海底ケーブルなんて引っこ抜いてしまえって

海底ケーブルなんて引っこ抜いてしまえって無茶な事を空想してる人にお送りする今回のお話。

 

ルーターの線の抜いたらアパートの隣の部屋の人が半泣きに成りながら怒鳴り込んできた!

と、まとめサイトに良く有りそうなネタだけど、実際に海底ケーブルを引っこ抜くことなんて可能なのか、そしてそれに何かしらの効果は有るのかって話。

 

現在の海底ケーブルのルートはこちら。
もしかしたら他にも秘密のケーブルがあるかも知れないけれども、一般に公開されてるのはコレ。

https://www.submarinecablemap.com/

 

現在の海底ケーブルは線一本だけが伸びてる訳では無く、世界の何箇所かの上陸地点=ランディングポイントに多数のケーブルが繋がっている。
東日本大震災で海底ケーブルが切れたのも記憶に新しい。
あの時は西日本の回線が無事だったので一般ユーザーには大きな問題には成らなかったのだけど。
関係者は大変だったろうけど、ともかく複数の回線が有って良かったねと思う。
そりゃそうだ、線一本だなんてスリリングなシステムはちょっとドキドキしてしまうわ。

 

何をするにも世界の中心はアメリカ。
ケーブルが集中してるのは勿論アメリカ。
世界の13クラスタ有るルートサーバの10クラスタを管理する国なのだから。

日本が管理してるのは1クラスタ。
WIDEプロジェクトって所が頭文字Mのクラスタを管理してる。
ん?頭文字Mの意味?
Dreamだよ、史浩。
な、なんだって!キバヤシィ!!

なお、ルートサーバは世界にA~Mの13クラスタ有るけれど、別に世界に13台、13箇所しか無い訳じゃ無いよ、って話は....
まぁ興味の有る人は自分で調べてみよう。

 

アメリカから大西洋を越えたケーブルの多くはイギリスへランディングされる。
ヨーロッパから東方へ延びる海底ケーブルはフランスからスエズ運河を通って、その多くは最終的に日本へ収束する。

こちらが日本近海の海底ケーブル。

日本のランディングポイントの代表地点は、伊勢志摩、房総半島、茨城県の3箇所。
これが日本の通信の生命線とも言える箇所。
制圧されたらちょっと大変だ。

 

太平洋全体を見ると、アジアからアメリカへ繋ぐケーブルは、香港/台湾⇔ロサンゼルスの数本とグアム/ハワイ経由の若干数を除く殆どが日本のランディングポイントを経由してる事が解る。

シルクロードでは日本はゴールだったけど、海底ケーブルにおいてはまだこれからが長い道のりのスタートだ。

 

人の手が及ばない深海に潜んで通信の傍受・妨害・改ざんを行う最新の「ハッキング潜水艦」の存在とは – GIGAZINE

https://gigazine.net/news/20160802-stealthy-submarine-to-hack/

 

エシュロンやPRISMなんかの、限りなく真実に近いともただの陰謀論とも言える話が有る。
アメリカの政府機関が世界的な盗聴を行ってるとかどうだとか。

実際の所、私にはそれをあーだこーだと判断する事は出来ないので何とも言えないんだけど、アメリカへの通信の多くが日本国内を経由してる現状では、別に潜水艦で潜らなくても色んな事が出来そうな気はしないでも無い。
鳥羽水族館にラッコ見に行ったついでに簡単に。
何だかんだ色々と。
引っこ抜くのはともかくとして。
物理的には。

 

日本でも何年か前に超高速インターネット衛星「きずな」が打ち上げられ、いずれは人工衛星を利用する比率も高まっていくのだろうけど、少なくとも現在は海底ケーブルが重要な生命線。
その「きずな」は....今年の2月一杯で切れちゃったしね。
な訳でやっぱり海底ケーブルが重要な生命線。
そして太平洋を渡るにはその多くを日本のランディングポイントを経由してる事もまた事実。

海底ケーブルを抜くってのは、世界からどんな声が挙がるか解ったモノでは無い暴挙だけど、こうやって見たら意外と出来そうな気はしないでも無かったりもする。
物理的には。
アメリカを除く他所の国が日本の海底ケーブルをどうこうするのは難しいが、日本からしたら他所の国の海底ケーブルの幾つかをどうこうするのは不可能では無いのだから。
物理的にはね。
世界を敵に回すと思うのでお勧めしないけれど。
世界中で海底ケーブル像が建立するレベルの騒ぎに成るのでお勧めはしないけれどもね。

 

感情に身を任せ、むしゃくしゃするから線抜いたった、なんてイカれた事は日本を含めて何処の国もしないと思うけども、何はともかくつくづく逆の立場じゃ無くて良かったとだけは思うばかりだ。

 

雑記

Posted by tommy