっと感動しつつも、意外と使う機会が無かったのだが、今になってやっと役に立ってくれて良かったわと思う。
お話を1本書ける、と言う役に立ってくれて。
もっとも、記事は1本かけても、クリーンルームでタップなんか使ったのがバレたら始末書を書無きゃ成らないので、その筋の方はねじ切りはくれぐれも忘れないようどうぞご注意を。
スコヤで確認しながらネジを切る方法、ボール盤でネジを切る方法、タップガイダーを使う方法、由緒正しくタッピングボール盤を使う方法...等
とネジを切る方法は色々有るけれど、平面に簡単にハンドタップでネジを切る方法として悪く無いかと思う。
これが使える箇所、ならばね。
円筒形の部品の横にタップを立てるってのはこの方法では無理なので、そんな場合は....勘と目分量に定規でも使って頑張って頂戴。
実際、慣れればハンドタップ一つで普通に真っ直ぐネジは切れると思う。
でも通常、中々慣れる程にネジは切らないと思うので、そんな方は是非どうぞ。