ロンドンで蝶が羽ばたくとNYでマリリンのスカートが舞い上がる

世界は互いにリンクを張り、リンクを辿るに連れてが少しずつ、だが確実に影響を与えている。
風が吹いたら桶屋が儲かり、上海がロックダウンすると転売屋が儲かり、体に不安を覚える人が増えたら舞の海と生島ヒロシが儲かる。
世の中はリンクにより繋がり互いに少しずつ影響を与えてゆくので、ふと気づくと最終的には予想だにしない所へと帰結する事も有る。

 

ガソリン価格が遂に180円台が普通に成り、そろそろ200円台さえも現実視されるレベルに。
ちなみにこれを書いてる2023年8月20日頃において、GOGO.GSで調べると、高速道路のサービスエリアではレギュラー200円超えはもはや普通。
ハイオクなら218円、軽油ですら180円が一般的なレベルに。
なんてこった。

自動車大国のアメリカの価格はどんなもんかと見てみると、一番高いカルフォルニア州の平均は、日本のレギュラーに相当するミッドグレードで1ガロン当たり$5.5、プレミアムで$5.6が平均価格との事。
1ガロンは4.54リットルなので1リットル当たりでは$1.21くらい。
同じカルフォルニア州でのマクドナルドのキャッシャーの時給は$14くらいなので、1時間働いたら11.5L給油が可能と成る計算だ。
これくらいの時給なら、ゼファー1100でガソリンを撒き散らしながら長距離通勤してもガソリン代はそう気にする必要は無い。

同じくヨーロッパでも物価は高めのドイツの場合、概ね1リットル当たりで1.4ユーロくらい。
ベルリンでのマクドナルドの時給は20ユーロくらいなので、14リットルくらい給油出来る計算。
これなら5ガンでも安心してバイトに通える。
環境意識の高いご近所さんにイモぶつけられない限りは。

一方日本のマクドナルドは時給が1200円とするなら、180円/Lのガソリンは6.6Lしか給油できない。
少なくともガソリン価格に関しては、アメリカで最も高いカルフォルニア州やヨーロッパの高物価国よりも日本は厳しい事が解る。
ガソリン価格だけを切り取ってあーだのこーだのは語れないものの、物価と所得のバランスはやっぱり見直す必要は有るのだろうと思う。

この物価と生活コストのバランスが悪い原因は、日本のインフレの構造に問題が有る訳で。
インフレターゲットを2%程度とされている日本の政策。
ただ、一口にインフレと言っても幾つかの種類が有る。
インフレと言えば札束片手にパンを買いに行く海外の光景がニュースでお馴染みだが、あれは多くの場合は財政悪化による貨幣の供給過多が原因。
お札も遊戯王カードも、刷り過ぎたら暴落するので何かと問題は起こる。
刷り過ぎないのもまた問題が起こるんだけども。

現在の日本のインフレはコストプッシュ型インフレとされていて、CIF価格(商品+保険料+輸送費)の上昇がインフレ要因の一つと成っている。
ロシア情勢に加えて、OPECの原油減産も関係するWTI価格の上昇、エネルギーコスト上昇により食料から工業製品に至る多くの製品の値上げ、それに加えての昨年10月~11月の水準に迫る記録的な円安。
製品から材料からエネルギーから肥料や飼料などの副資材も含めて多くを輸入に頼り、それらの多くをドルで決済してる日本なので、150円が見えてくるレベルの円安は全てにコストアップの圧力が掛かってる訳だ。
製品の代金は勿論、保険も輸送費もドルで決済すると、全ての支払いに円安の影響を受けてしまう。
現在の日本のインフレの一つの要因がコレ。

これがデマンドプル型=要するに需要過多に引っ張られる形のインフレならば、商品価格が上がる事によって幸せに成る人も多く居るのだけど、エネルギーコストや為替が影響して値上げのラッシュと成ってる現在においては、笑ってる人はほんの一握りで、大多数はただ出費が増えるだけに過ぎない訳だ。
仕入れと経費が100円上がったから100円値上げしても誰も得する人は存在しない。
仕入れと経費が100円上がったのに80円しか値上げ出来ない圧倒的多数の小売店は目も当てれない惨状だ。

企業努力で頑張って価格を抑えました!
なんてアホな事言ってないで、価格を上げて従業員の給料を増やしてやれよ、ってのが正しい道なのだけど、それが出来たら苦労しないんだよね。
値上げしても誰も儲からないので結果的に所得は上がらないのが無情な現実。
ともかくエネルギーコストと為替をどうにかしない限り、にっちもさっちも行かない訳で。
その辺は政府や日銀にしか出来ない領域なのでどうにか上手い事やってくれないもんかと思う。

輸出企業は儲かるだろう?
って思う人も居るだろうけど、輸出企業でもエネルギーや原材料は輸入してる場合が多いので、そうそう単純に喜んでばかりは居られない。
円安のチャンスにイチゴを輸出して大儲けしよう、なんて言っても、ハウス用の重油は輸入しなきゃ成らないので話はそうそう簡単では無い。

さらに金利上昇も問題で、通常は短期金利が上昇するとインフレは抑制されるのだが、日本の金利が上がったからと原油価格も小麦価格も下がってくれない。
いわゆるYCC修正によってほんの一瞬、週足で見たら3本くらい円高がちょい進んだ程度で、結局はまた円安一直線。
単に金利が上がっただけに過ぎないのが現状、ってか惨状だ。
360度、とは言わないまでも、340度くらいは何処見回しても不幸しか見当たらない悲惨な状況だ。

 

で、話はガソリン価格に戻るが、現在は概ね180円程度。
流石のコストコでもそろそろ170円が見えてくる頃合いで、特に燃費の悪い車に乗ってる人は大変だろうと思う。
この前も書いたけれど、このご時世にFDに乗り換えた人が私の周囲に居るのだが、魅惑のロータリーサウンドが小銭がチャラチャラ鳴ってる音に聞こえてる、かも知れない。
そのうちにお札の音に成るかも知れないけれど。
なんせ東京から箱根をぐるっと回って帰ったらガソリンをほぼほぼ使い切る車。
交通事情に加えて乗り方や踏み方で大きく変わって来るけれども、何をどうしようとも大変な事に変わりは無い。
FDが新車で売ってた頃なんて5000円有れば大体はお腹いっぱい出来たのだけど、今やガス代は倍だから大変だ。

 

今後、ガソリン価格が下落する事は有るのか?

ガソリン税暫定税率の見直しや、以前より言われているガソリン価格に二重に徴収されてるとされている消費税の見直し。
それに加えてトリガー条項=揮発油価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の特例税率の適用停止に関する法律=連続する3カ月の平均小売価格が1リットル160円を超えた時、特例税率として上乗せされている分の25.1円を一時的に免除する、って政策を履行すればガソリン価格は下がるが、まことに残念ながらこれら屏風に描いた虎が具現化する事は無い。
東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し別に法律で定める日までの間その適用を停止する、そうなので現在においてもまだ絶賛凍結中。
確かに3か月連続で160円を超えたら暫定税率は撤廃するが、何時やるかは言ってないので10年後でも1000年後でも可能だろうってこった。

それに加え、今年の春のG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合により、世界のGHG排出量を2019年比で2030年までに約43%、2035年までに約60%削減する事が目標と決まったので、今後日本は呼吸も出来ないくらいに二酸化炭素排出量を減らす必要が有る。
この無茶な約束を実現しなければ成らないご時世に、ガソリン価格を下げてCo2を増加させる方向に舵を切るのは難しい。
それを理由に、或いは都合の良い言い訳として、トリガー条項が履行されてガソリンの暫定税率が停止される事は、まぁ多分無い。
地球環境を守る為の崇高なお仕事の為に、大手電機や重電メーカー、大手人材派遣会社などに予算が分配される事は有ったとしても、残念ながら目先のガソリン価格が下がる政策が履行される事は、まぁ多分無い。

ガソリン元売りに補助金を与える、ってのは10月以降もなんとなく続けるような報道も有るけれども、きっとそれが政府に取っては都合が良い政策なんだろう。
何かと都合が良いものね。
そりゃもう何かと。

 

現在の日本のガソリン小売価格に大きな影響を及ぼしてるのが、このアメリカで取引されるWTI原油先物価格。
現在は80ドル前後。
2022年には120ドルもの高値を着けたので、まだまだ本気は出してないって状態かな。
MACDがデッドクロスして下降傾向が見られるのでこのまま下がるかな、って思うけれども、ストキャスを見たらこれから上がりそうな気がしてならない。
私の見立てなんて屁のツッパリにも成らないので原油を買ってる人以外はみんなで下がる事を祈ろう。
原油を買ってる人は、もし爆上げしたらピーピー言ってる私たち庶民の屍を踏みつけて高笑いしてればイイさ。
ちなみに私は買ってないので、ただただピーピー泣き叫ぶばかりだ。

 

日本政府の政策でガソリン価格が下がる事は多分無いにしても、このWTI原油先物価格が下がって、為替が円高へ転換すればガソリン価格が下がる可能性は有る。
が、残念ながら原油価格はそれほどに高騰してる訳では無いので現状より大幅に下がる気配は無く、そして日本の要因によって円高へ転換する材料は無いのがとても残念なお知らせだろう。
ドルやユーロの下落や、リスク回避の円買いは起こりえても、何かしらの政策や施策による円の高騰材料は見つからないのが現状。

これが2008年のガソリン価格高騰の時は、原油価格が高騰してたのでガソリン価格も高騰してたのだが、為替は現在に比べると円高水準だったので、原油価格が下がればすぐにガソリン価格も落ち着いた。
だが、現在は円安が進みまくってる状態なので、仮に原油価格が下がったからとガソリン価格はそんなに下がらない。
そもそも前述したように原油価格はそれ程に暴騰してる状態でも無いので、大きく下げるのは新たなパンデミックか世界的な紛争でも起きない限りはちょっと難しいかもね。

為替がそこそこレベルに落ち着いてくれたらよいのだけど、日本が何かしらの画期的政策を打ち出して円の価値が爆上げする可能性は、残念ながら無いと言い切っても差し支えない。
精々口先~場合によってドル売り円買い介入するくらいだが、まぁやっぱり一時しのぎだろうね。

中国経済が大爆発しそうだったりと何かと騒がしい昨今では有るけれども、現在の為替は日本円の独歩安って状態で、ただただ日本円が安い状態が続いてるので、アメリカで余程の危機が起こって円に退避する人が増えない限りは、今の状況がゴロっと転換するのは難しい。
世界大戦でも起これば話は別だけど、流石にそれはFD乗ってるような呑気な状況じゃ無くなるのでそれは遠慮して欲しいな。

 

流れが変わる可能性があるのが、今週後半に行われるジャクソンホール会議。
ワイオミング州のジャクソンホールで毎年8月に開催する経済政策シンポジウムで、ここに中央銀行の幹部や各国の財務担当大臣が出席して、あれやこれやと話し合いが行われる。

世界の経済界のトップとも言えるのがFRBのパウエル議長。
この世界は私以外の何処かの誰かが動かしてるのだけど、その中でも非常に力が強いのがアメリカ中央銀行のパウエル議長。


パウエルと聞けばどうしても太った黒人警官を思い出してしまうのは今や少数派か。

 

この人が何を言うかでアメリカの金利は変わり、金利が変わればドルの相場は変わり、ドルの相場は株価にも原油にも影響を及ぼし、そして来月頃の日本に住まう私たちのガソリン価格に影響を与える。
世界は互いにリンクを張り互いに影響を及ぼし合うが、現実問題としてアメリカが世界経済の上位存在で有る事は違い無いので、そのアメリカ経済界の頂点の一角のこの人の発言が非常に大きな影響力を持つ。
それがどっち方向で有ろうとも。

 

日本のTV番組様は明日のコンビニスイーツの売り上げに大きな影響を与えるかも知れないが、この人の発言は世界経済に余りに大きな影響を与える。
余計な事をポロポロ言う人がやったらえらい事に成りかねない重責だ。

そんなパウエル議長の講演は今月25日。
内容はどうやら利上げ継続が濃厚みたいな感じ。
って事は.....
チャリ乗っとけって事なのかも知れない。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy