ジャンプっ子は止まらない

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月曜日の朝、私はパン屋へ行く為セローに乗っていた。
ハヤブサはちょい停めにくいのでこの日はセロー。

 

セローの小さなバックミラーを覗くと、背後には事業用ナンバーの付いた軽ワゴンが居た。
ちょっと妙な動きの軽ワゴンが。

大きく車間を取ったかと思えば、かなり詰めて来て、また車間を取ったかと思えば再び詰めて来る。
しかも、えらく端に寄って走ってる、朝っぱらから酔ってるのか?って位に端に寄って走ってる。
何とも挙動不審な乗り方。

だが、私はこの軽ワゴンは酔っ払ってる訳では無い事は知っている。
変な葉っぱをキメてる訳では無いのも知っている。
何故ならセローのバックミラー越しにお見通しだからだ。
原因は少年ジャンプに有る事を、すでにお見通しだからだ。

少年ジャンプを読みながら軽ワゴン車を運転するおじさん。
ハンドルの上に乗せたジャンプを運転しながら読むおじさん。
....おい!

バックミラー越しなので正確には何読んでんだか定かではないけれど、マガジンやサンデーな可能性も有るが、月曜の朝に運転しながら読んでるんだからきっとジャンプだろう。
コロコロコミック程の分厚さは無かったので、多分ジャンプだと思う。
チャンピオンは...多分違うと思う。
ドカベンは読んでないと思うな。
知らないけど。

 

少年ジャンプを買ったら運転中でも我慢できない、早く読みたい。
少年特有の思慮の浅い行動だと言えるが、運転してるのはどうみても明らかなおじさん。
自重してほしいと思う。
おじさんだからと少年ジャンプを控えろとは言わないが、運転中は控えてほしいと思う。
前走ってる私からしたら危なくて仕方ない。
ジャンプっ子が後ろを走ってたら尻が冷や冷やするわ。

 

尻が敏感に危機を察した私は、前の車を何台か抜いてジャンプっ子を遥か後方へと追いやった。
切符を切れる権限を持ってたら月刊少年マガジンくらいの分厚さの切符を切ってあげる所なのだが、残念ながら特に何の権限も持ち合わせてないただの民間人なので、さっさと離脱しておいた。
基本的に追い抜きも追い越しもせずに車の後ろをテレテレ走るのが常な私だけど、流石にジャンプっ子の前はご免こうむりたい。
幾ら相手は軽自動車とは言ってもサンドイッチにされたら唯では済まないのだから。
パン屋に行く途中にサンドイッチにされちゃたまったもんじゃ無い。
まだパンも買ってないのに。

 

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目的のパン屋はその道路沿い。
数分程走った先に目的のパン屋が有る。

特に何事も無くパン屋へと到着した私は、何時ものバイク置き場に何時ものようにバイクを停め置いた。
すると、とても見覚えの有る軽ワゴンがやってきた。
今走って来た道の向こうからやってきた。

は!あれはジャンプっ子!

幸いにもこのパン屋まで誰にも追突する事なくやって来たジャンプっ子。
スルスルと、静かに、スムーズに、何事も無くやって来たジャンプっ子。
運転しながらジャンプ読んでるとは思えないスムーズに、何事も無くやって来たジャンプっ子。

そして、何事も無く私の目の前を通り過ぎて行った。
赤信号を止まる事無く、ハイゼットも震え一つ起こさない冷静な動きで通り過ぎて行った。
赤信号を止まる事無く.....

ジャンプっ子は止まらない。

赤信号ごとき、ジャンプっ子の進行を止める事など出来やしない。
まぁ、多分ジャンプ読んでて気づいてなかっただけだと思うけど。

ジャンプっ子は止まらない。
ジャンプっ子は止まらない。

さっさと退いてて良かったと、尻を撫で下ろしながらしみじみ思う。

 

 

ジャンプっ子は止まらない。

ジャン・プッコ・トマラヘンネン、と書いたらなんとなくフィンランド人っぽいけれど、だから何だ!と強く言っておきたい。
だから何だ!
だから、だから何なんだ!と。

 

ジャンプっ子は止まらない。
おわり。

 

MOTOR CYCLE

Posted by tommy