錆びたネジなんか嫌いだ

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バイク整備において最も大変な作業の一つが、ダブルクレードルフレームからエンジンを積み下ろす作業だろう。
あれは本当に大変。

ダブルクレードルでも、下側のフレームが完全に外れるFZ750は随分マシ。
片側だけが外れるGSX-R1100やゼファー1100ならまだちょっとはマシ。
なんで両方外れないのさと、ブツブツ言いながらもどうにか、ジャッキや台車なんかを駆使して積み込む事は可能だ。
結構大変な事に違い無いけど、フレームの下側の片方が外れる分だけまだ有り難い。

だが、カタナやゼファー750などの非分解式のダブルクレードルフレームからエンジンを下ろす、或いはそれに積むのはかなり大変な仕事に成る。
なんせあの大きなエンジンを持ち上げて、フレームの横から入れなければ成らないのだから。
もう本当に大変。

そう頻繁にエンジンを積み下ろす用事なんか普通は無いのだけど、私は遠慮したい作業だ。
と言うか、実はそもそもカタナもゼファー750もエンジン脱着はやった事は無かったりする。
猫より重い物は普段から持たない虚弱体質なので。
後は自転車とか、まぁ精々その程度まで。

やっぱ、何するにも結局最後は筋肉がモノを言う事を痛感させられる。
絶対的パワー不足な私には、無理な事は多々有るのだ。
って言うか、やっぱ無理だって。
まだワルキューレのエンジン積む方が楽そうだ。
ワルキューレの方が...
....ああ、そうでも無いか。
そりゃそうっすね。

ちなみにワルキューレはダイヤモンドフレームなので、下からジャッキでエンジンを持ち上げたら載せる事が出来る。
一体あの対抗6気筒1800ccエンジンが何キロ有るかは知らないけど、下から一般的な2tのガレージジャッキで上げたらエンジンは載る。
幾ら巨大と言っても流石に2tも無いので普通に上がるさ。

多分その機会は死ぬまで無いだろうけど、トライアンフのロケット3も同じくダイヤモンドフレームなのでエンジン積み下ろしに関しては安心だ。
やった事も、そしてその予定も無いのだけど、ジャッキでさえ上げれたらエンジンを載せる事はそれ程非現実的では無い。
手で持ち上げろと言われたら、割と非現実的では有るけれど。

ダブルクレードルだったら、設備が構築された組み立てライン以外で載せるのはちょっと無理かも知れない。
持ち上げて横からエンジン入れろと言われたら困ってしまうわ。
特殊工具としてプロレスラーを用意して欲しい気分だ。

そしてもう一つ、出来たらご免被りたいのがこんな奴。

超錆びネジ。

1126sabi1

最初見た時、カシメてるのかな?なんて思ったくらいに、ビスなんだか何なんだか良く解らなくなってる。
ラスペネ吹けば解決する程度に原型を留めてたらまだ可愛げも有るのだが、考古学レベルに錆びまくったビスはかなり大変。
ここまで錆びたらもはやネジじゃない。
もはやすでにネジのような物。
ジョルジョ・ツォカロス氏に見せたら、紀元前に飛来した古代の宇宙飛行士と関係有る、かも知れないと言い出すかも知れない。
かも知れないと言うかも知れない。

通常、自分のバイクはまだ小奇麗なうちに有る程度分解して、グリス塗ったりスレッドコンパウンドで齧りを防いだり、なんて作業をしてるので、強烈に錆びたりシャフトが抜けなくなったり齧ったりなんて事はそうそう起こらないのだけど、正体不明な中古バイクを買ってきたらこんなのに巡り会う事も時には。

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M5程度までのビスを相手にするにはこのサイズのトーチが中々使い易い。
流石にトラックの足回り相手にこんなので熱してても果てしない話だけども、小さなビス一本だけを集中的に攻撃できるので非常に都合が良かったりする。

バイク相手なら、このポケトーチとカセットガストーチが有れば、錆びたビスやボルトを熱して外す用途に関してはほぼ事足りるだろう。
まぁ、民間人がそれ以上の炎、要するに酸素アセチレンなんてそうそう使えないのだけど。

流石にアセチレンガスは敷居が高いね。
アルゴンならともかく。

でも、そのアルゴンガスとて、引っ越す前のガレージの大家さんにブチ切れられた事が有った始末。
こんな所にガスボンベ持ち込んで、火事に成ったらどうすんだ!って。

否...火事に成るって言うか、アルゴンはどっちかと言うと火事を消す方のガスなんですが。
消火器にも使われる不活性ガスなんですが。

なんて正論言った所で、ガス=燃える=キケン=危ない=ダメ絶対ダメ!、との図式が完成してる方にそれを説明するのは非常に難しい。
インド人に生魚を食べさせるくらいに難しい。
世の中、正論吐くだけじゃどうにも成らん事は一杯有るもんだと学んだ。

で、実践。
この程度のビスなら、錆び具合にもよるがポケトーチで真っ赤に成るまで熱してやれば緩めれる場合が多い。
インパクトレンチで無理やり回したら大体は折れるので、余計な仕事を増やさないように熱と浸透潤滑剤の力を借りるのが賢明な方法だ。

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余計な所を燃やさないように、ビス一本をピンに狙うのが大切。
なお、今回は貫通してるので、反対側から熱するのが効果的なのは言う間でもないが、ブログ上の演出なのでこんな写真。

ちなみにこれはスターターモーターの端子のビス。
ハンマーでブっ叩くタイプのショックドライバーを使うと高確率で端子がモゲてしまうので、化学の力で優しく攻めるのが安全だろう。

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コッチから熱した方が効果は高いが、こんなに錆びてたら今回は切っちゃった方が結果的には圧倒的に早かったりする。
どの道貫通したネジの部分が猛烈に錆びて一体化してるので、回して抜くのは無理だろうしね。

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ごめんなさい。
長々書いたけど、結局切るのが一番簡単だ。

切断したビスはさっさとカットして、ボール盤で穴空ける。
貫通してるので話はとても簡単。

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穴を開けてやればビスを崩して抜く事が出来る。
また、タップを入れてやれば緩む場合も有る。
緩まなければ、まぁそのままタップ立てておけばイイんじゃ無いっすかねって感じで。

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たかがビス一本にえらく長々と話が伸びてしまったのだが、次回はさらっとセルモーターの分解編をお送りしようかと思う。
ではまた。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy