ツイン・ロウズ

賢明なる読者の皆様なら、どっちがサム君でどっちがアレックス君だなんて事はお見通しだろうと思う。
私にはその見分けなんて容易い事。
カサゴとうっかりカサゴを見分けるくらいに容易い。
え?どっちがどっちだって?
そっちだよ、そっちがアレックス君だよ。
そうそう。

そんなツイン・ロウズが今まで平穏に暮らしてきたのは、それぞれ主戦場が異なるのがその理由。
BSBから始まりプロダクションレーサー街道を進んできたアレックス君と、途中からグランプリルートへとチェンジしたサム君。
それぞれ違う道へと進んだので、ややこしい事態は避ける事が出来ていた。
サイクルロードレースでのサイモン・イェーツとアダム・イェーツのようなややこしい事態には。

自転車選手はただでさえ見分けつかないのに、同じ顔した人が同じウエア着てたら本当にどっちがどっちだか解らない。
今は違うチームで、しかもステージ優勝を争うまでに成ったのだが、流石に同じチームはとてもややこしい。

 

ちなみにこのじゃがいもみたいな人達は、バシャム・ブラザーズ。

動いてたらどっちがどっちか解らないじゃがいも兄弟、ってかビッグ・ショーも合わせてじゃがいも3兄弟なのだが、実はこのバシャム・ブラザーズは赤の他人だって事を知ったのは随分と後の事だったりする。
驚いたわ。

 

 

現在、アレックス君はカワサキからSBKへフル参戦中。
グランプリへの出場は今現在まで無いものの、代わりにBT-SPORTのMotoGP中継でギュントーリと共にレギュラー出演してる。

一方のサム君は、Moto2からMotoGPクラスへステップアップを果たしたものの、どうしようも無かった時代のアプリリアを無情にも秒速でクビに成り、Moto2へ出戻り。
同じイギリス人で同じアプリリアに乗って同じように不遇の時を過ごしたレディングと違い、やさぐれる事は無くMoto2クラスのご長寿ライダーとして着実なリザルトを残し続ける。

二人とも着実に実績を残してトップクラスのライダーとして歩みを進めて来たのだが、残念ながらMotoGPクラスでロウズ兄弟が並ぶ事は無かった。
交わる事は無かった。
だがつい先日、電撃的にサム君がSBKへジョブチェンジする事が発表された。

チームはMoto2に所属する現在と同じくMarcVDS。
過去にはMotoGPクラスや、四輪でのダカールラリー、ニュルブルクリンクやルマンの耐久レースにも出場していたベルギーのレーシングチーム。
今回、SBKにも出場する事が決まり、ライダーはサム君と成ったのだ。

サム君がWSPに出てる時はアレックス君はBSB。
アレックス君がSBKへ来た時には、サム君はグランプリへ。
新海誠の映画のように、すれ違ってた二人。
そしてこの度、遂に結ばれる事と成ったのだが、実は過去に一度だけ結ばれた事が有った。
それは
2010年、WSPイギリスラウンド。
クラッチローがSBKクラスを走り、スーパースポーツクラスにはユージン・ラバティやデイビスが走ってた頃。
その頃に一度だけ二人は結ばれていた。

その時のリザルトはサム君は10位、アレックス君はリタイヤに終わる。
当時はまだ可愛い以外に特にコレと言ったモノの無い2人だったのだが、今回は、カワサキのファクトリーライダーとしてSBKでその地位を確立してきたアレックス君と、アプリリア時代は落ち込んだりもしたけれど私は元気ですなサム君。
ステージは異なるが、確固たる軌跡を残してきた2人の戦い。
来年のSBKはちょっと面白くなるかも知れない。

 

ちなみに、来年、MarcVDSの使うバイクはドゥカティ。
現在、ドゥカティはmotoGPでもSBKでも最強の地位を確立してるが、あんまり強すぎるからと今回のSBKイタリアラウンドから250rpmの最高回転数切り下げと共にカワサキの250rpm引き上げがアナウンスされた。
これにより、もしかしたらカワサキとドゥカティのパワーバランスもまた変わって来るんじゃ無いか?
って見られてたのだが、これを書いてる時点では、あんまり変わらんかもねって感じ。
カワサキがこのレブリミット引き上げを上手く使えるかどうかは、まだこれから、なのかもね。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy