ヨーロッパの二輪免許制度

ミシュランのパイロットストリートからパイロットストリートラジアルへと履き替えた。
NINJA 250の話。

一時は死にかけた250ccクラスを復活に導いた偉大なバイクの一台。
それがこのNINJA 250。
これとYZF-R25が無ければ、日本の250cc界はどうなってた事やら。

だが、EU市場においては今も昔も250ccってのはニッチな排気量のクラスで、日本メーカーではスズキのGSX-R250が有るのみ。
125ccに関してはスズキ以外はそれなりに力を入れてるけれど、250ccに関しては各メーカー特にやる気は無い。
でも300なら有るか、と言えばこれもそうでも無く、作ってるのはヤマハくらい。
ホンダのEU仕様では125と500、カワサキも125と400を作ってるだけ。
300も、EUではこれが中々ニッチ。

日本の250ccと400ccが海外では300ccと600ccに当たる、ってそんなイメージは有ったけれど、まぁ今や昔って事か。
1990年代までの話だね。

軽二輪を300ccに引き上げ、普通二輪免許で乗れる排気量を600ccまでに引き上げよう

なんて事を実しやかに言われてた時期も有ったけれど、四輪免許での125ccまで解禁するぜ!なんて話と同様に今や霧の中。
どうなるのか、どうにも成らないのか。

排気ガス規制の流れを見ても解るように、バイクに関しての標準はヨーロッパ。
世界標準の流れに従えば、ヨーロッパのような免許制度に切り替えるのが最善な気もするかも知れない。
が....でもそれはどうだろうね、ってのが今回のお話。
タイヤ替えた話はまた改めて。

ヨーロッパのバイク免許制度
種類 内容 CBT 学科 実技 条件 年齢
AM モペッド
50cc/28MPH以下
    Lプレート 16歳
A1 125cc
11KW以下
    Lプレート 17歳
A2 35KW以下     A1所持 19歳
ダイレクト
A 無条件     A2所持 21歳
ダイレクト 24歳

免許の種類は4種類。
AM(モペッド=原付)、A1(125cc/最高出力11KW以下)、A2(最高出力35KW以下)
A(無条件)

CBTとはCompulsory Basic Trainingの事。
Compulsory=強制的
Basic Training=ベーシックトレーニング
まぁ要するに基本的な講習を受けなきゃ成らないよって事。

Lプレートとは一種の仮免許表示のようなもの。
CBTを受ければ試験を受けずにモペッドや125cc以下のバイクに乗れるが、2年間有効なLプレートを表示する義務が有る。

これがLプレート。
中々に豪快な印だ。
Lは何の意味かって?
そりゃあなた、LはLIPのLと決まってるじゃないかと、かぼちゃワイン世代のおじさんならきっと熱く滾りながら答えてくれる筈だ。
大事な所を熱く滾らせながら。

試験を受けずにバイクに乗れるのだが、2年が過ぎれば再びCBTを受ける必要が有る。
でも通常は試験をパスするかアップグレードするみたい。

A1とA2は出力による制限。
34kwのレブル500や35kwのCBR500はA2の区分に入る。
だが、59PS時代の90年代までの400ccは43.3kWと成るのでリッターSSなんかと同様のA区分に入る。
アプリリアのRS250なんかも同様。

規定の年齢に達していれば直接Aライセンスを取得する事も可能だが、下位免許を持っていればCBTと学科試験は免除される。

ざっくりとこれがヨーロッパの免許制度。
まぁまぁややこしい。

ちなみに、ワールドスーパーバイクと併催されるスーパースポーツ300は、このヨーロッパのA2ライセンスで乗れるバイクを対象としてる。
参戦可能なバイクは以下の通り。

HONDA CBR500R、KAWASAKI Ninja 300/400 、KTM RC390/R、 YAMAHA YZF-R3

排気量が違うのでバイクの最低重量とバイクとライダーを合わせた最低重量やレブリミット制限も違っている。
CBR500RとNINJA400はライダーとの合計210kg、レブリミットはCBRが10,0000rpm、NINJA400が10,350rpm。
対するR3は204kg、レブリミット13,300rpmと規定されている。
この辺で性能調整してるって事だね。
素直に300ccでレース出来れば苦労しなかったんだろうけど、300ccのバイクなんてあんまり作って無いんだから仕方ないじゃ無いか。

でももっとややこしいのが、メーカーが用意してるA2仕様バイクのラインナップ。
J300なんかは解るのだけど、なんでそこにZ900やZ650が入ってるのさ?って事。
いや君ら35kW=47馬力なんて事は無いでしょうよって。

日本仕様のスペックを見ると、Z900は92kW(125PS)、Z650は50kW(68PS)と成っている。
どちらもA2ライセンスの35kWを大きく越えてるので本来は乗れない筈なんだけど、実は各メーカー35KWに出力制限したリミテッドバージョンってのを作ってるのだ。
ここに載ってる本来ならオーバースペックなA2仕様車は、パワー制限キットが組み込まれた仕様を用意されているって事。
つまり、ヨーロッパを走るZ900には35kW(47馬力)仕様が有るんだよって事だ。

Key features and technical specifications for the Yamaha MT-07.

EUヤマハのMT-07のスペックシートにもちゃんと書かれてる。
Limited power version  35.0kW
と。

でも何でもかんでもリミッター入れてバワーダウンさせりゃ良いって訳では無く、ベースと成るのはその倍=つまり70KWを超えちゃダメよってこれまたややこしい決まりが有る。
つまり、70kWを下回るバイクなら制御入れてA2ライセンス用35kW仕様を作っても良い。
でも140kWのリッターSSは、幾ら制御入れてもダメだよって事。
たとえアイドリングのちょい上しか回らないようにしても。

だからカワサキは、92.2 kWのフルパワーバージョンと、70kWのA2ベース仕様のリミテッドパワーバージョンの2種類を発売しているのだ。

A2免許所持者はこの70kWのA2ベース仕様を購入し、さらにパワー制限キットを組んで35KWに出力制限した仕様に乗る必要が有る。
これなら何ら問題無い。
元の4割以下に無理やりパワーを抑えてるので凄い頭打ちするらしいけど。

その後、晴れてAライセンスを取得して保険を再契約すればZ900の持てるパワーを開放する事が可能になるが、A2ベース仕様のリミテッドパワーバージョンはどう頑張っても70kW+α程度しか出ないように作られている。
92.2 kWまで出すのは難しい。

この辺は、スズキのGSX-S750も同じ。
35kW仕様を出してるみたいだけど、ベース車両は83kWでは無く70kWに成る。

非常にややこしい。
何だってこんなややこしい事に成ったんだか。
でも、こんな事がそこそこ自由に出来るように成ったのは電子制御のお蔭なんだろう。
所謂レブリミッターって奴しか無かった時代では、ここまで細かく制限するのは無理だったろうしね。

隣の芝生ってのは青く見えるもので、他所の国の制度って良く見える事も多い。
だから時に、○○を見習え!って、都合の良い部分だけを恣意的に切り取って主張しだす行儀の悪い人も居る。
だが、このヨーロッパの免許制度に関しては余りにもややこしいので、素直に排気量別に分ける日本の方式が良いと思うな。
流石にこれは大変そうだ。
ユーザーもメーカーも。

だから、日本の免許制度も妙な事をしないでこのままシンプルに排気量+電動バイクの20kW+MTorATでの区分けをこの先も続けて欲しいと思う。
小型を150cc、普通を600ccにすればさらに言う事は無いのだけどね。
でもそれは.....やっぱ無理か。

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