200Vコンプレッサーはアリかナシか?

バイクや自動車整備で使うエアーコンプレッサーは、一般的には電源は家庭用単層100Vか三相200Vの2種類存在する。

さてバイク整備には、どっちを選ぶのがベストだろう?

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多くの場面において大は小を兼ねるのは確かで、もちろんコンプレッサーもまた大は小を兼ねる。
タミヤのプラモ用コンプレッサーでは自動車の空気入れにすら使えないが、200Vの15馬力コンプレッサーでプラモの塗装をする事は出来る。
多くの場面において大は小を兼ねるのは確かな事だ。
が、結論としては、バイク整備には100Vのコンプレッサーが良い、と私は思う。

■スペック

値段は10倍以上違うが、ベビコンの2.2kw-240L/minに対し、僕らのストレート製コンプレッサーは0.75kW-60L/minと、流石にスペックも圧倒的に違う。
これだけのスペックが有れば、ブラストしたり、フルカウルの塗装だって何の不自由も無く使える。
コンプレッサーガチ勢もにっこり。

一方、100Vの所謂1馬力コンプレッサーは、概ね0.75kW-60L/minくらいがマックスレベルのスペック。
リッターツアラーのカウルを一気に塗り上げるのはちょっと難しいかもね。
自動車を塗るのは、きっと止めておいた方が良いと思う。
そもそも自動車を自分で塗装する段階で、止めた方が良いと思うけれども。

以前ゼファー1100のタンクを塗装したが、0.75kWではあれでもちょっと限界。
特に昨今はHVLP (High-Volume, Low-Pressure) と呼ばれる、低圧でエア使用量の多いスプレーガンが主流なので、空気供給量不足はちょっと深刻な問題と成る。
ロースペックなコンプレッサーではエアの供給が間に合わないので、連続使用してると塗装中に圧の低下が起こる事が有る。
これがインパクトレンチなら回らないだけなのでちょっと待ってればまた復活するのだが、塗装の場合はちょっとした圧の変化が仕上がりに影響するので、その辺はとても重要なのだ。
圧が低下してブツブツしたらそれで終わりなのだから、ここはとても重要な点。

これは、必要な量の空気を供給する能力が足りない事を意味するので、サブタンクを繋いだ所でこの問題は解決はしない
タンク容量を増やしたら一発目のエア切れまでの時間は稼げるが、今度はタンク容量が大きい為に次のチャージに時間が掛かるので、使い勝手は良いとはあんまり言えない。
実際、ゼファー1100のタンクのクリア塗装をする際は、100Vコンプレッサーにサブタンクを繋いで一気に塗り切ったのだけど、それ以上の面積の塗装はちょっと難しいかも。
無理をせず、ご機嫌を伺いながら、休み休み塗るのが成功への道。

 

もう一つの難点はサンドブラスト。
ボルトやステップバーをちょこっとブラストする程度なら落下式ブラスターを使えば可能だが、例えばシリンダーブロックやシリンダーヘッドをブラストしよう、なんて思ってもちょっとしんどい。
吸い上げ式なんか使ったら20~30L程度のエアはあっという間に切れる。
圧が落ちたらコンプレッサーが稼働してまたチャージに入るのだが、幾らチャージしても吐き出す方が多いので、FXで証拠金を注ぎ続けてる人みたいな悲惨な状況に陥る。
で、そのうちにエアが切れて停止してしまう。
休み休みしながら出来ない訳では無いが、お世辞にも快適とは言えない。

ただ、現在は加圧式サンドブラストと言うモノが確立してるので、作るなり買うなりすればサンドブラストに関しては贅沢を言わなければどうにか使える。
圧倒的エア量の大型コンプレッサーとは比較には成らないにしても、加圧式なら1馬力コンプレッサーでもチャージ量と吐き出し量は概ね同じ程度なので、トップブリッジやキャリパーくらいなら十分に実用と成る。

 

快適な塗装やサンドブラスト環境には、やっぱりハイスペックなコンプレッサーが欠かせない。
だが、これらの作業が一般的かと言えば、大体の場合においてあんまり一般的とは言えないだろう。
フルカウルを塗装したり4気筒のエンジンやフレームをサンドブラストする人は、我ら民間人の間ではそうそう居ないんじゃ無いかと思う。
いやいや、俺は週2くらいはヘッドをサンドブラストしてるぜ!
って人は素直に三相200Vのコンプレッサーを買って頂ければ結構なのだけど、そうじゃ無いならちょっと冷静に考えた方が良さそうだ。

 

  三相200V 単相100V
エアインパクト

一般作業=◎
自動車のホイール(4本)=◎
トラックのホイール(4本)=〇

一般作業=〇
自動車のホイール(4本)=△
トラックのホイール(4本)=X
塗装 ネイキッドバイク=◎
フルカウルバイク◎
自動車=〇
ネイキッドバイク=△
フルカウルバイク=△
自動車=X
サンドブラスト △(小物を対象とした直圧式なら可)
エアダスター
エアラチェ

こちらが私の経験と勘と適当な思い込みによるコンプレッサーの使用可or不可一覧。
要するに問題なのはエア量なので、どれもこれも休み休みなら使えない事は無い。
トラックのホイールにしても、8本とか10本とか付いてるナットをインパクトレンチで休み休み緩めるならば1馬力コンプレッサーでも使えるのだが、数本緩める度にエアチャージ待ちなんて面倒な事もやってられないので、現実的には200Vのコンプレッサーがまともな選択と成る。

一方バイクの場合、解体屋でもない限りはインパクトレンチを連続で使う機会はあまり無いので、インパクトレンチでエアが切れる心配は考える必要は無いだろう。
ボルトが大量に有る箇所としてはクラッチやマグネットのカバーくらいだが、ボルトが細いので大したことは無い。
と言うか普通そんなところにインパクトレンチなんて使わない。
私はバタフライを使うけれども、あんな小さなインパクトレンチではエア切れなんてそうそう起こらないから心配は無用だ。

 

多くの場面において大は小を兼ねるのは確かで、コンプレッサーもまた大は小を兼ねる。
勿論、大きなコンプレッサーは使い勝手は良いのだが、だからと一般的な使用範囲では無理してハイスペックコンプレッサーを入れる必要は無い。
その大きな理由は、コンプレッサーの値段よりも、そもそも200Vのコンプレッサーは買って来たからと普通は家ですんなり使う事は出来ないから。
そう、そもそもの大きな大きな問題が有る訳だ。

 

続く

MOTOR CYCLE

Posted by tommy