ちょっと待て、そのコンテナは違法だよ

友人の一人が、パニガーレV4なんて言うゴージャスなバイクを購入する事と成った。
さんびゃくまんえんもするすごいばいく。

安いバイクならぞんざいに扱っても構わない、なんて訳では無いのだけど、やはりパニガーレ様にはパニガーレ様にふさわしい扱いをしてあげたい。
だって、パニガーレ様なんだから。

と言う訳で、車体カバーとバーロックでは少々心もとないので、もっと!もっと!防犯対策を取ろうぜ!と考えたのだ。
その一つが、きっとバイクに乗る誰しもが一度は思いつくアレ。
海上輸送用中古コンテナを駐車場に置いてそこにバイクを仕舞ってやろう、って作戦。

https://www.ats-japan.com/stock-new10ft-container/

例えばこの小さな10ftコンテナは、大きさがおよそ3×2.5m
ハヤブサでも2mちょいの大きさなので、このサイズのコンテナでも十分に収納できる。
軽自動車は3.4m x 1.48m以下なので、大体のサイズ感は解るかな。

置き場さえ有ればかなり強固な防犯対策が取れるので、実際に使ってる人もちらほら居るかとは思うのだけど、実際には購入や搬入の問題以外にも、大きな問題が有る。
それは建築基準法って法律。

https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000538769.html

大阪市ではこんな見解を示していて、海上コンテナを用いた倉庫は建築確認申請が必要だよと、そんなアナウンス。
それじゃぁ、建築確認申請とやらを行えばイイんだろ、と思うかも知れないけれど、実際に自分でやるのは不可能な話。
基礎やコンテナの見取り図から、通常は部材の断面や構造解析まで必要なので、そんなのを民間人が自分で行う事は不可能だ。
建築の事は建築屋に、って話なのだが、大体は断られる。
いやいや、中古コンテナのポン置きなんて無理っすよと。
したがって海上輸送用コンテナはそのままでは建築基準をクリア出来ないので、基礎工事から各部を法的にクリアするような改修が必要と成る。

ちなみに以前我が家を建築する際、建築士さんと雑談レベルでコンテナを置いてバイク用の車庫作るのはどうだろうかって話をした事有るのだけど、普通に車庫を建てた方が安いっすよって事に成った事を追記しておく。
具体的に何をどうするのかって話まではしてないけれど、きっとすっごく面倒くさいんだろうな、って事は解ったよ。

なお、コンテナを建築物にするには、鉄骨造建築物は主要構造体がJISをクリアした鋼材で、JIS検定をクリアした技術者=AW検定って奴かな、そしてそれを組み立てるのも鉄骨製作工場認定Jグレード以上の工場で有る必要が有る。
これが事実上中古のISOコンテナは使えず、必然的に建築確認申請をクリアするように設計された建築用コンテナしか使えない理由。
中古の輸送用コンテナをそのまま流用するのはちょっと難しい。
ただこれは鉄骨造の話で、木造と組み合わせたりしたらまた話は別の方に行ってしまうのだけど。

中古海上コンテナを使用したお洒落レストラン!なんてのも有るんだけど、あれはどうなんだろう?
実際には建築用コンテナをそれっぽく改造したのか、建築士が頑張って頑張ってどうにか合法化したのか、或いは威風堂々の違法建築宣言なのか?。
どうだろうね。
3番目で無い事を祈りたいな。

こんな堂々とした違法建築も有るので、とかくこの世は油断も隙も無い。

 

ちなみに、輸送用コンテナは基本的には壁で支えるパネル構造なので、窓や出入口を開口すると強度が極端に落ちるのが禁止される理由なのだとか。
一方の建築用コンテナは主に頑丈なフレームで支える構造で、開口を前提として設計してるのでその心配は無用だ。
見た目は殆ど一緒だけど構造は随分と違ってる。
その分、お高く成っておりますが。

 

 

そんな訳で、中古コンテナをネットで探して購入してバイクガレージにしてやろうってのは、きっと多くの人が思う事だけど何かとハードルは高いのが現実では有る。
でも実際にやってる人も居て、実は私の周りにも居る。
それもちゃんと合法に。
そう、何だのかんだの書いたけど、実は幾つかの条件さえクリアしたら不可能では無いのだ。

 

コンテナを合法的にバイク置き場とする為のポイント-1
移動可能な構造とする。

随時かつ任意に移動できないコンテナは、その形態及び使用の実態から建築基準法第2条第1号に規定する建築物に該当します

と、国土交通省は見解を発表しているので、任意に移動出来れば問題には成らない訳だ。
具体的にはトレーラーハウスにしてしまえば良いって事。
つまり、台車に乗ってるのでトラックで移動できますよと大義名分が有れば、それは建築物とは見なされなく成るって事。
固定資産税だって掛からない。
その分、自動車税やら移動するには車検は必要に成ってくるんだけど。
ハイエースを車庫代わりに使うのと、基本的には考え方は変わらないって屁理屈。
それが現実的かどうかと尋ねられたら答えに窮してしまうけれど、動くならそれは車なんだよ、建物じゃないんだよって話。
これなら海上輸送用コンテナを堂々と車庫として使える。
現実的かどうかと聞かれたら、まぁちょっとアレなんだけど。

 

