メッキもペンキも正義の一つの形で有る

何度か書いた事が有る。
それは、私はメガドラが好きだ、って事。

 

個人的には昔の方が好きだったのだけど、現行モデルは先っちょの強度が格段に上がったので、寿命もかなり延びてる。
それでもスクリュードライバーは消耗品な事に違い無いのだけど。

 

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この品質がこの値段なのだから文句は無い。
もはやこの世のフィリップスとポジドライブはメガドラ以外に必要は無い。

でも、一つの残念なお知らせは、スクリュードライバーはベッセルのメガドラしか要らないが、ベッセルにはメガドラしか要らないって事。
なんか一杯有るけど、どれもこれも要らんなぁって事。

ご家庭の大工道具セットに一つは入ってるかも知れない。
ベッセルのこんなドライバーが。

このドライバーが使えない最大の問題点は、最も重要な先端部分。
ビスとコンタクトする部分。
この先っちょ部分にまで綺麗にメッキされてるのが大きな問題。
ベッセルを含む各スクリュードライバーメーカーは、この先っちょ部分の滑りを如何に無くすかを苦心してるのだけど、それに真っ向から反発するかのようにツルツルメッキが施されている。
もうツルツルですわ。

ここが滑るとカムアウトと呼ばれる、ドライバーがズルっていくアレを誘発する。
従って、PBやWERAなんかのドライバートップブランド、スナップオンやKTCなんかの多くの総合ツールメーカーのスクリュードライバーの全てで、こんな先っちょまでメッキしたドライバーは売られてない。
もっと言えば、僕らのストレートでも売ってない。
全て、ドライバーの先端は非メッキ、もしくは何かしらの滑り止め加工が成される。
ベッセルもまた然りな訳で。
このクリスタルライン以外は、他のメーカーのドライバーと同じく先端にメッキは施されない。

じゃぁ、なんでベッセルのクリスタルラインの先端にはメッキが成されているか?
あくまで特に根拠の無い推測だけど、恐らくその理由は先端部分の錆防止に有るんじゃ無いかと思う。

 

と言うのも、基本的に家庭での雑務に使われる類のスクリュードライバー。
家の中でドライバーを使う機会なんて、引越ししたてか、逆に潰れそうな家以外はそうそう無いと思う。
我家でも....ちょっと記憶に無いくらいに、家の中で工具使った経験は無い。
組み立て家具も買わないし。

1年、2年、下手したら10年くらい使われる事無く下駄箱の下段に置かれた日曜大工セットの中でひっそりと眠っているスクリュードライバー。
その場合、メッキされてない部分が有ると、その放置期間中に錆びてしまう可能性が有る。
海に浮かぶ船の中ならともかく、家の中で保管してたらそうそう錆びる事も無いだろうけど、それでも無メッキの鉄は錆びを防ぐのは難しい。
ドライバーなんてちょっとくらい錆びても問題無く、PBでも普通に使ってても錆びて来るモノなんだけど、錆は許さんぜよってお客様のご意見もまた有る訳で。
ドライバーの先っちょなんてちょっと位錆びても問題無いズラよ、なんて事は日本のご家庭用ツールメーカーは言えやしない。
お客様には言えやしないさ。

その対策として行われるのが、先端へのメッキ。
ドライバーとしては大きな問題を抱えてるのだけど、ピカピカなグリップにキラキラのドライバーを末永く維持するには、この部分のメッキは非常に効果が高い。
マスキングの手間も要らないのでコストダウンにも繋がる。

美しさは重要だ。
カムアウト、なんて言葉すら存在しない世界で使う工具なのだから末永く変らない美しさが重要だ。
だからずるりと逝っても気にしない。
そんな美しい世界の美しいドライバー。
それがベッセルクリスタルライン。
ちょっとくらい滑ってもウシワナワシワーシ(usiwe na wasiwasi)
まぁ気にすんな。
それが正義の一つの形なのだから。

 

錆びないドライバーを取るか、滑らないドライバーを取るか。
その選択はあなた次第だ。
特に報告して貰う必要は無い。

 

突然だけど自転車のカップアンドコーンタイプのBBシャフト(ハンガーシャフト)
安いチャリンコの心臓部分は大体コレ。

 

ちょっと気持ち良くない自転車が有る。
ハンドル折りたたみ式の小径自転車なんだけど、フリクション感が凄くてペダルを回すとちょっとも気持ち良く無い困った自転車だ。
2万円で売ってる自転車なので仕方ないんだけど。

自転車の駆動抵抗なんて簡単なモノで、タイヤの空気圧、チェーン、ハブ、BB。
ブレーキを引きずってるってのは別として、駆動で足を引っ張るのはまぁこの4つ。
この4つを真っ当に回るようにしてやれば自転車はとても気持ち良くなる。

チェーンは綺麗で空気もちゃんと入ってるので、後はBBとハブ。
チェーン外して空転させてみた感じ、とりあえずはまぁこんなもんかな、って感じ。
何十万円!ってホイール程には回らないけれど、2万円でおつりの来る自転車としては及第点だろう。
ただクランクはどうにも気持ち良くない。
だから今回、ペダルを回すとザラザラした感じが強いBBを分解してみる事に。
場合によっちゃカートリッジタイプに交換かな。

 

分解要領については割愛する。

で、こちらが分解したハンガーシャフト。
ヤマハの新車のステムのように薄い、あまりに薄いグリースに包まれたベアリングが当たる部分に、一筋の銀色が垣間見える。

 

