特別な交差点

芦屋の山の方に有る知り合いのお宅へと行ってきた。

以前は車を停める所は無かったのでバイクで行ってたのだが、ちょい改築して車が停めれるように工事したので車で来てもイイよ、との事で今回は車。
私の住んでる平地では、気の早い桜はつぼみが結構大きくなって来た頃合なんだけども、ちょい登れば急激に寒く成ってしまう。
車でオッケーと言われるのはとても有りがたい。

 

で、その帰り。
何処にでもある小さな交差点へと差し掛かった。
信号の無い、何処にでも有る、何の変哲も無い交差点へと。
日本各地、世界各地に星の数程ある、有り触れたただの交差点へと差し掛かった。
だが、この交差点は私に取ってとても思い出が深い特別な交差点。
スーパーでスペシャルな交差点なのだ。

それはもう随分と前の、とても寒い夜のこと。
私は、この日訪れたお宅からの帰り、セローでこの交差点へと差し掛かった。
何の変哲も無い、何処にでも有る、信号の無いこの交差点へ。

強いて特徴を挙げるなら、一つは私の進行方向は『とまれ』側だって事。
優先は直交する側で、私の進行方向は『とまれ』の標識が有る側。

そしてもう一つは下り坂って事。
芦屋の山の方の住宅街。
基本、坂ばっかりなので、登ったり下ったりは珍しくない。

要するに、下り坂のとまれ。
強いて特徴を挙げるならそんな交差点。
特に珍しくも無い。
この界隈には数え切れない程沢山有る。

 

空が見えた。
私の目には、漆黒の空が広がっていた。
『とまれ』の標識を見た、その次の瞬間、私は凍てつくアスファルトに横たわり冬の夜空を見上げていた。
要するにコケた。

 

六甲山に染みこんだ水が坂道の交差点にちょろちょろと染み出し、それが真冬の芦屋で凍ってしまったのが原因。
何の前触れも無く、まるで合気道師範に投げ飛ばされたかのように地面に投げ出されたのはそれが原因。
『とまれ』の辺りで路面が凍ってたのがその原因。

下り坂の交差点で凍結に気づいてても成す術無いんだけど、凍結に気づいてなかったらさらにどうしようもない。
植芝盛平先生に戦いを挑んだ人みたいに成るのも仕方ない、かも知れない。

 

モトクロスではあっちこっち骨折ってきたけれど、実は公道では、と言うか舗装道路では教習所第一段階~今に至るまで、これが初の転倒で有り、今の所唯一の転倒だったりする。
幸いな事に教習所を含めて転倒も立ちごけも無い。
毎回ハヤブサを引っ張り出す度に下敷きに成りそうに成ってるけれど、幸いな事に今の所はまだハヤブサボディプレスは食らってない。
3カウントで返せそうに無いのでご免被りたい限りだ。

 

何の変哲も無い交差点だが、私が唯一転んだ交差点。
その交差点を年に何度か通る度に、ちょっと色んな事が頭をよぎり、ついついブレーキが慎重になってしまう特別な交差点。

この感覚は私だけなのか、それとも同じようにこの凍結でスっ転んだ可愛そうな人が居たのか、それについては解らないけれども、ともかくついつい慎重に通ってしまう、ちょっとスペシャルな交差点なのだ。
私に取っては。

 

まぁ、流石に今回は転ばないけどね。
レンジローバーで転んだら大惨事ですわ。

 

MOTOR CYCLE

Posted by tommy