200Vコンプレッサーはアリかナシか-2

多くの場面において大は小を兼ねるのは確かで、コンプレッサーもまた大は小を兼ねる。
勿論、大きなコンプレッサーは使い勝手は良いのだが、だからと一般的な使用範囲では無理してハイスペックコンプレッサーを入れる必要は無い。
その大きな理由は、コンプレッサーの値段よりも、そもそも200Vのコンプレッサーは買って来たからと普通は家ですんなり使う事は出来ないから。
そう、そもそもの大きな大きな問題が有る訳だ。

ってお話の続き。

 

■三相200Vコンプレッサーを使う場合の大前提

前述したように大は小を兼ねる。
コンプレッサーだってスペックは大きいに越したことは無い。
だが、まず基本的な大前提として、家庭用100V電源では三相200Vのコンプレッサーは動かない事を理解しておこう。
そりゃ当然の話としてご理解頂けると思う。
そして、家庭用エアコン等の単層200Vのコンセントが有るご家庭でも使えないって事も、大前提として理解しておこう。
ウチは200Vの霧ヶ峰入れてるから200V使えるぜ、ってお思いの方にはとても残念なお知らせだ。

え?200Vだから使えるんじゃないの?って??
違う、そうじゃない!

 

良く有るこんな波形の図。

左が家庭用電源として普通に使われる単相。
右が動力電源として使われる三相。

概念としては、単層はモーターを挟んで2本のコードで電気が行ったり来たりしてる。
一方、三相はモーターを挟んで2本のコードが行って1本のコードが返ってる構造。
まぁまぁ何のこっちゃって話なんだけど、三相はより多くの電力を効率的に使えるって事だけ理解しておけば問題は無い。
要するに単相と三相は根本的に違うので、工事が必要と成りそれ専用の契約もまた必要と成る訳だ。
これが重要。

海外旅行で使う変換コンセントみたいなのが有るんじゃ無い?
と思う人も居るかも知れないが、上記したように単層200Vと三相200Vは根本的に異なるので残念ながらそんな物は無い。
工事して、電力会社と動力契約をしないとどうにも成らない。
こんな話をしたら、変電所からの工事が必要なのかと言い出す人も居るか居ないかは解らないけれど、変電所から家の前までは三相で来てるからそんな心配は無用だ。
送電線が3本1セットなのはそう言う訳だね。

もし自分のガレージに自動車用のリフトを導入するならば、三相200Vの工事を行う事を視野に入れてる、或いはすでに工事を済ませてるかと思う。
私の借りていたガレージは、元は工場だった為問題は無かった。
電気会社と動力契約すれば、すぐに三相200Vのコンプレッサーが使えるからね。
工場なんて普通はそうなってる。

ガレージとして借りた物件が、元が工場や大型のエアコンや冷蔵庫を使う飲食店などなら三相200Vの引き込み工事が済まされてる可能性は高いので、その場合は電力会社と動力契約するだけで済む。
この場合は200Vコンプレッサーを導入する敷居が非常に低く成るので、コンプレッサーのスペックが必要な方は迷う事無く行っちゃうも悪く無いだろう。
変な形のコンセントに繋いだら済むので話は簡単だ。

借りてる物件が工事済みなら、月の基本料金はちょっと掛かるけれど、それさえ問題無いならいっそ200Vに行っちゃうのも悪くは無い。
だが、倉庫や小売店跡、そしてもちろん一般のご家庭では通常は三相200Vなんて使えないので、すんなりと使いたいなら工事する必要が有る。

だが一般家庭においては、余程大きなエアコンを新たに導入する以外の場合、バイク整備用コンプレッサーの為だけに三相200Vを導入するのはあまり現実的とは言えない。
自宅に大きなエアコンを設置したいならいっそ動力の工事を行った方が電気代の面ではお得、かも知れないが、単にバイク整備用のコンプレッサーを回すだけで工事するのはあまり現実的とは言えないだろう。
ファミコンをテレビに繋ぐよりも複雑な工事が必要なので、工事代金はちょっと覚悟が必要だから。

具体的な数字については私には解りかねるのだけど、まぁ安くは無いよね、って事くらいは解る。

 

■電気使用料金は動力契約の方が安い

電気代は、東京電力のスタンダードSプランなら、基本料金295.24円、121kWh〜300kWhで36.60円、301kWhを超えると40.69円にも成る。
一方動力契約は、基本料金が1,081円54銭、電気料金は夏季(7月1日〜9月30日)27円49銭、その他季(10月1日〜翌年の6月30日)25円92銭。
通常、一般の電気契約に加えて動力の契約も行う。
三相電源から単相を取り出す事は簡単だが、それを行うと通常は違法と判断されるので、止めておいた方が良いと思う。
店舗兼住宅なんかで、自宅のエアコンやこたつを店舗の動力電源から取り出した単相に繋いだら電気代は安くなるのだけど、違法なので普通はそんな工事はしてくれないと思う。
自分でやったら、その時点でまた違法なので、電源なんて無資格で触っちゃダメだ。
電気代をいくらか節約する為に家が丸焼けに成ったら目も当てれないのでお勧めしかねるわ。

基本料金は、これを書いてる2023年7月現在の東京電力では、通常の電気契約に加えて1,081円54銭。
電気料金は使った分だけ。
電気料金は使ったら使った分だけ単価が高く成るのだが、動力契約はいくら使っても単価は変わらない。
だから消費電力の大きな業務用冷蔵庫や大型エアコンを長時間ブン回す必要の有る店では動力は必須と成る。

