顎の骨が折れたらどうなるか説明しよう
顎の骨が折れたらどうなるの?
今回はそんなお話。
突然どうしたんだ?って思うかも知れないけど、特に意味は無い。
地球に向かう小惑星を破壊したとか、エイリアンを倒したとか、あるいはチェーンソウ片手に鮫と戦ったとか、そんな気の利いた出来事が有ればちょろっと書くのだけど、カレー煎餅食べながらスタローンの映画見るだけで何事も無く一日が終わってしまったので、こんな話を書いてみようと思った。
顎の骨が折れたらどうなるの?
と言う話を。
前提として、これは私が顎折った時の話。
折れた場所や折れ方、或いは治療方針により変わる可能性が多々有る事を予めお断りしておきたい。
ちなみに折れた箇所は顎の先端、ジョン・トラボルタが割れてる箇所。
まさにアゴ折れたと聞いたら真っ先に頭に思い浮かべる箇所だ。
そして頬骨。
上あごだけど、顎とは言わないかも知れない、けどまぁ便宜上アゴって事にしておく。
ともかくその2箇所。
折れた原因はモトクロス。
調子乗って飛びすぎたらえらい事に成ったって訳で。
勿論、由緒正しい高級モトクロスヘルメットは被ってたのだけど、理由を聞かれても知らないがともかく折れたのだ。
まぁそんな事も有るみたい。
ヘルメット被ってても折れる時は折れるよね、な感じで。
別にヘルメットメーカーが悪い訳じゃ無い。
調子乗った私と地球の重力のせい。
1:症状
意外と痛く無い。
指や腕は折れたら物凄く痛いけど、顎はこれが意外と痛く無い。
少なくとも私の場合は。
ただ喋れない。
ハホハホハホ、フガフガフガとしか喋れなくなる。
おいダンカン!とさえ言えなくなる。
フガフガフガ。
2:病院は?
病院は口腔外科と言われる、口周り専門の外科医。
町の歯医者でも無ければ、一般の外科でも無い。
恐らく、余程の僻地でない限りは口腔外科での処置と成るだろう。
自宅近所に無ければちょっと面倒な事に成る。
なお、町の歯医者さんも口腔外科の看板挙げてる所も有るけれど、さすがにそこで手術は出来ないので結構デカい病院へ転院する事に成る。
3:治療方法
外科手術によりチタンプレートで骨を固定する。
私の場合、口の中からメスを入れ、顔の肉をべろりと剥がして骨にチタンプレートを固定する手術が一箇所。
そして顎の下の目立たない部分を切って、これまたベロリと顔の肉をめくり上げてチタンプレートで固定してる。
そう、三枚卸みたいに、骨から顔の肉を剥がしてベロリとめくって骨をチタンプレートで繋ぐんだよ。
なんせうら若き乙女だっただった頃の話。
流石にフランケンシュタインの怪物みたいに顔にメス入れたりはしない。
だから外見からは全く見えない、中々見事な治療をして頂いた。
顔の肉を骨からめくって、折れた骨を金属プレートでネジ留め。
想像したらちょっと背筋がざわざわってしてしまう手術だ。
当たり前だけど、全身麻酔してるから本人にその実感は無い。
そりゃそうだ。
4:固定方法
顔や顎にギブスは巻けないので、別の方法で固定する必要が有る。
固定は、私の場合は上下の歯にブラケット(金具)を着けて、そのブラケットをワイヤーで固定する方法。
歯と歯の間に細いワイヤーを通して、そのワイヤーでブラケットをガッチリと固定する。
これが痛い。
このブラケットの固定が歯にアイアンクローされてるように物凄く痛い。
右の奥歯から左の奥歯、上下全ての歯を針金でブラケットに固定する。
だから全ての歯がかなり痛いのだ。
その痛い痛い思いして取り付けた上下のブラケットを、今度は上のブラケットと下のブラケットとをワイヤーで固定すると言う、さらに痛い作業が待ち構える。
それはもう、これでもか!とばかりに思いっきり締め上げるのだ。
物凄く悔しい人みたいに、思いっきり歯を食いしばる事と成る。
もうこれが本当に痛い。
物凄く痛い。
5:経過
手術を終え、ブラケットの固定も終えたら後は病室のベッドでじっと待つだけ。
それ以外に何もする事は無い。
私の場合、1ヶ月ちょいくらい掛ったと思う。
もっとも、この時私は他にあちこち壊してたので、動くに動けなかったんだけどね。
なお、口を縛ったままなので食事は流動食と点滴。
物凄くマズい人肌の流動食を一日三度と点滴だけの生活だ。
1mmも口は開かないので、プリンすら食べれない。
ついでに言えば、口をガッチガチに縛ってるので殆ど喋れない。
喋れない、食べれない、ただ上向いて寝てるだけの毎日。
もう一つ言えば、じっとしてても物凄く痛い。
骨折箇所では無く、上記した針金でブラケットを縛った歯が物凄く痛い。
欠伸(あくび)したら、本気で歯が全部抜けるんじゃないかって位に強烈に痛い。
腕や足の骨なら、手術終えて1週間もしたら痛みなんて無くなるけれど、顎の場合は歯に固定してるブラケットがずっと痛い。
猛烈に。
これが約1ヵ月~の辛抱の毎日と成る。
もう本当に、殆ど寝れない位に物凄く、そしてずっと痛い。
止むことなくずっと痛い。
なお、歯の外は磨けるけれど歯の裏や奥歯は歯磨き出来ないので物凄く気持ち悪い。
ともかく悲惨だよ。
顎は折ったらいかん。
6:退院後
特にリハビリは無い。
腕折った時みたいに、お湯に浸けて動かしたり、なんて事は無い。
顔だし。
ちょっとずつ口を動かしていけば、その内に昔のように喋れるし食べれるしお口で色んな事も器用に出来てしまうだろう。
だが、退院後は当分の間は口が殆ど開かないので、暫くの間はハンバーガーは食べれなく成る。
実際、マクドナルドのチーズバーガーを食べれるまで、1年くらい掛ったように思う。
後遺症は特に無い。
別に年月と共にチタンプレートが飛び出してきたり、なんて事は無い。
なお、チタンプレートは入れっぱなし。
冬場はジンジンと顎のプレートが冷え込んでくる感覚は有るので外しても良いけれど、外すならまた全身麻酔~三枚卸手術をしなきゃ成らないので私は遠慮しとく。
人間には骨なんか一杯有るから1本くらい折れたところでピーピー言うなよ。
と、サラ・コナーはシルバーマン先生に言ってたけど、一杯有るからと折れて良い骨なんか無い。
どこの骨だって折れたら大変だ。
だがその中でも顎は折れたら中々に大変な箇所なのは間違い無い話。
腕の単純骨折なら、ガッコン!と骨を入れてギブス巻いてたら勝手に治るのだが、顎は骨接いでギブス巻いて、と言う訳にも行かないので中々大変だ。
と言う訳で皆様、あんまり調子乗ってたら非常に痛い目に遭うのでご注意を。
ともかく悲惨だよ。
顎は折ったらいかん。