あやふやでも良い、クリーンに走ってくれるなら

 

なんだか激しくあやふやな電動バイク。
定格出力がどれくらいなのかもいまいち良く解らないけれど、これが$995.00(24 台買った場合)で売られてるんだから凄い話だと思う。
その全てが凄くあやふやだけど。

 

こう言うのを見ると、ダメな所をせっせと探したく成るのがライダーの性って奴なんだろうけど、作ってるのはそれなりに実績が有る会社なので、少なくとも後ろ向いて走ったりはしない。
見た目だけ違うモデルも含めて相応に売れて、混沌が渦巻く中国の町を、自由気ままな中国人のライディングで走ってるのだろうから特に問題も無いみたい。
存在自体に問題は凄く有りそうだけど、乗る事それ自体には問題は無い、と思う。

 

モーターだけちゃんとしてても、車体がダメならバイクとしてはダメだよ。
それは至極ごもっともな意見だ。
車体は確かに重要。
だけど、330km/hからフルブレーキングしてコーナーに突っ込んでいくようなバイクでは無いので、枯れた技術の枯れたフレームで何ら問題は無い。
謎の中華メーカーでもそれくらいは十分に作れるので何も問題ないさ。
ボコボコの道で4人乗っても大丈夫なバイク作ってるんだから。
R1-Mの車体は作れなくても、YBR250くらいのスタンダードな車体なら問題なく作れる。
そして、公道を走る上ではそれで何の問題も無いのだから。

 

https://www.facebook.com/WUXI.SINOTECH.VEHICLE.CO.LTD

作ってるバイクはどれもこれも非常にあやふやだけど、バイク自体に問題は無いさ。
もっと根本的な所に大きな問題を抱えてるだけで。

 

 

現在、って程に昨日や今日の話でも無いけれど、中国にはこの手の電動バイクブランドが数多い。
バッテリーと制御系とインホイールモーターはパッケージングされて部品会社から供給されるので、メーカーとしては外装をデザインする程度。
出力によって幾つか種類は有るけれど、まぁまぁどこのメーカーも中身は同じ。
謎メーカーが作るスマホやタブレットと話は一緒だね。
中身は買ってきた部品の組み合わせなので、見てくれが違うだけで中身は大差無い。
クルーザーもスポーツも、モーターの出力やディメンションこそ違うものの根幹は同じだ。
髪型と等身でキャラを分けるキャプテン翼みたいなもんだね。
細かい事なんて気にしない。

だがコストダウンと参入障壁の低さには圧倒的有利に働くので、次から次へとニューモデルをリリースできる。
非常に優れたシステムだけど、だからと日本の4メーカーやドゥカティやKTMで同じ事が出来るかと言えば、そりゃ無理っすよな話だ。

システムを共有化して、E-NinjaやE-YZFやE-CBRを作る事は物理的には可能なんだろうけど、この巨大企業でそれが出来るかって考えたらやっぱり難しい。
原付一種クラスのスクーターなら今もホンダとヤマハがタクトとジョグ、ジョルノとビーノでやってるように可能だろうけど、スポーツバイク、或いはさらにフラッグシップまで共有化するのは不可能だ。
中身はホンダと同じなのに、カウルを変えて黄緑に塗っただけでニンジャですよ、なんて話はやっぱ通じない。

従って、どこまで自社でやるかは別として、内製しなきゃ成らない訳なのだが、現在の内燃機関と違って電動モーターの差別化なんて殆ど無理な話なので、メーカーの優位性がガタガタと崩れてしまう。
エンジンの差別化で飯食ってる既存メーカーにとっては困った話だ。

 

 

ちょい前にも書いたように、確実に世界は脱内燃機関の道を進んでるのが現実。
あーだのこーだのと電動自動車&電動バイクのダメな所を挙げ連ねた所で、それは覆りそうに無い流れなんだろうと思う。

ホンダとニッサンを合体させよう、って今更な話もこの前有ったけれど、電動化が進んだらコンポーネントの共通化ってのは避けては通れないのかもね。
会社の合体はともかく、国内外の自動車メーカーのようにコンポーネントの共通化の道を進むのかも。
いずれは日本製だろうとイタリア製だろうとコンポーネントは全部台湾製に成って、ロシア人がスパナでブン殴って直す未来がやってくるのかも知れない。

 

ちなみに上の非常にあやふやな電動バイクは、実売で20万円くらいかな。
日本ならスクーターのE-vinoくらいの値段。
同クラスの電動バイクを日本メーカーが作ると、恐らくは頭に1が着くお値段に成るだろうと思う。
下手したら2が着く。

10年~20年後。
ヨーロッパでは、最後まで抗うイタリアを含めても恐らく個人用内燃機関は風前の灯に成ってるだろう時代。
日本でも、アメリカですらも程度の差は有れ同じ方向へと進むのは容易に想像できる。

その時代、日本メーカーはこの中華電動バイクに対抗出来るのだろうか?
10年経ったら今よりもさらに、もはやあやふやなんて言わせない程に進化するだろう中華電動バイクを相手に、それらと大した違いの無い日本の4メーカーはブランド名だけで太刀打ち出来るのだろうか?
10倍程も高い電動バイクで太刀打ち出来るのだろうか?

 

そろそろ時代の流れを受け入れなきゃ成らない日が来たのかも知れない。
エンジンメーカーには死刑宣告に等しい、電動化の流れを受け入れる日が。
もはやピストンの数がどうのこうのって時代じゃ無い、って現実を受け入れる日が。

 

MOTOR CYCLE

Posted by tommy