元はこんな感じで、右から左まで、上から下まで、前から後ろから、ともかく全部まっ黒けに塗られている。
ベアリングが当たる部分さえもお構いなしに、ペンキをべっちょりともっさりと塗りたくられてる。
このペンキをベットリと塗られたゴツゴツしたシャフトにベアリングがコンニチワするのだから、ペダルを回すとジョリジョリするのも仕方ない。
ペンキを塗りたくった鉄の棒に直接ボールを当てるんなんて通常は考えられないけれど、ママチャリではそれが通常なのだ。

程なく使って、当たりが出たら上の画像のように一筋に銀色が出てくる。
だからと別にペダルが快適に回る訳ではないんだけど。

 

ママチャリのホイールのハブも同じような構造だけど、そちらは流石にもうちょい良く回るように作ってる。
ママチャリならペダルの回転数=ケイデンスは60rpmくらいなので、まぁコレでイイやと考えてるのか、特に何も考えてないのか。
たぶん後者。

この部分のベストな構造は何かと考えたら、鉄製のシャフトに硬質クロムメッキを施したベアリングレースを入れるのが一番真っ当な構造だろうと思う。
バイクのステムと同じ構造。
左側のナットでアキシアル方向の荷重を出すのは現状と同じ。
改造するなら、シャフトを切削してアンギュアボールベアリングを入れてやると素晴らしくヌルフフフと回ってくれると思う。
ハナからカートリッジBBを入れろって話なんだけどね。

でも、ペンキを塗りたくった鉄の棒に玉を直当てが現実。
通常は考えられない暴挙だけど、安さこそが大正義なママチャリの世界では、それも一つの道なのだろう。
だからベアリングレース一体式シャフトが遠い昔に生み出され、今も変わらずに使われている。
そもそも、こんな所を変えようとすら思ってないだろうけど。
どうせ外から見えないし。

 

世界には何台の自転車が存在してるのかは知らないけれど、でも一つ断言出来る事は有る。
それは、ほぼ全ての自転車で、こんな部分が分解される事なんて無い、と言う事。
聞いた事も無い言語が飛び交う何処かの国の工場で組み立てられ、廃棄物として燃えないごみとして処分されるその日まで、こんな部分に日が当たる事なんて無い。
だからベアリングの当たる面にさえもペンキがもっさりと塗られてるのも、それはそれでアリなだろうと思う。
半年に一回分解してグリスアップしてくれるならまだしも、何十年とそのまんまなので、超ローコスト錆び対策としてはそれがベストなんだろうと。
だからちょっとくらいジョリジョリ言っても気にしない。
そんなのウシワナワシワーシ(usiwe na wasiwasi)
まぁ気にすんな。
それが正義の一つの形なのだから。

 

 

 

 

さっさとシマノのカートリッジタイプのBBに替えてやれば済むのだけど、右ワンが外れないと言うお約束の展開に直面したので、適当に耐水ペーパーとピカール様でシャフトを磨いておいた。
旋盤で回してやればもっと綺麗に研磨できるけれど、旋盤なんてガレージに行かなきゃ使えないので手仕事だ。
ハンドジョブだ。

これで当たりは格段に良くなる、かどうかは知らない。
そんなの知らないけれど、ちょっとの肩こりを対価に気持ちの上では充足される。
ペダルを回すのは足とそれに付随する各部の筋肉だけど、その筋肉を動かすのはハートなのだから。
気持ちは大事なんだよ、気持ちは。
気持ちだけじゃ自転車はちょっとも進まないんだけど。

 

ちなみに右ワン、ってのはこんな部分の事。

ママチャリのボトムブラケット。
右側(クランク側)のベアリングアウターレースの事をそう呼ぶ。

一般的には2種類。
二面幅36mmのスパナで外すタイプと、専用工具で外すタイプ。
前者はペラッペラの自転車用スパナやメガネを使い、後者はそれ専用の工具、もしくはM16=二面幅24mmのボルトを突っ込んで回したりする。
後者の場合は簡単。
M16=二面幅24mmのボルトを突っ込んでインパクトレンチで右に回して(逆ネジ)やれば外れる。
右ワンの取り外しなんて数秒で終わる簡単仕事だ。

問題は二面幅36mmのスパナで外すタイプ。
36mmのスパナなんて持ってないので、ワイドモンキー、もしくはモーターレンチが手持ちの武器か。
ただ、レンチの掛かる幅は数ミリしか無いので、中々に使いにくい。
だから検索すると、皆様メガネタイプの専用レンチをボルトとナットで固定して外れないようにしてがんばってるとか。
中々に大変だ。

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でも、コレって高いね。
鉄板を切り抜いただけなのにあまりに高いわ。
買うか買わないかと聞かれたら、そりゃ勿論即答するよ。
シオクヌヌア!(Sio kununua)
と。

 

と言う訳で、右ワンにナットを溶接してインパクトレンチで外そうと思う。
それが一番簡単で、一番安全で、一番楽で、コストの掛からない方法ではなかろうかと。
今後何度も使うのなら工具を作っても良いのだけど、ママチャリの分解なんてほぼする事ないので、右ワンは使い捨てる方向へ始末してやろうと思う。
ただ、勿論自宅に溶接機なんて無いので、続きはガレージへ行ってからだね。
割と面倒くさいので何時に成るやら分からない以前に、なんかシャフト磨いたら機嫌良く成ってこのままでもイイような気もするので、予定は未定って事で。

 

Bicycle

Posted by tommy