ガスケット選択の自由

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年末からガレージに大きなバイクが一台入っている。
毎度お馴染みのZX-11。
要するにZZR1100なのだけど、北米仕様な故に頑なにZX-11と呼ぶ事を強要する、中々邪魔臭いバイクだ。
あ、バイクは別に邪魔臭くない。
持ち主が邪魔臭いだけで。

今回の作業は、ヘッドカバーガスケットの交換。
プラグがぬるぬるしてきたので、特にプラグホール部分のパッキンについては早急に手を打たねばマズいかと。
このままプラグホールにオイル滲みが続けば、プラグが鮎の甘露煮みたいに成ってしまう。
場合によっちゃ、プラグがオイルに沈没してしまう事も有るとか。
それは流石に気付くだろ、とは思うのだけど、どうだろう。
フルカウルだから無理、かも知れない。

買ったのがコレ。

s_s-l1600

なんでこんなに沢山?

と思ったのだが、どうやらこのZX-11とは別のエンジンを組み直す予定が有るのだとか。
ちなみにそっちはZZR1100と呼び分けてる。
北米、オーストラリア、マレーシア、そしてヨーロッパ。
それぞれパワーも違えばハンドル周りのスイッチも違ったりするので、呼び分ける事は正しいのかも知れないが、周りの人間からしたら正直邪魔臭い。
と言うか邪魔なのでそのゴツいのを早く退けてくれないかと思う。
カタナのエンジンを乗せ替えなきゃ成らないのに。

で、その別のエンジンを組み直す為についでに、ヘッドカバー周りのガスケットと一緒にこれをebayで買ったとか。
海外で良く売られてる、社外品のガスケットキットを。
これで1セットで16000円程だとか。
予備も合わせて数セット買ったらしい。
一体、この人は何時まで1100に乗り続けるんだろうか。

ちなみに、純正品はヘッドガスケットが6000円、ステムシールは500円X16個なので、ベースガスケットやらカバー類のガスケットを一揃えすると20000円では足りないお値段と成るだろう。
流石は社外品、割と安い。
割と。
ガスケット1枚しか買わないなら大して変わらないと言えなくも無いけど。

実際に今現在最も必要なのは右下に写ってる、大きい○と小さい○の合体した黒いパッキン。
これがカワサキ伝統のプラグホールガスケットだ。

各メーカー共に水冷直4ツインカムのヘッドカバーはガスケットの取り回し、と言うかプラグホールの扱いに苦労してるのだが、カワサキはややこしい事するのを諦めたのか、それとも向いてないと悟ったのか、ともかくプラグホール周辺を別のパッキンで独立させる事を選択した。
それが↑の写真の大きい○と小さい○の合体した黒いパッキン。
これがカワサキ伝統のプラグホールガスケット。
ZRXは勿論、GPZ900RもZX10Rもこのタイプ。
プラグホールのパッキンは離れ小島。

s-l225s-cbr

参考までに、左がR1、右がCBR1000RR。
年式によって違いは有れど、概ねこんな感じ。
R1は、まだFZ~サンダーエースと名乗ってた時代は空冷エンジンみたいなヘッドカバーだったけど、R1と成って以降は初期型からこんなデザイン。
ちゃんと繋がってるので、強度の面では離れ小島よりは有利、と思う。
ヘッド上部の設計と製造は面倒臭そうだけど。

だがカワサキ伝統の離れ小島設計は、四輪車のヘッドカバー(カムカバー)には良く見られるので、あーだこーだ書いたけど特に珍しくなかったりする。
直4時代のホンダのCBR250R~ホーネット、スズキのバンディット系のヘッドカバーもコレだったので、別にカワサキだけが特別な訳では無い事を一応書いておく。
他にも有る、かも知れないので特に物珍しい訳でも無い事を一応書いておく。
カワサキ以外のバイクのエンジンでプラグが甘露煮に成る症状は余り聞いた事は無いのも、それはそれでちょっとアレなんだけど。
車のエンジンでは珍しく無いけど、バイクのエンジンでは正直カワサキ以外で聞いた事も見た事も無かったりするのはちょっとアレなんだけど。
ちょっとアレ。
ああ、多分、私が聞いた事無いだけの事だと思うな。
うん、きっとそうだ。
私の知らない所で、他のバイクでだってプラグの甘露煮は作られてるんだろうと思うな。
きっとそうだ。
....きっと。

実際の所、社外品のパッキンやガスケットってどうなの?
って思うのだけど、使ってる人が言うには意外とどうと言う事は無いみたいな。
私は使った事は無いし、多分この先も使う機会は無いだろうけど、意外とどうと言う事は無いのは確かみたい。

もっとも、ZX-11ならまだしも、もっと旧型のバイクに成るとメーカーが欠品を起こす場合が多々有るので、社外品に頼らざるを得ないのが実際の所。
海外のパッキン製造メーカーが生命線と言って過言では無い。
日本製のバイクなのに、日本には残念ながら....。
キャブのりぺアキットは、我が家から自転車で買いに行ける所で作ってたりするけど、エンジンに関しちゃ海外に頼るしかないのが実情。
どれ程神業級の技術を持ってても、ヘッドカバーのパッキン一枚さえ手に入らないとエンジンは直せないのだから。
マクガイバーならダクトテープと針金でどうにか急場は凌げるだろうが、あくまで急場を凌いでるに過ぎない。

従って、結局の所は社外品に頼らざるを得なく、そしてそれで特に問題なんて起きない訳なので、メーカーから普通に部品が出るバイクで有ろうとも価格の面だけを考えても社外品の選択はアリなのだろうと思う。
パッキン一枚をアメリカから取り寄せるのは現実的では無いけど、エンジン1機分、場合によっちゃ今回の人のようにエンジン数機分のパッキンをセットで買うなら、随分お得な社外品の選択もアリだろうと思う。
自信持ってアリだと言える選択だろうと思う。

そう、ガスケットには選択の自由が有るのだ。
純正も、社外品も、我らにはガスケット選択の自由が有るのだ。
どうせ純正買ってもそのうちオイル漏れするんだから安いのでイイんじゃ無いの?なんて事を書くのは控えておく

『カワサキに注文に行くけど何か要るか?』

と、同じくカワサキのバイクに乗る人にそう尋ねるZX-11の人。
何だ?
ガスケット買ったんじゃ無いの?
ebayで海外製のお得な社外品ガスケットを。

どうやら、ブレーキのマスターシリンダーのピストンやらキャリパーシールは純正が欲しいらしい。
出すか出さないかは別として、今もって実際に250km/hは出るバイク。
ここだけは純正にこだわりたいらしい。
プラグホールからオイル漏れして、プラグが佃煮みちあに成るならまだしも、ブレーキからオイル漏れしたら洒落に成らない物ね。
だからやっぱりここだけは純正にこだわりたいらしい。

ふ、根性無しめ。
でも、随分安いからと、タオバオで買ったマスターシリンダーのピストンやキャリパーのシールを組んだら生涯に渡って不安が付き纏うので、それはそれでとても良い選択だろうと思う。

ちなみにマスターシリンダーのピストンキットは、タオバオなら4~10元くらいで手に入る。
10元(CNY)は約168円(2017年1月6日現在)
選択はあなたの手の中に有る。
お好きなように選んで頂きたい。
ガスケットも、キャリパーピストンも、その選択はあなたの手の中に有るのだから。

私は、謹んで遠慮させて頂く。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy