やっぱベスパだろ?そりゃそうだろう

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人を見れば、何となく乗ってるバイクが想像出来る。
事も有る。
そんな場合も。

例えばバイク用品店の店先。
その店先には3台のバイクが停められている。

・NC750(地味な色)
・KLX250(黄緑)
・ハーレー スポーツスター(黒)

以上3台。

店内に入ると、客はやっぱり3人。

一人は黄緑男。
河童か?ピッコロか?それともグリーンアーミーか?
ともかくそんな黄緑男が一人。
アライのモトクロス用ヘルメットを下げた黄緑男。

一人は、ワークブーツに革ジャンの男。
なんかチェーンアクセサリーがジャラジャラしてる男。
歩くたび、無秩序にぶら下がった金属製アクセサリーによって、ジャラジャラとメカノイズを発してる男。

そしてもう一人はコミネ様。
上から下までコミネ様。
きっと靴下までもがコミネ様。

<問題>
バイクとライダーの正しい組み合わせを答えよ

A:河童
B:革ジャンメカノイズ男
C:コミネ様

あ:NC750
い:KLX250
う:ハーレー スポーツスター

一概には言えないのだけども、その人は概ね印象どおりのバイクに、そのバイクには概ね印象通りの人が乗ってるだろうと思うな。
まぁ中には、黄緑のツナギ着てラッキーストライクカラーのVJ22Aに乗ってる人も居るのだけど、多分それはレアケースなんだろうと思う。
別にスズキ乗ってる人間が変わってると言いたい訳じゃないけど。
ん、微塵もそんな事思ってない。

家具屋に行ってきた。
テーブルとカーペットを買いたいと、近所に住んでる友人が言い出したので私の車で。
彼女の車じゃテーブル積めないので。

もっとも、旦那さんはアトレーと言う、スバルサンバーの後継をしっかりと勤める車を持ってるのだけど、正直アレで高級家具屋に行くのはちょっと気が引けるんだよなぁーってのが、彼女の意見。
まぁ納品業者みたいだもね。

なんせ買う家具は、新車のセローくらいのお値段の小さなテーブル。
そのテーブルの1/5くらいの値段の中古のアトレーで買いに行くのは気が引けるのもごもっともだろう。
幾ら4次元アトレーの異名を取る、恐ろしく荷物の積み込める車で有ったとしても気が引ける。
イケアやニトリならともかく、流石にこの店は。

ちなみにアトレーは、MTBで林道走ったりダウンヒルしたりする際のトランポ用として使う為に買ったのだけど、なんかその旦那さんがやたらとその中古のボコボコの軽四が気に入ってコレばっか乗ってるみたい。
私の周囲にも同じのを乗ってる人が居るけど、確かに良く出来た車だとは思うな。
燃費は悪くて尻は熱いけど、ラゲッジが広大なこの車は良く出来てると思う。
ベントレーの横に停めるのはちょっと気が引けるけど。

でも、結局テーブルは買わず終い。
前見た時は衝動的に欲しくなったけれども、良く良く改めてじっくり検討したら、いまいちデザインが気に入らない所も有るみたい。
まぁ安い買い物でもないし、テーブルを買った後で気に入らんとなったら始末にも困るので、また考えりゃイイじゃないかと、お次の店へ。
今度はカーペットを売ってる店へ。

アトレーでも行ける店
と書くと少々失礼かも知れないけど、カーペットなんて何だってイイよって事なので、安くて品揃えの良いこの店に来てみた。
ここで気に入ったのが無ければニトリでも寄るか?等と言いつつ。

駐車場に車を停めて店に入ろうとすると、入り口に一台のバイクが停められていた。
それはベスパ。
かなりの年代物とお見受けするビンテージ物のベスパ。

ビンテージベスパを今乗るには、スタイリングと雰囲気とを引き換えに色んな不満を甘受せねば成らない面倒臭さが有る。
それでも永遠に愛され続けるには、理由が有るのだ。
見た目とか、見た目とか、雰囲気とか、見た目とか。
そんな、入り口に停め置かれたベスパを尻目に店内へと。

何でもイイと言った所で、やっぱりあれこれ迷ってしまう。
単色のシンプルなカーペットと言っても、色々有るので迷ってしまう。

迷う事数十分、遂にお目当てのカーペットを決めてやっとの事でレジへと。
これでカーペット買わずに帰ったら、ただのドライブに成ってしまう所だったよ。
わざわざ私の車出してきた甲斐も有ったってもんだ。

レジに行くと、男性客が一人、レジで清算中。
カーペットと言うかラグと言うか、私達と同じくロールを一本持ってレジで精算中。

すると店員さんはこう尋ねた。

『お持ち帰りですか?』

と、フライドチキンを注文した時のように。

ちなみに、通常バケツに入ったチキンを買った際には持って帰るか?なんて事は余り聞かれないのだけども、私の周りに一人居たりする。
8ピースとか10ピースとか入ったチキンを、ココで食べるか?と聞かれる大巨人が一人。
魔人ブーみたいな体型の人が一人。

そんな、わざわざ聞かなくても解るじゃ無いか。
今すぐ食べるに決まってるじゃ無いか。

ん、そんな話はともかく

『お持ち帰りですか?』

と、尋ねられたその男性客は、はい持って帰りますよと答えたのだ。

え?と思う私。
店員も、同行した友人も何も思ってないみたいだけど、私は思ったのだ。
え?持って帰るの??
と。

と言うのも、この男性客。
どうみてもベスパ乗ってる人なんだよ。
誰がどう見ても。

黒いスーツに派手なシャツに派手なネクタイ、そしてもじゃもじゃ頭にサングラス。
ベスパしか無いだろ?
知ってるよ、職業は探偵だろ?
帽子こそ被ってないけど、何処から見ても工藤ちゃんだろ?
そりゃベスパしか無いだろ?
それしか有り得ない。

0222vespa

確かに無反動砲を積んだベスパもあるので、カーペットのロールくらいは積めるかも知れない。
なんせベスパってバイクは、休日のローマから戦場からサハラ砂漠まで走れるオールラウンダー。
カーペットくらい積めるか。
工藤ちゃんの手に掛かれば、それくらいの事件解決なんぞ容易いか。

清算を終えて店を後にする工藤ちゃんの背中を見守りつつ、私達も清算を終えて店の外へ。
カーペットのロール一本と、私の買った植木鉢カバーとを持って車の元へ。

ふと見ると、工藤ちゃんの姿。
カーペットのロールを担いだ工藤ちゃんの姿。
どこぞかの会社の名前が書かれたプロボックスにカーペットを積み込み、そして走り去って行く工藤ちゃんの姿。

な、なんやて工藤!
お前、営業マンやったんか工藤?
そんな派手な格好して営業マンなんか工藤?
探偵と違うんか工藤!
ベスパと違うんか工藤!
ホンマか工藤!
そりゃアカンで工藤!
せっしょうやで工藤!
クドーーーー!!

私は、工藤ちゃんに裏切られた気持ちを胸に、未だそのまま停め置かれた何処の誰かのか知らないベスパを後に近くのカフェへと向かった。
でもコーヒー飲んで吹いたりしない。
それは工藤ちゃんにお任せしようと思う。
何時か、何処かで、一人コーヒーを吹き出す工藤ちゃんに期待を寄せて。
今度こそ、工藤チャンスをモノに出来るようにと期待を寄せて。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy