ヨーロッパのガソリン価格

Vergleich der Verbraucherpreise für Eurosuper-Benzin in Mitgliedsländern der EU mit und ohne Steuern im Oktober 2022

Eurosuper-Benzinとは、ユーロスーパーガソリンと呼ばれる、オクタン価95のガソリンの事。
さらにもうちょいオクタン価と値段の高いEurosuper Plus-Benzinってのも有って、こちらはオクタン価98。
日本では基本的に輸入車はスクーターだろうとイタリアのスーパーカーだろうとハイオクガソリンを入れるのだけど、ヨーロッパではスクーターや極普通の乗用車にはオクタン価95のスーパー、高性能車にはオクタン価98もしくは100表記されるスーパープラスを入れる。
ピアジオとフェラーリが同じ燃料を入れるのは、やっぱりどう考えても合理的とは言えないからね。

現在のヨーロッパの多くのガソリンスタンドでは、エタノール10%添加のE10、日本のレギュラーガソリンに当たるスーパー、ハイオクに相当するスーパープラスの3種類のガソリンが有る。
これに加えて、トラック用のディーゼル燃料と、乗用車用のハイクオリティディーゼル燃料の2種類。
合計5種類も揃えてるのが割と一般的。
レギュラー、ハイオク、軽油の3種しかないのに間違える人が居るのに、5つも有ったら正しく選択するのは中々に大変だ。
ああ、普通は間違えないか。

 

こちらが2022年のヨーロッパ各国のガソリン価格。
上段の紺色のグラフが税込み価格で、下段のブルーのグラフが税抜きのガソリン価格。
数値は1000L当たりの価格なので、単純に1/1000にすればリッター当たりの単価と成る。

このグラフでは、最高価格はデンマーク。
1リットル当たり、税込み価格は2.074ユーロ。
これを書いてる時点のレート、1ユーロ=147.67 円で換算すると、デンマークではレギュラーガソリン1リットルが305.67円もする。
高いね。

確かにガソリン価格は高いのだが、デンマークはその分給料も高い。
なんせデンマークは月の平均給与が7000ドルも有るのだから日本とは話は随分と違って来る。
もっとも、かなりエグい税金を取られるので、手取りは4000ドル程度にまで激減してしまうのだけど、それでも平均的な年収は500~600万円台なので、日本の感覚ではまぁまぁ良い感じの額だろうと思う。
だから、確かにガソリン価格は高いのだが、バックグラウンドは異なるので、ここだけを切り取って日本に当てはめられたら大変だ。

でもそれとて一部分の事。
収入はそこそこ有ってもお察しの通り生活費は結構高額で、一人暮らしでも家賃と生活費一切を合わせて30~40万円近く見ておく必要が有る。
高いのはガソリンだけじゃ無くて、何もかんも高い。
特にコペンハーゲンに住むには何かとコストが割高になってしまう。

やっぱ住みにくそうだな、とか思うかも知れないが、歯科を除く公共病院での医療費は無料だったりと、アメリカの様に指を骨折して破産するような事は無い。

それは素晴らしいよねと思うかも知れないが、おっとどっこい、実はこの公共病院ってのは非常に混雑してるのが大きな問題。
日本の大病院も待ち時間は長いが、数週間も待つ事なんて流石に有り得ない。
アマゾンの無在庫中華販売商品じゃ無いんだから、大病院は大混雑してるとは言っても流石に日本では有り得ないレベルの待ち時間だ。
だが、デンマークでは有り得るんだよこれが。
ただいま混んでますので、2週間ほど待っててくださいね。
とか言われる。
コレはドイツなんかでも同様で、死にはしない程度の病気なら来週来いとか言われてしまう。
流石にそれは困ってしまうので、急ぎの人は市立病院へと行くのだが、こちらは残念ながら実費負担が必要と成る。

結局、どこを切り取るかによってデンマークの住みやすさ、或いは住みにくさの印象は変わってくるだろうけれど、特に子育てするには相対的にはやっぱり住みやすい国なんだろうとは思う。
物価は高く、収入も高く、そして税金も高い。
きっとこれも一つの正しい選択なのだろうと思う。
物価は低くて収入は高くて税金は安いのが望ましいのは当然だが、収入を高くするには会社の収益を上げる必要が有るので必然的に物価は高く成る。
余程外国から搾取しない限りは、それは仕方ない論理だろう。
無理言われたら困っちゃう。
ただ最近はアマゾンがスウェーデンに出来たので、収入は高いが物価は安い生活も出来なくも無い、かもね。

このグラフを見たら北欧はやっぱ高いよね、って思ってしまうかも知れないが、意外な事にフィンランドに次ぐ3番手にGriechenland=ギリシアが入ってくる。
2.03ユーロと、ざっと295円くらいの価格。
ギリシアと言えば、一時期は税制破綻を起こしてユーロ危機まで騒がれた事が有ったが、IMFへの201億ユーロもの債務を返済終えたので、日本人が心配する必要性は無い。
自分の心配しとけと言われるだろう。
ただそれでも、ギリシアの平均給与はお世辞にも高いとは言えないので、この金額は関係閣僚も正直スマンかったと言わざるを得ないだろう。

 

各種の税金にガソリン価格に高速料金に保険料。
日本と欧米諸国とでは、それらの事情は随分と異なる。
前述したように、何処を切り取るかによってその印象は大きく異なってくるので、断片的に切り取ってもあんまり意味は無い。
上っ面だけを見ても何ら意味は無い。
アメリカの医療費にしても同じで、確かに高額な請求されるのは皆様ご存じな事だろう。
骨折して数千万円、盲腸の手術で入院しても100万円を軽く超える高額請求に病気に成りそうだよと、そんな話は賢明なる皆様は十分にご存じな事だと思う。

盲腸の手術をアメリカで受けたら100万円を軽く超える、かたや日本では高額医療制度の助成を受けたら数日入院しても10万円以下で十分に収まる。
これだけ見たら日本の医療制度は素晴らしいと思うのだけど、だが日本の場合は人によっては安くない保険料を強制的に徴収され、その上で年間約17兆円も公費が医療費として投入されている。
ミクロ的には自己負担の金額が安いのはそれはとても素晴らしい事で、私も十分にその恩恵を受けているのだけども、自己負担以外のコストは誰が支払ってるんだろうかと考えたら、ちょっと違った印象を抱くかも知れない。
ちなみに薬価は日本の方が少々高かったりもするんだよ。
つまり、誰かが負担してるって事だ。
誰かって?
それはみんな。

 

一斑を見て全豹を卜す(ぼくす)との諺も有る様に、物事はある一部分だけ見ても全体を把握するのは難しい。
ただ世の中には、自分の都合の良い部分だけをつまみ取ってくる、いわゆるチェリーピッキングと呼ばれる悪質なテクニックを用いる人は数多いので十分に気を付けたい。

他所の良い所を取り入れるのは勿論正しい事で有るとは思う。
だが一方で、他所は他所で有りウチはウチで有ると言うお母さんの定理もまた一つの正しい答えだろう。
その辺を、まぁ何かアレして欲しいのだけど、ともかくアレだ。
レギュラーガソリン300円って高いよね。
ハイオクなんてもっと高いんだから、FD3Sなんか乗ってたら気絶しそうだわ。

と、ここらへんで読んで頂いてる方々は面倒くさく成って来てる頃合いだろうから、すごく上っ面な感想を述べつつ適当に終わる。
まことにスマンかったな。

CAR

Posted by tommy