コンテナを合法的にバイク置き場とする為のポイント-2
10平方メートル以内の大きさとする。

12ftコンテナの大きさは3.715mx2.450m。
その次の大きさの20ftは6mを超えるので無理なのだが、12ftなら10平方メートルに収まる。
これなら建築確認申請が不要な場合が有る。
従って、中古海上輸送用コンテナを車庫にするには、この路線で進めるのが最も現実的で有ろうかと思う。

建築基準法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201

(建築物の建築等に関する申請及び確認)
第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。
 
~中略~
 
2 前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない

 

建築確認申請が不要と成る条件としては

1.防火地域及び準防火地域外
2.10平方メートル以下
3.増築、改築、移転

防火地域及び準防火地域については、お住まい地域の役所のホームページに記載されてるので、ご確認を。
増築、改築、移転については、建物の有る敷地内にコンテナを置く事を想定している。
何も無い敷地や駐車場に置くのは問題と成る。

建築確認申請が不要と成る条件としてはこの3点がクリアされてる事。
だが、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は第一種中高層住居専用地域内へのコンテナを使った倉庫の建築は多くの自治体では規制されるので、それを根拠に不法とされる可能性は有る。
だから、本来は許されるだろう筈の防火地域及び準防火地域外に有る自分の家の敷地内に12ftコンテナを増設しようと思っても、ダメなものはダメです!とお母さんみたいな事を言われる可能性は十分に有る訳だ。

ちなみに前述した私の周囲でコンテナにバイクを仕舞ってる人は、山の中に有る家の裏庭に12ftコンテナを置いてるので、特に問題には成ってない。
そもそもサルかイノシシかカモシカくらいしか住んでないので何ら問題に成る筈も無いんだけども、だからと大阪市内や東京23区内でコンテナを置く土地が有ったとしても、それが合法なのか否かなのかは、解らないってのが正直な所。
市役所には建築指導部やら建築科やらが有るので、結局はそっちで相談して貰うのが立派な大人としての真っ当な道だろうと思う。
実際にコンテナを買う前に確認しておくのが大事だ。
買った後でダメよと言われても困っちゃうからね。

 

なお、我が家の場合、知ってる人は知ってるだろうけど、実はドゥカティを自宅のリビングに置いている。
なんかmotoGPライダーみたいだけど、ともかくリビングに置いてるんだよ。

盗まれる心配は少なく、毎日バイクを見ながらコーヒーが飲めると言う素敵ライフが送れるのだけど、時々にでも乗るバイクならこんなアホな事するのはお勧めしない。
最大の問題点は、バイクってすっごい臭いって事。
ガソリンやオイルの匂い、タイヤの匂い、ブレーキパッドの匂い、そしてなんかあちこちからの匂い。
ともかく、すっごい、くさいよ。
これがバイクの匂いだよと、そんな生意気な事を口走ってしまうかも知れない年頃の人も居るかも知れないけれど、建築業界の方々はシックハウス症候群の対策にあれこれ尽力してるってのに、こんな化学物質の塊みたいなのを自宅屋内に持ち込むのはお勧めしないな。

その対策として、数日以上野外に放置した後にオイル交換して洗車してガソリン完全に抜いて出来ればタンクの洗浄までやる必要が有る。
そこまでしてやれば匂いの問題はほぼ無くなるけれど、乗ったらまた臭い子に逆戻りなのでずっと飾っとく覚悟は必要だ。
乗ったり飾ったり乗ったり飾ったり、ってのはちょっとお勧めしないな。
特に小さいお子様や化学物質に過敏な反応を示す人が居るご家庭では止めておいた方が良いと思う。
体育館くらいの敷地のお屋敷なら大丈夫かも知れないけど。

 

そして家にバイクを置くと起こるもう一つの問題は、当たり前だけどすっごい邪魔って事。
バイクってね、家の中に入れたらすごい存在感なんだよ。
バイク屋の店内に展示されるバイクは凄くデカく見える経験は皆様持ってるだろう。
ただでさえデカいMT-01なんて、バイク屋の店内で見たら凄いものね。
ラオウが乗りそうな位に凄いもの。

リビングでカバディ出来るくらいの豪邸なら問題無いんだろうけど、庶民が住んでる庶民のお家では、バイクを置くってのは中々にスペースを圧迫してくれるのだ。
現在、我が家のリビングには小さなソファとミニテーブルが一つ、アマゾンプライムしか映らないテレビが一台置いてるだけ。
殺風景極まりない、本当に何も無いリビングなのだけど、それでもやっぱり思う。
家の中にバイク置いたらすっごい邪魔だよって。

そもそもリビングにバイクを置く事を念頭に、玄関からの動線から考えて家を建てたのだけど、実際やってみると改めて思うね。
家に飾るならモトコンポくらいにしておけば良かったかもねって。

 

 

結論

・海上輸送用コンテナは何かと問題は多い。

・問題は多いが、それでも12ftまでならワンチャン有るかもね。

・でもダメなモノはダメな場合も有るので、結局は役所に聞きに行くしかない。

・あと、家の中にバイクを置くのはお勧めしないよ。チャリにしとくのを勧めたい。

 

以上。
くれぐれも、コンテナを買う前に法的にクリアされてるかどうかの確認をお忘れ無く。
先走っちゃダメ。

 

MOTOR CYCLE

Posted by tommy