君はどの辺で手を打つか
クリスマス前に成ると、頭を悩ませた経験をお持ちの人も少なく無いと思う。
彼女へのプレゼントに、何をすればイイもんやらと。
鍋でもタンスでも新巻鮭でも、何だって構わないんだけど、一般的にはアクセサリーが多いのかな。
クリスマスっぽいしね。
少なくともシャケよりは。
ただ、このアクセサリーって奴は、プレゼントとしては定番なのだが、普段馴染みの無い人が適切な選択を行うのは非常に難しい。
ティファニーってとこのなんちゃらハートがイイんだろ?
と、何十年か前に若者だった人も居るだろうが、その当時にいざ買いに行くと何を買ったら良いのか迷ったもんだろう。
なんちゃらハートだけで幾つ有るんだよと。
まぁね、なんちゃらハートってやたらと有るものね。
スチュ・ハートから続く、ブレッドやオーエンやジムや、そのジムの娘のナタリアのハート一族のようにそりゃもう一杯。
ライオンハートは関係無いけど、ともかくハートは沢山有るよねって事。
ティファニーのなんちゃらハートだけで。
まだネットで情報収集が出来なかった、あの頃若者だった人たちは大きな苦労をしたもんだよ。
今は今で何かと苦労は絶えないんだろうけども。
まぁアレだ、何にせよ、今も昔もご苦労さまです。
パっと見て同じようなデザインのアクセサリーでも、価格差が違う決定的な要因は素材の差。
スターリングシルバー(925)とホワイトゴールドとプラチナでは、すれ違い様にパっと見ただけじゃ違いなんて良く解らないんだけど、素材の値段が随分違うので製品の値段も随分違うのはそりゃ仕方無い。
1gが90円の銀と、1gが3800円のプラチナじゃ値段が違うのはそりゃ当たり前だ。
アナタとは違うんです!って奴だ。
だから、どの辺で手を打つか、ってのは非常に判断が難しい。
折角だからちょっと高いのを、なんて言い出したら、ちょっとずつ高く成って最終的にはえらく高く成っちゃう。
それが、やためったら種類の多いなんちゃらハート様の罠。
どの辺で手を打つか、そのセンスが問われた、随分と昔のお話だ。
これがまた難しいんだよ、これがまた。
だが、見た感じ同じようでも、ちょっとずつ違ってちょっとずつ価格が違うモノって、なんちゃらハート様以外にもこの世の中には非常に沢山存在する。
ちょっとずつ違う中、どの辺で手を打つのがベストなのかの判断が非常に難しいモノって沢山有る。
例えばこれ。
魚釣りに使うスピニングリール。
メーカーはどちらもシマノ。
左はFX、右はステラSW。
どちらも現行機種で、どちらもサイズが同じなら同じような用途になら同じように使える。
写真では見た目はあんまり違いは無いのだけど、左のFXは大体3,000円~4,000円くらいかな。
で、右のステラSWは、一番小さな4000クラスで80,000円くらい、マグロ釣りに使うような巨大な30000クラスなら12,0000円くらい。
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同じメーカー、同じ大きさ、そして同じような見た目の同じようなリールでも、20倍からの価格差が存在する。
当然ながら、その中身は同じな訳では無い。
20倍もの差が有るのか、って言えばそんな訳でも無いんだけど。
ジョイナスやFXから、イグジストやソルティガ、そしてステラまで、ダイワやシマノの同じようなリールでも天と地程に価格差は存在する。
そして、その天と地とを補完すべく、良く解らない位に多くの製品が間に突っ込まれている。
シマノのソルトウォーターモデルなら、ステラが買えないならツインパワー、ツインパワーが買えないならストラディック、ストラディックが買えないなら....と、ご予算に応じて細かく分けられている。
もうどれを買ったらイイのか解らない位に。
そんな悩みを釣具屋の店員に打ち明けると、大体はこんな返答が帰ってくる。
リールは何年も使うものなので、少しでも良いものを買った方が良いですよ。
と、そんな事を。
実際、ボディの剛性や精度も違えば、ギアの強度や噛みあわせも違う。
ベアリングの数だって随分と違うし、根本的な構造も随分と異なる。
機械なんて、値段が高い方が性能が良いのは限りなく正解に近い。
革新的な技術が先行投入されるので100%絶対!とは必ずしも言い切れないのだけど、まぁ大体はその構図。
8万円のリールより2万円のリールの方が性能が高い、なんて事はまぁ滅多に無い。
だからと一杯釣れる訳でも無いんだけどね。
ちなみに同じダイワのジョイナスとイグジストを比べたら、イグジストはボールベアリング12個、ローラーベアリング1個に対して、ジョイナスにはなんとボールベアリング1個しか入ってない。
あんな、回転機構満載の機械なのに、ベアリングが1個しか使ってなくて良く作れるもんだと思うけれど、それが現実。
7万円のリールと2千円のリールとの越えれない差、って奴だよ。
以前、ジギングしようと和歌山まで出掛けたのに、リールを忘れた愉快なサザエさんが居た。
急遽、途中の釣具屋で1万円ちょいのSW用リールとラインを買って急場を凌いだのだが、よりによってこんな時に限ってゴツいカンパチが掛かって一撃でご臨終した経験が有る。
普段使ってるソルティガなら小型のマグロでも揚げれるし、何なら大統領でもブン殴れるくらいに頼りになるリールなのだが、やっぱ価格差ってのはバカには出来ないもんだと思った。
ハマチやソーダならともかくカンパチはちょっと強すぎた。
だからと出先で急にステラやソルティガを買うってのも、それはそれで難しい話なんだけどね。
ってか、釣りに行くのにリール忘れんなって話だ。
釣りなんて道具じゃ無ぇよ!
って考えが格好イイ!って人も居るかも知れないけれど、それは状況によっては個人の自由では済まないので注意したい。
関西では、例えば明石海峡を挟んだ両岸からのショアジギング。
或いは和歌山や日本海の丹後半島沖での乗り合い船からのジギング。
これらに安いローパワーな道具で挑むと、ふいに巨大な魚が掛かると周囲にえらい迷惑を掛けてしまう可能性が有る。
貸し切り状態なら別に何だって構わないんだけど、密状態の明石海峡で1mクラスのブリを掛けたり、乗り合いジギング船でヒラマサ掛けたらもう大変。
リールのパワーが無いと、周囲の皆様に多大な迷惑を掛けてしまう。
だから、見た目やブランド云々以前に、状況によっては最低限必要な道具のしきい値は結構高いんだよ、って事は知っておく必要が有る。
ルアーマンは格好つけたがるから道具のブランドは大事だよ、ってのはまた別の話として。
リールは何年も使うものなので、少しでも良いものを買った方が良いですよ。
これは非常に正しくごもっともなご意見なのだけど、でもこれが大いに悩まされてしまう事でも有る訳だ。
4000~5000クラスでお手軽なソルトウォーター用リールを買おう、と考えた場合、まず第一に候補に上がるのがティファニーのオープンハートのように定番のバイオマスターSW。
だが、流石にこれは古過ぎてもう売ってないので、その後継に位置づけられるスフェロスSW辺りに手が伸びる。
大体15000円くらいと、バイオよりさらに安いお手軽プライス。
だが、ふと近くを見ると、そのスフェロスの上位互換=バイオの正当後継とも言えるストラディックSWが売られている。
こちらはスフェロスより1万円程お高い、大体25000円前後。
その差は1万円くらい。
見た目は勿論、中身も確実に高性能なのでその価格差は十分なバリューだ。
3年位は快適に使えるので、年間なら3000円程の差。
それくらい、スシローに行ったら軽く食ってしまう程度の価格差だ。
さぁどうする、どうするオレ。
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リールは何年も使うものなので、少しでも良いものを買った方が良いですよ。
悩める背中に、そう語り掛ける釣具屋の店員。
ストラディックSWを買うなら、いっそツインパワーは如何でしょう?と。
スフェロスSWより1万円高いけれど、見た感じ随分と良さそうなので1万円くらいならイイかと、ストラディックSWに大きく傾いたオレを、さらに別の方向へと傾かせる釣り屋の店員。
水は地球の命ですと言わんばかりに、畳み掛けてくる。
ストラディックに1万円プラスしたらツインパワーが買えるんですよ!
と。
その差は1万円。
3年位は使えるので、年間なら3000円程の差。
それくらい、カッパ寿司に行ったら軽く食ってしまう程度の価格差だ。
それくらい.....。
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じゃ、じゃぁツインパワーで。
オレは、何か狐につままれたような気分で、財布からクレジットカードを出すのだった。
あれ??
そう言えばスフェロス買いに来たんじゃ無かったっけ??
なんて思いながら。
どの辺で手を打つか、ってのは非常に判断が難しい。
工業製品は、大体において価格が高い方が性能は高く、使って気持ち良くて耐久性も有って、何より見た目もカッチョイイ。
それは当然なんだけど、でも誰しも予算には限りがある。
だから適切な判断が求められるのだ。
どの辺で手を打つか。
でも、それが難しいんだよね。
そんな光景が今日も何処かの釣具屋さんで行われてるのだろうけど、そんな光景を先日自転車屋で繰り広げてきた。
そもそもコレが本日の本題だったんだけど、まぁそんなの良くある話さ。
と言う訳で、また別の機会に。