芳一は半泣きに成りながらY’Sロードへ駆け込んだ
かなりコアな自転車乗りが居る。
Wレバー全盛時からロードバイクに乗ってるので、かれこれ何年乗ってんだろうって人。
その当時、この人の乗ってたのはコレ。
キャノンデールSUPERSIX EVO リクイガスカラー
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やたらとCANNONDALE CANNONDALE CANNONDALEと書かれたド派手なリクイガスカラーの自転車。
中々に高級な自転車だ。
今や昔のデザインだけど。
まぁ随分前の話だしね。

それに組まれるのはカンパニョーロのBORA ULTRA
リムはオールカーボン製のド派手な高級ホイール。
でかでかとBORA ULTRAと書かれたホイール。
溢れ出る自己顕示欲求を具現化したかの派手なホイール。
EXACTのR1用マグ鍛ホイールが買えるんだから恐ろしい値段だ。
歩道なんて絶対走れない。
コレもディスク全盛な今時は選択肢も変わってきてるのか、って思うけれども。
まぁ随分前の話だしね。
そもそもこの記事自体、4年ほど前にアップした記事の加筆訂正版だし。

そしてバーテープはSILVA。
これは2000円もしない、ただのバーテープ。
SILVA SILVA SILVA SILVAと書かれたバーテープ。
やたらとCANNONDALE CANNONDALE CANNONDALEと書かれたフレームに、でかでかとBORA ULTRAと書かれたホイールと、やたらめったらSILVA SILVA SILVA SILVAと書かれたバーテープを巻いた、そんな文字だらけの高級な自転車で出かけたのは、東京都心に有る馴染みの自転車屋。
定期的なメンテと雑談の為に立ち寄ったらしい。
逃走中のテロリストがパンク修理に来てたのでクランク片手に戦ってみた、等と特に気の効いた出来事も無くその店を出て帰路へ。
ドラマチックな出来事なんか何一つ無く。
スプロケ一枚投げたりせずに。
延々都内の街中をえっさほいさと漕いでる帰路の途中。
ふいに何かを思い立ってどこかの店へと立ち寄ったらしい。
幾つものテナントの入ったビルの中の店舗へと。
自立式の自転車置き場が設置されてたそのお店。
ビルや駅前なんかで良く見かける自転車置き場。
レール状のスタンドに自転車を駐輪し、持参してるワイヤーロックを後輪~フレームと自転車スタンドとを固定されるようにロック。
ケーブルがカットされたら終わりだけど、最低限の防犯対策としては十分だろう。
言い出せばキリは無いけれども、前にも書いたけれども強固で物凄く重いロックを持ち運ぶには物理的制約が有るので、現実的にはこれが限界だと言える。
盗まれたら仕方無いと割り切る訳には行かないけれども、でもこれで盗まれたら仕方無いよなぁって言ってしまうだろう。
出来たらワイヤーよりはチェーンの方がマシかもね、とは思うけれど。
盗まれた!
ああ、盗まれたんだよ。
仕方無いなんて言わないで。
持って行かれたんだ。
ああ、持って行かれたんだ。
幸いにして、自転車自体は盗まれてないのが不幸中の幸いと言えるけれども、ともかく盗まれたのだ。
パーツを盗まれたのだ。
それはペダル。
街中をMTBシューズで自転車乗る為、その時付けてたのは安いMTB用SPDペダル。
街中でSPD-SLは何かと便利悪いので、街乗りではSPDペダル+MTBシューズな人も多いんじゃないかと思う。
見た目普通の靴だし、歩いてもクリート(金具の事)もそう気には成らないし。
だから街中では意外と多いんじゃ無いかと思う。
ロードバイク+SPDペダル+普通っぽい見た目のMTBシューズって選択の人も。
盗まれたのはそれ。
地味なSPDペダル。
なんでそんなもん盗むのかと聞かれても私には解らないけど、ともかくペダルを盗まれたのだ。
サドルはロックしてる有りそうだけど、流石にペダルにロックはしてないからなぁ。
CANNONDALE CANNONDALE CANNONDALEと書かれた自転車本体で無いのは不幸中の幸い
Campagnolo BORA ULTRAと書かれたカーボンホイールで無いのも不幸中の幸い
SILVA SILVA SILVA SILVAと書かれたハンドル周り一式では無くて良かったとも思う。
盗まれた事は悔しく、そして悲しくて憤ってしまうけど、まだ安いペダルだけで済んだのはマシだったと言えなくも無い。
やはり地味だったのが原因なのか?
他のパーツみたく、これでもか!と自己主張してなかったのが原因なのか。
だからペダルだけ持って行かれたのか。
平家の怨霊に。
機能性の塊で有るロードバイクに無駄な部品は殆ど無い。
ボトルケージなんかの用品は除いたとして、バーテープとブラケットのカバーくらいな物だ、無くても一応は乗れる部品って。
それ以外、ボルト一本とて無くなれば乗るのは難しい、場合によっちゃ不可能だ。
それは勿論ペダルだって同じ。
って言うか絶対無理。
ペダル無ければ乗るのは無理だ。
フルームでもサガンでも中国雑技団でも木下大サーカスでも、ペダルの無い自転車を走らせるのは無理だろう。
私でも勝てるわ。
相手がフルームだろうと相手がペダル無しなら楽勝で勝てる。
放心する芳一。
途方に暮れる芳一。
放置自転車からプラペダルでもパクって帰ろうかって悪い心さえコンニチワする芳一。
流石にそう言う訳にも行かないので、失意の芳一は都営地下鉄へ乗り込み、そして半泣きに成りながらY’Sロードへペダル買いに駆け込むのだった。
絶望に打ちひしがれながら、今度はちゃんとSHIMANOと書かれたSPDペダルを買い込むのだった。
ペダ無し芳一は、半泣きに成りながら安いペダルを買い込むのだった。
ピチピチ着てこなくて良かったなと、バスの中で胸を撫で下ろしながら。
ペダルレンチはダイソーの15mmスパナで手を打つ事としておいて。