たまに飲食店でも家庭用の普通の冷蔵庫と普通のエアコンをフル稼働させてる所も有るのだけど、アレって電気代は結構やばい事になってると思う。
4kwのエアコンを12時間x300日ガンガン稼働させたら、作動状況やモーター効率を考えずにざっくり計算したら、エアコン1機の電気代は1年間で58万円。
一方で動力契約なら約38万円で収まる。
基本料金は8千円程余分に支払う必要が有るが、三相200Vで駆動する業務用冷蔵庫やら電動シャッターも考えたら、店舗なら動力契約しか有り得ない。

とは言えど、前述したように一般家庭では工事が必要と成るのがネック。
一般家庭でも高スペックエアコンをフル稼働させたい、或いは電動カーゲートが欲しいなと考えるなら動力の引き込み工事は悪くはない選択と思うが、少なくとも数十万円~は覚悟しておいた方が良いので、その辺をキッチリと見積を取る必要が有るだろう。
基本料金を加味してして1000円電気代が下がったからと、工事費に50万円掛けてたらそれをペイするのは中々にしんどい。
飲食店ならすぐに相殺出来るが、一般家庭では途方も無い月日が必要と成る。

使い方次第だよと、そんな身も蓋も無い所へ帰結してしまうのだが、業務用エアコンや冷蔵庫と違って、一般的なバイク整備ではエアーコンプレッサーは常時駆動はさせないと思うので、現実期には工事費は勿論、基本料金さえもペイするのは難しい。
副業で塗装やサンドブラスト請け合いを行うなら工事する価値は有るが、200Vのコンプレッサーは時々しか使わないのなら、インバーターを介してモーターを駆動させるのが現実的かと思う。

 

■単相200Vのまま三相200Vコンプレッサーを駆動させるには?

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インバーターとは交流電源を制御する機器の事。
種類は本当に山のように色々と有るのだけど、単層200Vで三相200Vのモーターを駆動させるのは、この手のタイプの三相200Vが出力出来る、容量2.2kwクラスのインバーターを使うのが一般的。
中国のアリエクなら1万円を切る値段+送料でノーブランド品が売られているが、火災が起こったら大変なので日本製を選ぶ方が何となく心は穏やかだろうと思う。

このインバーターに単相200Vの電源を供給し、三相200Vを出力してモーターを駆動させる。
一つ注意したいのは、これはモーターを制御する機器で有って、これを介しただけで三相200Vの機械が動く訳では無いって事。
単純なコンプレッサーのモーターを駆動させる程度なら出来るが、エアコンや冷蔵庫を動かすのはちょっと無理じゃ無いかな。
モーターを動かすだけなら出来ても、制御が出来ないんじゃどうしようもないからね。

やり方については、文章だけで説明するのは難しいので興味のある人は調べて頂いたら結構なのだけど、少なくとも単に買って来ただけでコンセント差したらすぐ使えるって便利な機械では無い事だけは覚えておこう。
そもそもコンセントなんて付いてない。

そして大前提として、家屋内の電源を触る事と成るので、電気工事士の免許が必要と成る。
電気工事士の免許を持ってない人なら、最寄りの電気工事会社に相談しよう。
業務用エアコンを動かすのは恐らくは不可能だと思うけれど、圧力スイッチタイプのシンプルなコンプレッサーを動かす程度なら、パラメーター設定までお願いしてもそれ程お金も掛からないんじゃ無いかと思う。
自分でやったら火災は勿論の事、下手したらコンプレッサーが止まらずに爆発しかねないので、電気工事の専門家に任せるのが筋だ。

 

結論

無しだね。
結局、2回に渡って長々と書いたけれども、少なくともバイク整備なら200Vのコンプレッサーなんて要らない。
私のガレージでも三相200Vのコンプレッサーが有ったのだけど、結局大して使わないので動力はブレーカーを切ってる事の方が多かった。
ブレーカーを切ってたら基本料金が半額に成るので、使わない時の動力は1か月間は根本から切っておくのが吉だ。
途中でちょっとだけ使ったら、残念ながら基本料金は満額払わなきゃ成らないのだけど。

何十万円かのお値段でハイスペックなコンプレッサーを買って、何十万円か掛けて工事してまで使う理由の有る人なら結構なんだけど、ダスターとインパクトレンチ程度の使用頻度なら考えるまでも無く必要は無い。
2万5千円の静かなコンプレッサーを買ってきたらコンセントに繋いだらすぐに使えるので、きっとそっちの方が使い勝手は高いかと思う。

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種類はとても少ないが、実は単相200Vのコンプレッサーも実は存在する。
給油式なので塗装に使うにはそれなりに高性能なフィルターが必要と成るが、これなら工事も契約もインバーターも不要。
200Vのコンセントが有るならそこに繋ぐだけ。
無いなら、配電盤から線を出してコンセントを付けるだけなので、大した工事費は要らないだろう。

スペックは吐出量290L/min(60Hz)と、十分すぎるパワーを持ってるので、毎日連続使用しないならいっそコレがベストじゃ無いの?って思う。
気に成る電気代は、1時間使ったとして東京電力なら70円程。
丸一日毎日毎日ブラスト工芸をやってるなら工事と動力契約して三相にするのがベストだが、月に一度程度しか使わないならいっそコレでイイんじゃないの?
ってそんな事を思ってる。
使った事無いので何とも言えないけれど。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy