ホットスターターの季節

そろそろ、我が家のセローさんに取って試練と成る季節がやって来る。
それは林道。
和歌山の真ん中らへんの舗装してない道をわざわざ走りに行くと言う物好きな遊びに駆りだされるのだ。

流石に地球2周分とまでは行かないが、地球1周は軽く周ってるご老体には正直少々キツい。
近所のスーパーの足がお似合いのご老体。
もはやマウンテントレールってレベルじゃ無ぇぞ。
と言うへこたれバイク。

それでも、そんな泣き言は聞いてやらないで林道で酷使されてるのだが、問題に成ってくるのが前にも書いたホットスタート。
要するに、キンキンに熱くなったらエンジンが掛からないって、そんな症状。
我が家のセローさんも、年々掛かりが悪くなってきたのは間違い成い、なんとなく。
通常は何も問題は無いのだが、必要以上にギンギンにブン回した後は、ちょっと症状が出る可事も。

まぁ、修理しろよって話なんだけど、完全には克服し切れないのはキャブ付いてる時代のバイクの宿命。
穴の大きさや針の形状やネジの閉め具合、ゴムやバネの弾力だけで調整してるキャブ付いてる時代のバイク。
過酷な状況で過酷に使うとバイクもちょいズレてしまうのも仕方無いさ。

 

・転倒時のオーバーフロー。
・キャブが熱せられる事により、フロートチャンバー内で圧力が高まったガソリンが通常より多く噴出す現象。
・そもそもジェットニードルとノズルが磨耗して元から濃い口のセッティングと成ってる。

等の理由により、我がセロー225はエンジンが猛烈に熱い時、或いは転倒直後にエンジンが掛かり難い傾向と成る。

対策としては、新気を導入してインレットパイプ~の混合気を薄めてやること。
冷間時とは逆に、薄くしてやる事でエンジンは掛かり易く成るのだ。
これがホットスターターって奴。
掛からないからとチョーク(スターターノブ)は引いちゃダメ、絶対。

 

エンジンやキャブ自体に問題が無いとの前提で、取れる対策としてはホットスターターの追加が挙げられる。

過去にはまだキャブだった時代の4stモトクロッサーに付けられていたパーツ。
これは4stモトクロッサーがFCRだった時代(YZ400F)のパーツ。
片一方のニップルからインレットパイプ(キャブとシリンダーヘッドの間)に繋ぎ、もう一方のニップルからホースを伸ばして泥や水の掛からない所へ開放させておく。
ホットスタートでエンジンが掛からない時は、この赤いノブを引いたらエアの導入が生まれるので、混合気が薄くなって掛かりやすくなるってシステム。

 

その後、FCR-MXが一般的と成った時代にはキャブ自体にホットスターター経路が組み込まれるように成った。

黒いノブが所謂チョーク(スターター)
寒くてエンジンが掛からない時に引っ張るノブ。
赤いノブがホットスターター。
逆に熱くて掛からない時に引っ張るノブ。

このようにキャブ本体に付く場合と、ケーブルを介してフレーム等にマウントされる場合とが有るが構造は全く同じ。

このノブを引くと空気の導入経路が開かれるので、それにより混合気が薄まりホットスタート時にエンジンが掛かりやすく成る。
別に空気取り入れバルブを作るか、或いはキャブ自体にその経路を組み込むかの違いだけで、作動原理自体は変わりは無い。
FCR-MXの見た目は随分スマートだけどね。

普通のCVキャブで有っても、他に不具合は無いけれどもホットスタート時に掛かり難い傾向バイクには、このホットスターターを組めば効果は望めるだろう。
他に何かしらの問題が無いのならば。
まぁ負圧キャブでホットスタートに問題が有る時点で問題アリなんだろうけどね。
バイク自体か、それとも乗り方に。

 

再び水槽ブクブクパーツが火を噴く、夏。

1001hotstart

前にも同じ事を書いてたけれど、今回もまたこいつのお世話に成る事に。
高圧エアー用ウレタンチューブと、水槽のエアポンプに付けるバルブ。
暫く外してたけれどまた付ける。

1003serow

チューブの反対側はインレットパイプ(キャブとシリンダーヘッドの間)のニップルに繋ぎ、バルブはこんな具合にハンドルの横に伸ばしておく。

もし熱々の時にエンジンが掛からなかった場合、白いキャップを外してこのバルブを開いてやればエンジンが再始動できる。
かも知れない。
やっぱ無理かも知れないけれど、それはその時に成らなきゃ解らない。

セロー225なら、大昔から用事も無いのにインレットパイプにニップルが付いてるので、そこに挿してやれば良い。
5MP以降かな?
負圧でコントロールされるエアインダクションが付いたモデルは、そのニップルをセロー生誕以来始めて有用されてるのだけど、分岐するか、何かしらの方法を取ろう。
ちなみに私のセローには既にエアーインダクションは撤去されてるのでニップルは空いてるのだけど、前にも書いたようにこんなのが付いてる↓

0526fuel3

一見、何の変哲も無いけれど、実はSRXの負圧コックへ変更してるので、ニップルは分岐させる必要が有るのだ。

 

こんなの使えば分岐できるので大した問題じゃない。

 

問題と言えば、エアバルブを開くと燃料コックの負圧が得られなく成るので、燃料が落ちてこないって事くらい。
でもガソリンはフロートチャンバーに波々と入ってるので特に問題は無い。
エンジン掛かったら速やかにバルブを閉じれば問題は無いさ。
開けっ放しは大きな問題だけど。

 

キックペダルが付いてるなら、例えちょっと掛かり難いからと大きな問題は無いと思う。
頑張ってキックしてりゃその内に掛かるしね。
ただ、セルスターターしか付いてない場合は、バッテリー残量が生死を分けると言って過言で無い。
泥やガレ場やキノコの生えてそうな鬱蒼とした森で押しがけなんて出来ないので、トレールバイクに積んでる小さなバッテリーでどうにかエンジンを掛けなきゃ成らないのだから状況は結構シビアなんだよ。
舗装道路なら押しがけ出来るからどうって事無いんだけどね。
ってか、舗装道路でホットスタートに困るような事は起こらないけれども。

 

実際の所、かなり消耗の進んだエンジンとキャブでは限界は有る。
だから結局、今時キャブがどうだのビービー言って無いでFI化以降のセロー250に買い換えるのが最適な解なんだろうと思うけれど、それを言っちゃお終いなのでそんな生意気なお口を閉じてて欲しいなと、私はそう思いながら何時でもエアバルブを開けれるように工作に勤しむのだった。

 

MOTOR CYCLE

Posted by tommy