アメリカズGPを昨年と比較してみたら

アメリカズGP ショートレースの話題はやっぱりリンス。

まだまだ完璧とは言えないけれども、それでもスズキ時代に魅せた、妙なラインなのにするっと曲がる乗り方、は復活の兆しは有るので、ホンダがリンスの要望を聞いてくれたら今後益々状態は上を向く、かも知れない。
ただ、リンスのバイクを曲げようとホンダが尽力したらマルク様のおへそが曲がってしまう恐れも有るので、ホンダはその辺をどうコントロールするのかが重要な決断と成るのかも。

 

今季、多くのライダーがマシンチェンジを行った。
チェンジを切望した人、どうしようも無かった人、全部スズキが悪い人、等とそれぞれ事情は異なるが、ともかく新天地へと移ったのならそこで結果を残すのがプロフェッショナルライダー、それも最高峰クラスの上位ヒエラルキーに属する世界の一握りの人達の責務。
サインして移った以上はそれが例えクソの塊のようなバイクだとしても仕方ないのだから、その昔のレディングのようにやさぐれたい気持ちは解るがお口には十分な注意を払いたい

 

 

  2022 2023 タイム差
Joan Mir
SUZUKI→HONDA
02’02.9470(8) 02’02.7430(13) -0.204
Alex Rins
SUZUKI→HONDA
02’02.6940(7) 02’02.0520(2) -0.642
Alex Marquez
HONDA→DUCATI
02’04.2290(23) 02’02.2420(4) -1.987
Jack Miller
DUCATI→KTM
02’02.0420(2) 02’03.0840(10) +1.042
Fabio Quartararo 02’02.6340(6) 02’02.7490(7) -0.115

こちらが、主なライダーの2022年と、移籍した2023年のオースチンでの予選タイム。
( )の中の数字は順位。
レースは一発のタイムで全てが決まる訳で無く、そして一つのサーキットの一つの予選タイムだけでどうこう言えないのも事実だけど、まぁ参考値と言う訳でお一つ。

今季の移籍市場において、もっともインケツを引いたとされるのが、2020年王者ジョアン・ミル。
そもそもスズキからホンダへの移籍話は随分と前から燻ぶってはいたので、仮にスズキがMotoGPを撤退しなくてももしかしたらホンダへの移籍が有ったのかも知れない。
が、そんな事は棚に上げて全てをスズキのせいにしたい心境だろう。
そうや、全部アイツが悪いんやと。

だが、意外な事に、超絶なるインケツを引いてしまったとされるミルだが、オースチンでのタイムは意外にもスズキ時代よりも速かったりする。
昨年の2秒9470に対して今年は2秒7430と、コンマ2秒程度だが確実にタイムは短縮している。
今季のこれまでの結果を見てたら2秒くらい遅く成ってんじゃ無いか、ってイメージを抱く人も居るかも知れないが、これが意外な事にちょっとだけ速くなってる。
ちょっとだけでも、少なくともオースチンの予選タイムは速く成ってるのは事実なので、今後に期待しよう。

 

一方、同じくスズキから移籍したリンス。
ホンダはサポートしてくれないよと、早くも昨年のアレックス君と同じ事を言い出したアレックスさん。
ファクトリーとしてサポートするからこっちおいでよと誘われたのに、この扱いはそりゃあんまりやでって言いたい気持ちは良く解る。
LCRカストロールの伝統なので、どうにも成らないかも知れないけれどね。

そんなアレックスさんだが、ブツブツとボヤきつつも2秒6940から2秒0520と、0.6秒以上もタイムを縮めている。
何だかんだブツブツ言いつつも、ホンダへ移籍して速く成ってる。
あくまでこのオースチンでの予選の一発タイムではね。
今後のヨーロッパラウンドでも上向くか。

 

今季の移籍組で、もっとも成功を掴んだと言われるのがアレックス・マルケス。
移籍前からドゥカティに乗れる事が嬉しくて仕方ないってコメントを発するくらいにご機嫌様なアレックス君だったが、開幕以来結果も十分に残して現在ランキングは4位。
3位のザルコとは2ポイント差なので、これをひっくり返してバニャイアを追いかけて行けばドゥカティ内の立ち位置も変わってくる事だろう。
何年か後、アレックス君が赤いマシンに乗ってても何ら不思議ではない、かもね。

そんなアレックス君。
4秒2290から2秒2420と、驚く事に約2秒も短縮。
同じ人だとは思えないこの激変ぶりには驚くばかりだ。
これがバイクの違いなのか、それともメンタルの違いなのか。
ホンダは本気で分析する必要が有るかも知れない。

 

だが、勿論全員が大成功とは必ずしも言えない。
開幕戦のショートレースで上々のスタートを切ったジャック・ミラーだったが、今回のオースチンでは2秒0420から3秒0840へと、1秒も遅く成っている。
たかだか1戦の予選タイムだけを見てどうこうは言えないものの、昨年は2番手タイムだった人間が4列目10番手に下がるのは、本人に取ってはちょっとショックかも。
ヨーロッパラウンド以降巻き返せるか。
どうだろう。

 

そしてもう一人。
乗り換えてないのに、あるいは乗り換えて無いが故に年々苦しみが増しているクアルタラロ。
今回のオースチンでのタイムは、2秒6340から2秒7490と、ほんのちょっとだけどタイムを落としている、
たかだか0.1秒だけどこれがヤマハに取っては非常に重大な事。
ドゥカティならば決勝レースで頑張ればこの程度の差をひっくり返す事は容易なのだけども、単独走行でしか強みを発揮できないヤマハに取っては、この予選の一発タイムはとても重要なモノと成る。

ヤマハが抱えてる問題は色々と有るのだけども、その一つがウイリーしてしまうって問題。
エンジンのパワーは上々なのだが、そのパワーを生かそうと思っても立ちあがりでウイリーしてしまう。
電子制御で抑え込んではどうしてもタイムが落ちてしまうので、困ったなぁってのが現状。
その解決策として最適な手とされてるのがコーナリングスピードを上げる事。
低い速度からドッカンと加速したらフロントが浮くので、初めから速い速度から加速してやろうって無茶な作戦が敢行される。

コーナーの進入でアドバンテージを得て、コーリングスピードを上げる事でウイリーを防いでライバルと遜色ない加速を魅せる。
これがヤマハの作戦なのだが、他のマシンとは戦略が随分と違うので他のバイクの尻に着いていく作戦では真価を発揮できない、というかコーナーで詰まるのでタイムを落としてしまう。
これがヤマハは単独走行で強みを発揮する、逆に言うと混戦に成るとしんどいよって話の理由。

ただこの走り方、やれと言われて出来る人間はクアルタラロしか居ないので、そんなの求められてもフランキー困っちゃうって話な訳だ。
そのクアルタラロでさえもしっちゃかめっちゃかに成ってるので、これ以上ライダーがどうこうするのは難しいかもね。
電子制御やシャーシで現在抱えてるウイリーしてしまう問題が解決したら、もう少し余裕の有るライディングも出来るのだろうけど、現状では中々に難しい。
次のヘレスではニューシャーシが投入されるかもね、なんて話も出てるのでそれに期待だ。

 

このままではフランスが誇るクアルタラロ家の至宝が破損してしまう恐れが有るので、ヤマハは早急にどうにかする必要が有りそうだ。

 

MOTOR CYCLE

Posted by tommy