鮒に始まり鮒に終わる

その昔私の周りでは、機械や道具の潤滑と言えばミシン油だった。

 

キコキコ言ってる恥ずかしい自転車にちゅ❤

ギシギシ言ってる勝手口のうるさい蝶番にちゅ❤

動きの固い照れ屋のハサミのお股にちゅ❤

 

私の子供の頃は、潤滑と言えばミシン油だった。
流石にクジラの油を使ってた時代は知らないよ。
人工衛星にはマッコウクジラの脳油を使ってたみたいだけど、残念ながら人工衛星に油を差した経験は無い。
私の幼少期にはもう使ってないのかな。

 

月日は流れてバイクに乗るように成ると、チェーンにはチェーンルブ、リアリンケージにはリチウムグリース、クラッチワイヤーにはワイヤーグリース、キャリパーピストンにはシリコングリース、ゴムにはラバーグリース、エンジン組み立てにはモリブデングリース....
と、なんかやたらめったら潤滑剤は細分化されて行った。
あの頃は、全部ミシン油で事足りてたのに。

勿論、それには理由は有り、そしてそれでなければ成らない理由も有る。
耐水性の低いグリースをリアリンケージに使ったり、ゴムを膨潤させるオイルをブレーキキャリパーのピストンシールに使ったり。
それら、直してんだか壊してんだか分からないような所業は確かに存在するが、だが一方で多くの場面で余ったエンジンオイルでイイんじゃ無いの?って場面もまた存在する。
前述の通り、キャリパーにエンジンオイイルを使うのは気は確かか、かと思うけれど、そうじゃ無い部分.....
例えばクラッチレバーの可動部、ワイヤー、チェーン、その他ヒンジの類。
それらには、意外とエンジンオイルは有効なケミカルと言える。
特にチェーンは、マメな人にはチェーンルブよりもエンジンオイルの方が有用だと私は思う。
私はね。
あなたはあなたの思うように生きてくれたら結構だよ。
そう、あなたのままに。

 

オイルを使うメリットは、何より掃除が楽って事。
通常、チェーンルブを長期使ったらスプロケカバーの裏側なんてえらい事に成ってくるんだけど、エンジンオイルなら洗剤でちゃちゃって洗うだけで綺麗に成る。
ホイール掃除もスイングアーム掃除も、チェーンルブ時代では考えられないくらい簡単に綺麗に成る。

一方で、チェーンにオイルを使う際のネックは、その掃除しやすさと同義の耐久性の無さ。
なんせ水で流れるんだから、雨の日に乗ると困った事に成っちゃう。

だから、メンテ時間が取れず、雨でも何でも毎日乗らなきゃ仕方ない通勤バイクには適さない。
その場合、エイリアンの鼻水みたいなズルズルチェーンルブか、或いは恥ずかしき垢を彷彿させる白い鼻くそルブかの、どちらかを選択するのがやっぱりベストだろう。
さらに、通勤バイクだからこそ、錆びにくいゴールドやシルバーのメッキチェーンを使うのが、より良い選択だろうと思う。
一番安い鉄チェーンは、マメにメンテしなきゃすぐ錆びちゃうからね。
錆びたところで、Oリング内のグリースが無事なら問題無い、って言えば問題無いのかも知れないけれど。
ともかく、毎日使う上にメンテも出来ないバイクなら、鼻水ルブか鼻クソルブかのどちらかを選択する必要が有る。

ちなみに私は、その昔に通勤にバイクを使ってた頃はびゅるびゅるしたズルズルチェーンルブだったけれど、仕事を辞めて毎日日向ぼっこして暮らすように成ってからは、迷う事なくエンジンオイルを使っている。
何度か乗る度、チェーンを拭いてオイルを差してやる時間くらいは十分に有るので、今のオイラはオイラーなのだ。

問題はオイル差し。
つまり、何のオイラーを使うかってこと。

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感想(0件)

USAGやBetaのスチール製オイラーは雰囲気抜群でとても可愛いんだけど、お世辞にも細かい所に使いやすいとは言えない。
私も持ってたけど、まぁ雰囲気を味わうだけの雑貨だね。
建築重機なんかには使いやすいかも知れないけども、チェーンに一滴二滴垂らすのは向いてない。

そんなお洒落オイラーとは対極に有る、スパルタンなオイラーがこいつ。
AZの狭所用オイラー。

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このオイラーには2種類有って、ノズルが注射器の針のように硬いタイプと、ちょい硬めの針金程度に手で曲げれるソフトノズルタイプの2種類が有る。
こちらは後者。
手でギュっと曲げれるタイプ。
ちょっと曲げてやると使いやすいかもねと考える人は、こちらを選択するのが正解だ。
曲げずにも使えるしね。
ソフトノズルと言っても金属製のチューブ。
ふにゃふにゃでは無いので、曲げた角度は維持される。

ドバドバ出る事は無いので、チェーンのリンク一コマずつに差すのにとても使いやすい。
自転車のチェーンならこの使いやすさにさらに感動するかも。

 

本来の用途はコレ。
ミシンの垂直釜部分への注油。

毎日使う人なら、一日に一回、一滴だけ釜に注油するのがお約束。
その一滴を的確に注油するのに、これがとても使いやすい。

この細長くてちょい曲げれる、だがだからとフニャフニャでは無いノズル。
15mlと、釜に一滴差すには余り有る容量。
そして、真鍮部分のネジを回すと一滴の量を調整出来る。

お洒落感は皆無だけど、機能面ではまさに完璧だ。
やるな、AZ。
機能美すら感じるよ、AZ。
はぁはぁはぁ。

ちなみにオイルは、同じくAZのミシンオイル。
私の周りはやたらめったらAZだらけに成ってる。
万能グリースも、シリコングリースも、ラスペネ代替えスプレーも、何でもかんでもAZばっか。
もはやケミカルはAZだけで全て事足りると言って過言は無いかも知れない。
お洒落感は皆無だけど、私はそう思う。
ああ、お洒落感は皆無だけどね。

と、そんな具合に、一時はラベンやヤマルーブやワコーズなんかの、ちょっとお高いケミカルを細分化させ使ってたけど、昨今はかなりの部分はオイルに回帰してる。
油を差す、と、そんなクラシカルな手法に。

流石にバイクの潤滑にミシンオイルを使ったりはしないけどさ。
そこまで回帰しないよ。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy