ターマックって何ですの?

今年も開催されるラリー・ジャパン。
日程は2023年11月16日(木) ~ 19日(日)

トヨタがモータースポーツに関わると、出場しようと開催しようと何かとトラブルを巻き起こす事がある種の伝統とされているのだが、2年目と成る今年はトラブルなく綺麗に終わりたいと関係者一同様は皆思ってる事だろう。
少なくとも、マーシャル用の備品がメルカリで転売されるようなどん臭い事態は避けたいもんだと。
それ以前に、昨年のラリー・ジャパンは負けたので今年の勝利を目指したい気持ちはわかるが、くれぐれも正しい手段で戦ってくれる事を願いたい。
検査の時には閉じてるのに走行中は開いてパワーアップする不思議な可変式リストラクターや、車検の時には全開に成らない不思議な磁石付きペダルを開発したトヨタだけに、くれぐれも正しい手段で戦ってくれる事を願いたい。
今年のラリー・ジャパンは勝利が至上命題で有る事は十分に理解できる所、では有るにしても。

 

で、本日はターマックって何やねんって話をまたしても蒸し返す。

ラリーやスーパーモタード等のモータースポーツで良く聞くターマックってフレーズ。
WRCではモンテカルロや、今は開催されていないがラリー・ドイチュラントが有名なターマック。
十勝時代はグラベルだったが、新生ラリージャパンもターマックだ。

今年のWRC12ラウンドに、ドイツ、オーストリア、チェコの3ヶ国を舞台にするセントラル・ヨーロッパラリーが開催されるが、ドイツではオーストリア国境のドイツ・バイエルン州パッサウで行われる。
東部のバウムホルダー軍事演習地では行われないので、もうヒンケルシュタインを見る事は無い。

このアウト側に並ぶコンクリートの塊が戦車脱輪防止の為に設置されたヒンケルシュタイン(Hinkelstones=Hinkelstein)
当然ながら、高速で接触すると大破は避けれない。
まさに運命石。
低グリップのやさぐれたコンクリート舗装のコースを走るこのSSは、WRC屈指のイカれコースとして有名だった。
マリオカートでももうちょっと安全性に配慮してるぜと。

で、本日はターマックって何やねんって話。

 

Q:ターマックって一体何の事ですか?

A:舗装路の事です

 

以上。
いやぁ、本日はあっという間に終わったね。
では皆様さようなら。

 

と、終わらせるのはちょっと物足りないので、もうちっとだけ続くんじゃ。

ターマック=TARMAC

これは、Tarmacadamが本来正しい言い方。
通称ターマックって呼んでるだけで、本来はタールマカダムと呼ぶのが由緒正しい呼び名だ。

 

ではタールマカダムとは何だ?って話。

 

Mcadam=マカダム
砕石による道路舗装法。
由来は、考案者のJohn Loudon McAdamさんの名前から。
ローラーで砕石をギュっと押し締める道路舗装方法。

良く整備された、堅く締まった農道をイメージしたら解りやすいだろうか。
それがマカダム。

 

Tar=タール
日本語では乾留液とか呼んだりするけど、私は今までそんな言い方してる人に出会った事は無い。
要するにコールタールのタールの事だ。

”タールとは、石炭・木炭などの固体有機物の乾留によって生じる黒色または褐色の粘性の油状物質”
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/132333/meaning/m0u/%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AB/

石炭由来のタールをコールタール、木が由来の物を木タールと呼ぶ。

一方アスファルトは、卑弥呼の時代から接着剤などの用途で日本でも使われる天然アスファルトと、原油を精製した際の残留物の石油アスファルトの2種類に分けられる。
天然アスファルトのギルソナイトは、現在でも塗料の原料や鋳造の際の鋳肌改善の為に使われる事も有る。
土瀝青(どせきれい)と呼ばれる国産天然アスファルトも過去には舗装道路に使われたが、現在の日本では舗装道路には一般的に中東産の原油から得た石油アスファルトを用いる。
つまりアスファルトとは石油由来の黒くてベタベタした粘性の高い液体を差すのであって、タイヤ切りつける舗装道路全般の事を差すのではない事を理解しておこう。
たまにコンクリート舗装の事を、コンクリートのアスファルトと、なんか訳の分からない事を言う人も居るのだが、言われた方は困ってしまうのでちょっと注意しておきたい。

 

Tarmacadam=タールマカダム舗装
砕石を押し固めただけのマカダム舗装は後に目潰し骨材(隙間埋めと接着)にタールが用いられるように成り、その舗装路をタールマカダム=Tarmacadam→TARMACと呼ぶ。
だからアスファルトを用いたマカダム舗装道路は本来ならTarmacadam=TARMACとは呼ばない。
アスファルトマカダムと呼ぶのが正しいが、そもそも現在はマカダム舗装すら道路工事では行われないので当然ながらそんな呼び名を聞く事は無いと思う。
私も聞いたこと無いわ。

 

 

アスファルトはアスファルトでコールタールはコールタールなので、アスファルト舗装路をスタンド攻撃しても残念ながらコールタールには成らない。
テリーマンの立ち位置の解説者の方は要注意だ。
タール=石炭由来
アスファルト=石油由来
似てるようでもちょっと違うので間違えないようにしよう。
でも、アスファルトをスタンド攻撃してアスファルトに戻したんだ!って言っても訳解らないので、正しい表現を行うのはこれはこれで難しい所と言える。
テリーマンの腕の見せ所だね。

 

上記した通り、舗装されてるからとその道路はTarmacadamでは無い。
そもそもコールタールを舗装に使ったりはしない。
日本初のアスファルト道路と言われる長崎のグラバー邸への通路は、実はアスファルトでは無くコールタールが使われるが、現在コールタールを少なくとも道路工事には使われる事は無い。
密粒度アスファルト舗装や砕石マスチックアスファルト舗装された道路をTarmacadamと呼称するのは適切では無いのだ。
また上記したラリー・ドイチュラント、バウムホルダー軍事演習地のやさぐれたコンクリート舗装の事もまた、当然ながらターマックと呼ぶのは適切とは言えない。
南米やアフリカで時折見られる、いつ工事したか解らない表面がズル剝けに成った舗装道路は、紛れも無くターマック=タールマカダムな可能性も無い訳じゃ無いけれど。

だから違うんだよ。
君がターマックと呼んだその舗装道路は必ずしもターマックじゃないんだよ。

と言う話なのだけど、特に世間に抗って生きようとは思ってないので、素直にラリーやスーパーモタードにおける舗装道路は何でもかんでもターマックと呼んでおこうと思う。
いちいち舗装道路の呼び名ごときで世間につっかかるのもしんどい生き方だしね。
忌野清志郎は嫌いじゃないけれど、そこまで世間に抗うつもりは無いわ。
どうせ抗うなら、舗装道路の呼び方なんかじゃなくて、もうちょっと意味の有る事柄で抗いたい。

と言う訳で、今後も舗装の種類は何であろうと、舗装されてたらターマックと呼ぶ事にする。
あれは薄層砕石マスチック舗装ですよ!マカダム舗装では無いですよ!もっと勉強して下さい!
なんて面倒な生き方はやめておくのが賢明な生き方だろうと思う。

 

なお、このTARMACって名称。
1824年創業のイギリスの建設資材メーカーの商標なんだとか。
今はCRHと言う巨大建設資材メーカーの傘下。

だからこのターマックって呼び方は、ホッチキスやテトラポッド等と同じく若干の危険性をはらんでる可能性も有るが、公平中立を厳守するNHK様は普通にターマックと呼称してるので、民間人で有る私は特に気に無い事にしておくよ。

 

CAR

Posted by tommy