嚔の錬金術師

出物腫物あーだのこーだのと昔から言われるように、ニキビやらのできものの類と、いくつかの生理現象ってのは自分自身でコントロールできない場合が多い。
ある程度は可能だとは思う。
私も十分に育った大人なのである程度のコントロールは出来るのだけども、それもやっぱりある程度に留まる。

そんな、必要以上に十分な大人であったとしても、よりによってお腹の具合の悪い時に、こんな渋滞にハマりこんだら、パンツの中に悲しい思い出をこんもりと錬成してしまうのも止むを得ないと思うな。
十二分に自分をコントロール出来る立派な大人には成ってるけれど、それでも悲運が重なると悲しい錬成をしてしまうのは避けれない。
得るものは何もない、悲しい錬金術。
ごめんよ、アル、ちょっと窓を開けてくれ。

 

 

突然だけど最近首が痛くて困ってる。
原因はくしゃみ。
今年の花粉症は、私の場合は強烈な鼻水と猛烈なくしゃみに襲われている。
お陰で首がすごく痛い。

嚔(くさめ)
鼻ひる=嚔る=はなひるともされ、清少納言の時代から困ったもんだよと言われている困った生理現象。

以前は、失恋した女子中学生のように、涙だけがポロポロと流れる程度の割と美しい花粉症だったのだが、年々その症状は酷く、激しく、品の無いものへと変容を遂げ、クシャミに加えて鼻水もえらい事に成っている。
今では鼻の穴にラッキョを詰めたくなるような、そんなえらい状態。
今もサハラ砂漠に湖を作るかの勢いで鼻水が錬成され続けてるのだが、あの水量はどこから湧き出てきてるんだろう。

幸いなのは、マスクをしてても何ら不具合の無い時代、って事だろうか。
幼稚園児なら鼻水垂らしながら生活しててもただの薄ら汚いガキ扱いされる程度で済んだのだが、流石にいい歳した大人はそういう訳にも行かないので、みっともない姿を世間の皆様に披露しなくて良くなった今の時代は有難い、と言えなくもない。
いざと成ったら鼻の穴にヤングコーンを突っ込んだまま出かけられるのだから、マスクが不自然でない時代はそれはそれで有難くも有る。

 

くしゃみし過ぎて首が痛い、ってのは困った話なのだけど、それよりもバイクに乗ってる時にくしゃみが出るのはさらに困った話な訳で。
フルフェイスの中で爆発するのも困る話だけど、最大の困った事態が、くしゃみの瞬間に目を瞑ってしまう、って点。
一時期、目を開けたままくしゃみが出来ないものかと思った事も有るのだけど、目を開けたままくしゃみしたら目玉がポポポンと飛び出すとの話も有って、特にそんなアホな事はやってない。
実際の所、目玉が飛び出すのか尻子玉が飛び出すのかは残念ながら未経験なので真偽は不明なのだけど。

 

杉の木が沢山生えている山間部と、杉の木なんて生えてない大都会。
どっちが花粉症の症状が重く出るのか?
常識的に考えたら山間部だけど、実は都市部の方が花粉症を起こす割合が高いんだよ。
って話は昔から良く言われている。

ただ、全ての言説や論説には情緒が乗っているので、それが論理的に正しいのかどうかは、これが簡単では無い。
通説や誰しもが考える常識の逆を行けば、ビジネス的にも利が有って、情緒的にもなんか自分が賢そうに思えたりするので、何処からどこまでが正しいのかは、結局は誰にも分からない話だったりする。
産卵に向かう鮭のように、世間に逆らうのが美学な人も多いからね。
だから結局、地球温暖化の原因やマイクロプラスチックの起源からアンパンマンを裸にヒン剥いたらどうなってるのか?まで、それらを100%解明するのは難しい。

ただ言える事は、山だろうと都会だろうと、花粉症の人は春になったらクシャミが出るって事。
近所の幹線道路だろうと、山の中のモトクロスコースだろうと、花粉に過敏な人間はステージなんてお構いなしに、困ったことにクシャミは飛び出す。

自らの肉体的、あるいは精神力でクシャミを止める事は出来ない。
旧来より、加トちゃんぺをすればクシャミが止まるとの話は有り、実際にある程度の効果は有るのは実感してるのだが、それは絶対では無く、そして仮に一時的にクシャミを止めれても、リバウンドのような激しいクシャミ感に襲われる事が有る。
上から金だらいが落ちてくるかのような猛烈なクシャミに見舞われる事が有るので、余程の事が無い限りは出たがるクシャミは止めない方が良いと、私は思ってる。
そもそもバイクに乗りながら鼻の下のツボを押すのも難しいんだけどね。

だが、集中力や緊張感が高まると意外とクシャミは抑えられるのもまた確か。
爆弾処理の経験が有る人はそう居ないとは思うけれど、重要なプレゼンやFPSに集中してる時には、一時的にクシャミが止まった、って経験をお持ちの方も居るかも知れない。
私もそうで、普通に街中をテレテレとバイクに乗ってる時はクシャミが出るけれど、モトクロスコースを本気で走ってる時は意外な程にクシャミは出ない経験を持っている。
バイクに乗る前まではあんなにヘッキショイイ!とやってたのに、コースを走るとそう言えばクシャミが止まったな、って事が。
ただそれもあくまで一時的。
集中力がほんの少し緩んだ隙を突いてクシャミが飛び出して、フープスでやらかして顔から地面に突っ込んだのは今思い返しても苦い経験だ。
ほんとに、迫りくる土の壁を見ながら前歯が全部折れるかと思ったけれど、それは意義のある痛みを伴う教訓としておこうかと思う。
いやね、ほんとにね、ちょー顔痛かった。
それ以来、花粉症がヤバい時はモトクロスコースなんて走らないよと誓った。

 

今は平気。
バイクには乗るけれども、街中をテレテレ走る程度なので、走行中にクシャミが出ても大した問題は無い。
ギリギリまで命がけのライディングでスーパーにネギ買いに行ったりはしないので、まぁどうって事は無い。
ヤバけりゃ止まりゃイイし。

だからまぁ、そんなに出たけりゃ出ればイイさと、出たがる鼻水とクシャミは大自然に任せてるのだが、来週は歯医者に行く予定なので、せめてその間だけでもどうにか成らないものかと考えている。
歯医者でマスクする訳にも行かないし、施術中にくしゃみが出て前歯を持っていかれたらそれも困るなよねと思いながら。

 

MOTOR CYCLE

Posted by tommy