カーボン、と言っても色々と

この前までジャイアントのカーボンバイクに乗ってた人が、ふと気付いたらウィリエールに乗り換えてた。

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ジャイアントの何が気に入らなかったのか知らないけど、結構高かったのにポンっと買い換えるとは、中々やるもんだ。
リサイタル開けよ!
等と虐められたのだろうか?
別に台湾からイタリアに乗り換えた所で速く成る訳でも山が登れる訳でも無いとは思うのだけど。
でも確かに圧倒的に格好イイのは間違い無い。

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このロゴだけでたまらない位に格好イイのは間違い無い。

少なくともジャイアントさんよりは、ロゴに関しちゃ圧倒的に上だろう(個人の感想です)
台湾だから、イタリアだからと言う訳ではないのだけど。
どの道作ってる所はどっちもご近所だったりして。

R8000系の完成車で、実売30万円台半ばって所。
KUOTA同様、製品のクオリティの割りにお値打ちの価格との評価。
ちなみに私は何乗ってもいまいち良く解らないので聞かれても良く解らないのだけど。

ウイリエールと言えばゼロ・セーイと言う高級モデルが有る。
上に載せた写真がソレ。
これはウイリエール110周年を記念としたスペシャルモデル。

現在のウイリエールの持ちえる最先端の技術が投入された非常に贅沢な作りの限定モデル。
お値段はフレーム単体で税抜650,000円と、まぁまぁ躊躇してしまうお値段。
高いと思うかも知れ無いけれど、他社のフラッグシップモデルならフレームだけで平気で3桁行く事を考えたら、製品のクオリティの割りにお値打ちの価格との評価も頷ける。
高いけど。

素材は、ピッチ系の三菱ダイアリードに、PAN系の三菱パイロフィルMR70カーボンの組み合わせ。
さらに、SEI (Special Elastic Integrated) Filmと呼ばれる、高弾性フィルムをカーボンのレイヤー間に挟んでるんだとか。
何をおっしゃってるのか良く解らないが、何か凄いんだろうなーって事くらいは感じ取れる。
感じればそれで良いのさ。
何のこっちゃか良く解らなくても。

ここで使われる三菱ダイアリードとは、メソフェーズピッチ系と呼ばれる三菱レーヨン製のピッチ系炭素繊維。
ピッチ系とは、三菱レーヨンの場合は石炭から作る炭素繊維の事で、東レのトレカに代表されるアクリル繊維を原料としたPAN系とは根本から異なる。
ハリネズミとハリモグラみたいに根本から違う。
見た目は良く解らないんだけど。

原料と製法の違いにより、引っ張り強度や弾性率、また熱伝導率も異なるので、一口に炭素繊維と言ってもその用途はそれぞれに分かれる。
コストは別として、引っ張り強度に関してはPAN系が勝る傾向に有り、弾性率や熱伝導率はピッチ系が勝る傾向がある。
使い分けのキモは技術屋の胸の中に有る。
つまり…ひ・み・つ。

現在、ピッチ系(メソフェーズピッチ系)を作ってるのは日本では2社。
三菱レーヨンと、新日鉄系の日本グラファイトファイバーの2社。
ピッチ系の始祖とも言えるクラレが作ってる等方性ピッチ系炭素繊維はまたちょっとだけ違う。
等方性ピッチ系はアスベスト代用品って使われ方が多いので、炭素繊維と言ってもカーボン整形品とはまたちょっと趣は異なる。

三菱レーヨンと日本グラファイトファイバー。
これが日本におけるメソフェーズピッチ系、日本語で言えば中間相ピッチと言うか、液晶相ピッチと言うか。
ともかく、メソフェーズピッチ系炭素繊維を作る2社。
それにアメリカのCYTEC SOLVAY(石油ピッチ系)を加えた3社が、メソフェーズピッチ系炭素繊維を作るトップ3、と言うか世界オンリー3。

開発したのは群馬大学の大谷杉郎さん。
1960年代に石炭(コールタール)ピッチからの炭素繊維製造の開発を成功させた。
10年程前にお亡くなりに成ったが、現在も群馬大学ではカーボンの研究は進められ、水素燃料電池用のカーボンナノシェルの開発が行われている。
プラチナを使わない電極触媒を研究してるんだって。
ってか、すでに日清紡によって実用化されてる。

ピッチ系カーボン繊維整形品はほぼ熱膨張しないって特徴も有るので、日当たり次第で300度程の温度差が生まれる宇宙開発には欠かせないとか。
勿論、昨今何かと話題の安全保障貿易管理にはバリバリに抵触する。

ピッチ系が欲しいけど信仰の理由により日本製が嫌だとおっしゃるならCYTEC SOLVAYを選べば良いのだけど、三菱とは一部提携関係でも有るので日本要素を完全排除するのは中々難しい。
ハラール認証はちょっと受けられないか。
嗚呼、なんて残念なお知らせ。

PAN系なら泰光産業でも作ってるので、車の内装の飾りとかカーボンスマホケースとかなら問題なく作れそう。
もうちょっとハイエンドな製品を大量に必要とするならAKSA(トルコ)のPAN系で辛抱していただくしか無さそうだ。
信仰とは辛抱する事と同意なのだから。

ともかく、なんか良く解らないけど高級な自転車って凄いんだなぁって話なのだけど、コレって別にウィリエールに限った話では無く、各メーカー共にフラッグシップ機には最先端のテクノロジーを惜しみなく注ぎまくって作って、そして実際それを市販してる。
理由は簡単。
サイクルレースは基本的に市販してる自転車と部品、用品で戦う事がルールだからだ。
重量制限等の他に、基本的には普通に買える物しか使っちゃダメってルールがある。
トレックのチームだからと、自分達だけトレック製の超スペシャルファクトリーバイクを投入する事は許されない。
基本的に。
これから売る予定が有れば可、と言うちょっとあやふやな部分は...まぁアレとして。

だからつまり、各メーカーのフラッグシップ自転車は、それが市販されてなきゃ困る人達の為の物なのだ。
誰が乗るのも買うのもそりゃ自由なんだけど。

100万円のフレームに30万円のコンポと70万円のホイールを組んだ自転車の存在意義はそこに有る。
なんか良く解らないくらいに高く、なんか良く解らないテクノロジーが使われてても、それが必要な人が居る限りはこの先も良く解らない高級自転車が売り続けられる。
それが絶対必要としてる人達の為に。
ちょっと位高くても、レースで戦うには買わねば成らないのだから。
UCIワールドチームの人は自転車屋では買ってないだろうけど、プロコンチネンタル~コンチネンタルチームの多くは普通に買ってるので、ハイエンドバイクが無くなったらとても困る。

そうじゃ無い、たかが数センチで人生が変わる事の無い民間人の方は、わざわざウイリエールのハイエンドバイクに買い換えなくても多分お腹引っ込むくらい練習するのが一番安上がりで効果的なんじゃ無いかと思う。
とは思うだけど、やはり重ねて言っておきたい。
やっぱ、ウイリエールは格好イイよねと。
この書体が。
難しい話はさておき、やっぱこの書体は格好イイなと。
ただただそれを思う。

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