トルクレンチは最低3本は必要な理由-1
プリセット型トルクレンチを指定された値に設定してボルトを締めたら折れた
なんて経験の有る人も居るかもしれない。
幸いな事に私はそんな経験は無いのだけど、過去には何度かそんな悲惨な光景を目にして来たので、意外と少なく無いのかも知れない。
ボルトが弱ってたとか、いきなり力いっぱい締めたとか、トルクレンチが壊れてたとか、トルクレンチと思ったらトルクレンチのようなレンチだったとか、等と原因は色々有るかも知れないけれど、そのトルクレンチが指定トルクには合ってたけどボルトに合ってなかった、ってのが要因としては大きいんじゃ無いかと思う。
そう、トルクレンチってのは締め付けトルクの範囲内なら何だって使える、って訳では無いのだ。
のだ!
とは言っても、そりゃ勿論指定された締め付けトルクの把握は最重要項目。
これがまずの第一歩だ。
ヘッド周り
1.シリンダーヘッドカバー | – | 9.8N・m |
2.シリンダーヘッドカバー | M6 | 9.2N・m (マニュアル未指定の為M6-1.8系列の標準締め付けトルク) |
3.シリンダーヘッド-1 | M11 | 47N・m |
4.カムシャフトホルダー | M6 | 12N・m |
5.オイルパイプ | M6 | 11N・m |
6.シリンダーヘッド-2 | M8 | 20N・m |
7.シリンダーヘッド-3 | M8 | 25N・m |
8.オイルライン | – | 11N・m |
クラッチ周り
9.クラッチカバー | M6 | 11N・m |
10.クラッチスプリング | M6 | 11N・m |
11.クラッチセンター | – | 130N・m |
オイルパン
オイルパン | M6 | 11N・m |
手の届く所にゼファー1100のマニュアルが有ったので、とりあえずゼファー1100って事で。
一例として載せてみたのは、一般的に触る機会の有りそうなヘッド周りとクラッチ周り、後はオイルパン。
もっとコアな所まで手を出し始めたらキリが無いんのだけど、今回のお話のコンセプトはあくまでトルクレンチは実はまぁまぁ一杯要るんだよって話な訳で。
直4の腰下を触る人ならトルクレンチなんて既に一杯持ってるだろうから書くだけ野暮ってもんだから割愛する。
なんでオイルパンなのさ?ってのは、わざわざゼファー1100でサーキットを走る人はオイルパン変更は必須と成るからってのがその理由。
潤滑云々ではなく、センター部分をカットしたオイルパンに交換しないと、真下で集合させたマフラーに交換出来ないのがその理由。
ノーマルオイルパンはでっぱりが有るので真下集合マフラーは取り付け不可だから。
ノーマルオイルパン対応の集合マフラーでは右コーナーで直ぐに擦るので、バンク角を稼げる真下集合マフラーは必須なのだ。
ノーマルステップよりも先に接地するマフラーじゃサーキットを気持ち良く走れないからね。
従って、ゼファー1100にバンク角を確保した真下集合マフラーを装着するなら、加工済みオイルパン付きマフラーを買うか、純正をどうにか加工するか、加工済みのオイルパンを買うか、豪華にアルミ削り出しを買うか、と言う一手間が必要に成る訳だ。
長くなったのでその2へ続く。