比較美
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年に何度か、和服を着て出かける時が有る。
ちょっとした用事で。
一応書いておくけれど、普段の私は自他共に認める真っ当な生き方をしている。
何ら後ろめたく無い、極普通の生き方を。
一歩外に出たらマクロスの話なんかしない、そんな極普通の生き方をしてるのだよ。
比較的に。
着物を着て外に出るのも実は高校生くらいの頃より行っている、そう珍しく無い出来事。
京都の人間だから、と言う事は大して関係無いが着物を着る事自体はそう珍しくは無い。
分解美ィ
等と言いながら、セローのエンジンをバラしてる人生を歩んでる訳では無い事を一応書いておく。
あと、ブロッコリーを踏み潰したりなんて事はして無い事も、大晦日だし一応書いておく。
実は割りと比較的に普通なのだよ、と言う事をご理解頂けたら幸いだ。
それがこの日。
この日って何時か、ってのはともかく、何しろこの日。
もうすっごい寒く、寒風がピュッピュ吹いてるこの日。
『家に迎えに行ってあげるから待ってなさい』
と、同行予定のバサラさんからの電話。
ちなみにこのバサラさん、前に何度も書いてる三味線のお師匠さん。
三味線を膝に乗せながら赤いユーノスロードスターを駆る、その姿はまさしくバサラさん以外の何者でも無い。
それ以外の気の効いた形容を思いつく方は是非とも私に教えて欲しい。
兵庫県南部の方を向かって大きな声で叫んで教えて欲しい。
ちなみに、三味線の師匠もしながら三味線売買もやってるので、販売用の三味線をロードスターに積み込む事は日常的な事なのだが、見た目の割りに比較的荷物が乗るロードスターと言っても三味線を何挺も積んだら結構パンパンに成る訳だ。
車の中は三味線だらけに。
それで九州から東京まで着物着てロードスターを運転して行くんだから、無茶しやがって、としか言いようが無い。
その足の踏み場も無い三味線だらけの車に同乗すると、最後の手段として膝の上に載せざるを得ないのだ。
三味線を。
別に三味線載せたまま高速走ったりはしないが。
そして弾きながら走れる程の操縦技術も、そして特にその用事も無いのが残念なのだけど。
そんなバサラさん、ロードスターの遂に迎えた寿命を期に、新たに4シーターのV8エンジンを積んだ大型コンバーチブルに乗り換えたので、もはや膝の上に三味線を置く必要は無い。
相変わらず和服着てコンバーチブルってどうなの？って気はするけど、ともかく相変わらずコンバーチブルが好きみたいだ。
このメーカー的に言い方では、カブリオレって言い方が適切かも知れないけれども。
赤くない、三味線は膝に乗せない。
もうバサラとは呼べないな。
私はもうこの前のように、膝の上に何挺もの三味線を両手一杯に抱える事も無く、ユーノスロードスターや前に私が乗ってた初期型SLKより圧倒的に快適なこの車に同乗してた．．．．のだが、やっぱり寒いものは寒いよ。
寒い物は寒い。
止まってたらとても寒い。
ちなみに、走ってたらロードスターだろうとSLKだろうと、これが実は比較的それほど寒くない。
ただ、止まってたら風がピューピュー吹き込んでくるので結構寒い。
シートヒーターが有れば比較に成らない程に快適だけど、それでも寒いのは寒い。
ゾクゾク美ィ
って言いたく成る位に。
もっとも、体はヒーターガンガンに効かせつつ、頭はシャキっと冷やす頭寒足熱が心地よい、と、そんな露天風呂的快適さが有るのかも知れないが。
ユーノスロードスターが今時の車かどうかはともかく、今時のコンバーチブルは良く出来てて走ってたら比較的暖かいのは紛れも無い事実。
走ってたらね。
それでも頭がスースーする事に違いは無いけど、真冬のコンバーチブルに乗る物好きな方にはそれ位全然どうと言う事は無いだろう。
走ってても止まってても、全方位から風と視線が突き刺さるスーパーセブンに比べたらどうと言う事は。
比較的、の話だけど。
まぁ真夏よりはマシよ。
真夏の炎天下のコンバーチブルに比べたら、真冬の方が全然マシ。
比較的、なんてレベルじゃ無いくらいに全然。
何の集まりかはともかく、ちょっと集ったこの日。
和服着て、三味線のお師匠さんと出かけたこの日。
この日、十年ぶりくらいに顔を合わせた若者と再会したのだ。
前は確か、コナン君みたいな格好してた小学生だったのだが、この日は一丁前にスーツなんか着て立派な男前に成っててちょっと驚いた。
勿論長ズボン。
小学生も十年経ったら立派な大人だ。
酒も飲めば車も乗れる、他にもアレやらコレやら色々と。
ただ、立派な大人に成ると言う事は、経済力の面でも自立しなければ成らないって事。
半ズボン履いてた頃なら全てはお父さんが負担してくれるのだろうが、長ズボン履き出したらそうは行かない。
全ては自分の責任、全ては自分の負担と成る。
だから、新年は北海道にスノボしに行くとか、そんな楽しそうな計画も全ては自己負担な訳だ。
クリスマスにいかがわしい夜を過ごす、そのコストもまた自己負担。
すべては自己の責任、全ては自己の負担と成る。
まぁ、でもバイトしてる大学生にはちょっと厳しい負担でも有るのは確か。
特に、クリスマスの夜にイルミネーション見に行ったら駐車違反取られたと言う彼に取っては、結構な負担と成る。
反則金に学割は無いので、仕方無いが全額払う以外に道は無い。
反則金18000円也。
空港を占拠したテロリストと戦ったりしたら、その功績を認められてウヤムヤにしてくれる場合も有るが、クリスマスだからとあまりそのような場面に出くわす事も無いので諦めるしか無いだろう。
退役軍人軍団を全員やっつけるより、駐車違反の反則金払った方が比較的簡単なのでそっちをお勧めしたい。
クリスマスの夜くらい緑のおじさんも大目に見てあげてもイイんじゃ無いかと思うけれど、逆にクリスマスのよるだから頑張ったのかも知れない、とも言えなくも無い。
まぁそれはそれで仕方無いので、バイトにせっせと励んで自分で払って欲しい。
それが長ズボン履いてる大人の責任って奴なのだから。
それが嫌なら半ズボン履いとけってこった。
でも、クリスマスの夜に泣きながらエロゲやってた人も居るので、その人に比べると比較的マシだろうとは思う。
駐車違反の反則金くらいは。
まぁ、比較的に。
そして呼んでも無いのにやってくる親戚をスルーして白目剥きながらエロゲやってた人も居るので、北海道スノボ旅行代くらいはどうと言う事は。
ん、まぁ比較的に。
それでは皆様、良い新年美を迎えられますように。
ではまた来年。