その愚かな選択は

ネットに繋げばクリック一発で何でも買えるご時勢。
そこらで売ってるモノからそこらでは余り売ってないモノ、或いはそこらで売ってるけど実際に買いに行くのがちょっとアレなモノ。
今やクリック一つで何でも買える。

あの少年も、今やクリック一つで済ませてる事だろう。
いや、まぁクリック一つって訳じゃないけど、そんな細かい事はさておきとして。

 

~あの少年、の話~

私がまだ会社勤めしてた頃の事。
日課、って程では無いけれど、仕事帰りに良く本屋に寄っていたのだ。
大型書店に。

ある日、その本屋に挙動不審な少年が居た。
数冊の本を胸に抱え、ソワソワし、周囲を伺う少年。
とても挙動不審な少年が居た。

万引きは犯罪です。

そんな張り紙がされた前を、挙動不審な少年は周囲を伺いながら出口へと向かった。
私の直ぐ目の前を、何やらソワソワしながら早足で出口へと。
出口の横のレジへと。
...なんだ、レジに向かうのか。
そりゃ良かった。

私の並ぶレジには、目の前に先ほどのキョロキョロしてた少年。
少年の手には何冊かの雑誌。
一つがコミック雑誌。
ジャンプだかサンデーだかマガジンだか、そんなコミック雑誌。

その雑誌の下に滑り込ませるように忍ばせたもう一冊の雑誌。
その少年には少々早い、でもその少年時代だからこそ求めたい、そんな雑誌。
ベッド下のデリケートゾーンから、ママにサルベージされたらちょっと気まずい、そんな雑誌。
この都市伝説とも言えるエロ本カモフラージュ。
まさかリアルに遭遇するとは思いもよらなかったよ。

コミック雑誌でカモフラージュしながらエロ本を買ってる少年はこの時初めて、最初で今のところは最後の遭遇なレアケースなのだが、きっとあの少年も含めた現在の多くの少年たちは、それらは全てネットで済ませてる事だろう。
もはやコミック雑誌の下に隠してレジに持っていく事も無い。
ドキドキしながらキョロキョロしながらコミック雑誌の下に隠してレジに持っていく事も無い。
キョロキョロコミックなんてもうとっくに卒業してるさ。
あの少年も、もうとっくに。

 

~あの少年、の話 終わり~

 

 

今や大体のモノはネットで簡単に手に入る時代。
直接買えないようなモノ、そして直接買うのに躊躇してしまうモノ。
何でも簡単に買える時代だ。
だが、ネットで買うべきでないモノもまた存在するのは確か。
愚かな選択だと言わざるを得ない、そんなモノもまた存在する。

私が今までで一番失敗だったのはサングラス。
買ったのは何時も使ってるのとほぼ同じような一般的なデザインの一般的なサングラスだったのだが、これがまぁ似合わないの。
どうにもこうにもサッパリダメ。

折れたお気に入りサングラスと同じようなサングラスだったのだけど、どういう訳だか本当にダメなサングラスだった。
何がどうって事も無いけどどうにもダメ。
あ、別にサングラスがダメな訳では無い。
ただ、どうにも似合わなかっただけ。
だからと、似合わなかったから★一つ、とかそんな無慈悲かつ鬼畜外道な評価を投稿したりはしないけれど、その時私は思った訳だ。
やっぱサングラスは実際に確かめてから買わなきゃダメだなと。

 

 

グローブ買った。
ネットでバイク用グローブを。
自分でも思うわ。
なんて愚かな事を....と。

 

有る意味、サングラス以上に愚かな選択と言えるかも知れない。
なんせ、グローブはサイズ分けなんてメーカーごとに勝手気ままにやっちゃってる商品なんだから。

ジーンズなら、大体何処のメーカーだって似たようなシルエットの同サイズなら同じようなサイズ。
そうそう大きなな差は無い。

同じく、24.5cmの靴ならどこのメーカーだって大体は似たようなサイズだし、Cカップなら何処のメーカーだってCカップ。
上下1サイズ程度の差は有るだろうけども、24.5cmの靴の人なら概ねそれくらいを基準に考えてたら大外れする事は無い。
ベストかどうかはともかく、ベターで有るのは間違いは無いだろう。

だが、グローブの場合は別。
○○のブランドでMサイズだからと、△△ブランドでもMサイズとは限らない。
ダイネーゼとアルパインスターとラフ&ロードとイエローコーンとコミネちゃんでは、同じサイズ表記でも実際の大きさは随分違う場合も少なくない。
時に手のひらの幅とか表記されてたりするが、はっきり言ってそんな事書かれても良くわからない。
実際ハメてみなきゃどうにも成らない。
もっと言えば、同じブランドの同じサイズのグローブでも全然違ったりする。

私の場合、ウーマンサイズのMの場合も有ればLの場合も有る、またメンズサイズのMが適正な場合も有ったりする。
比較的手が大きいのは確かだけど、だからとウーマンサイズのLが適正、とも言い切れない。
実際、試してみなきゃ何とも言えないってのが正直な所。
幅がオッケーでも指が足りないとか、グローブってのは色々不都合が有るもんだから。

バイク用品店で試着した後でアマゾンで買う
と言う、家電量販店をショールーム扱いしてる人、みたいな人も居るかも知れないが、勿論そんな面倒臭いことはしない。
何十万円もするならともかく、数千円のグローブなんて何処で買っても大して変わらないしね。

 

じゃぁ何でネットで買った?
って疑問が浮かぶのはごもっともな話なのだが、これがまぁ色々と事情がある訳だ。
買いに行くのが面倒臭いとか、そんな止むを得ない深い理由が。

 

だが愚かな選択なのは確か。
初めて買うブランドのグローブを、試着もせずにネットで買うのは愚かな行為と、愚かな選択と言えるのは確かな事だろう。
後日、その届いたグローブを前に途方に暮れた私は、思った。
パッツパッツのグローブを前に、私は途方に暮れた。
ああ、やっぱグローブはバイク用品店で買うべきだわと咽び泣いた、あの日。

 

そんなビターな思い出を持つ私の周りで、また一人そんな愚かな選択を取った人が。
そこらのバイク用品店で売ってる、普通のグローブをわざわざネットで買った人が。

その愚かな選択は吉と出るのか凶と出るのか。

 

MOTOR CYCLE

Posted by tommy