原始人、困る

今年は西暦2020年。

今から2000年前、世界は何してたんだろうと言うと、ローマでは共和制が敷かれ、カエサルがガリア戦争を戦い、司馬遷が史記を書いたりしてた頃だ。
ちなみに日本は弥生時代。
農耕民族として、畑耕してたりしてり土器作ってたりした頃。
ゴッテゴテしたデザインから、シンプル土器へと回帰した頃。
気取らないシンプル生活の気取らないシンプル土器が静かなブームに成ってた頃。
卑弥呼はまだ居ない。

 

なお、エジプトはギザの三大ピラミッドはさらに2500年ほど前に建造されてるので、歴史のレベルが違う。
そう考えたら凄いね。

そんな時代より人は知識と技術を蓄積し、そしてそれらを高めて今日の私達の生活を成り立たせてくれてるのだけども、古い技術や知識は現代に役は立たないかと言えば必ずしもそうとは言えない。

とは言え流石に今の時代に武田の騎馬隊がストライカー旅団には勝てないし、村上水軍が第七艦隊相手には勝負すら成り立たない。
刀や槍、弓や火縄銃片手に現代の戦場に立って戦うのはお勧めしないな。
ドラゴンボール並みに戦闘力のインフレ化が進んだ現代の戦闘では、槍や刀や種子島ではどうにも成らん。
セル戦にチャパ王が出て来ても何も役に立たないの一緒だ。
もじゃもじゃがもう一人増えたところで、セル相手には何の役にも立たない。

だが、刀や槍、弓や火縄銃が現在で全く戦闘力が無いかと言えば勿論そうでは無い。
チャパ王とてセルの時代で有ろうと民間人相手には驚くべき戦闘力を魅せるであろうのと同じく、刀や槍、弓や火縄銃自体の戦闘力が無くなった訳では無い。
戦闘の形態が変わって刀や槍の出番が無くなっただけで、別に人類が生身で槍に刺されても平気なように進化した訳では無い。
槍で刺されても平気なビックリ人間に超進化した訳では無い。
勿論今でも刺されりゃタダでは済まない。
多分終わる。

だから、M4やヘルファイヤミサイルを撃ってくる相手には刀や槍は無力なのだが、そこら歩いてる普通の民間人相手なら刀や槍は現在でも超一線級の戦闘兵器なのだ。
さらにもっともっと時代を遡って、旧石器時代の石斧だって同じ。
数万年~場合によっちゃ10万年以上前の石斧でも、現代でも十分に通用する武器と成る。
幾らツイッターで山ほどのフォロアーを抱え、フェイスブックで一言発言するだけでバケツ一杯くらいのイイネ!が降り注ぐような時代の最先端を行く人でも、石斧で頭をカチ割られたら多分死ぬ。
石斧なう
なんて書いてる暇さえも無く。

だから言いたい事は
石ナメんな!
原始人ナメんな!

って事だ。

 

ある日、風呂入ってたら知り合いの一人から電話掛かって来た。
ママチャリのカギ失くしたからどうしようって。

このママチャリ、実は私が前の家に住んでた頃に使ってた自転車。
当時、激しい坂道の地域に住んでたにも関わらず何となく買ってみたのだけども、うすうす思ってた通りにもうホントに登れないの。
もうサッパリ登れないの。
かなりローギヤードでは有るのだけど、ヘビー級の鉄フレームで変速無し、当たり前だけどフラットペダルのママチャリじゃ、休日に成ったら時折ヒルクライマーが用事も無いのに登りに来るような坂道はとても登れない。
だから割と近所の割と平地に住んでたこの人にあげたのだ。
電動アシストに買い換えて、誰も乗らなく、そして乗れなく成ったこの自転車を。

だからこの自転車は元々私の物なのだけども、今更カギ失くしたと言われても困ってしまう。
何年も前に、2日程乗っただけの自転車の事を言われても困ってしまうのだ。
しかもこの人、今住んでるのは鎌倉だかその辺り。
当事の兵庫県南部から、はるか彼方の鎌倉辺りにお引越し済み。
500km程も離れた所に住んでる私にそんなのどうしろって言うのさ。

だからどうしようって言われても、鎌倉だかそこらに住んでる人のママチャリを、兵庫県南部で風呂入ってる私がどうにか出来よう筈は無い。
だから言っておいた。
ママチャリのカギなんかそこらに落ちてる石で壊せばイイじゃないの。
と。

 

石。
人類最古の道具。
だが今でも第一線で活躍出来るとても便利な道具なのだ。

金槌なんてわざわざ持って行かないバイクツーリングライダーは、キャンプを張る際にペグを打つ時に良く使うだろう。
他にもサザエの殻を割ったり、魚をシメる事だって出来る。
原始人の知恵をナメるな。
ちなみに学生の頃、パイナップルを石で割って食べてた人が居た。
あだ名は原始人だった。

 

石使えばイイじゃんか。
簡単に壊れるよ。
でもお巡りさんに見つかったら多分職質されるから、その足で自転車屋に行って付けて貰ったらイイわ。

と、適切なアドバイスも忘れない。
Yahoo説教部屋の何ら建設的な発言も無くただ説教するだけの役立たずでは無い。

 

ふーやれやれ。

今日も私は何て役に立ったんだろう。
自分の役立ちっぷりにうっとりと浸りながら、私は再び入浴を再開したのだ。

でも、何にでも限界ってのは有る。
私にも出来る事と出来ない事の限界は有るし、石だって出来る事と出来ない事の限界は有る。
何でもかんでも出来ると思ったら大間違いだ。

だから私は言った。
1分後に掛かって来た、こんな内容↓の電話の向こうの人に向かって私は言った。

『後のタイヤをカチャって輪っかハメるタイプのカギなんだけど、アレって壊してもタイヤにくっついたままグルングルン回るんじゃないの?』

と、掛かって来た電話の向こうの人に向かって私は言った。

『ああ、ごめん、石じゃ無理だ...』

と。

 

そっちのカギかぁ…
ああ、そう言えばそっちの鍵付けてたわ。
自分で付けてたわ。

 

まぁ何だ。
原始人の知恵なんか限界有るので、素直にクリッパーで切るなり金ノコで切るなり、何かしらの文明の利器と知恵を使ってどうにかして欲しい。

ともかく、私にも石にも原始人にも限界は有るので、余り求められても、原始人困っちゃう。
役に立たなくてスマンかった。

 

Bicycle

Posted by tommy