バイクにはイイ季節に成りつつ
『バイクって涼しそうですよね』
と、バイク乗りなら一度は言われた事の有るフレーズだろうと思う。
『これ、なんシィーシィー?』
ってのと同じくらいに。
真夏、気象庁発表で体温と同じくらいの気温の酷暑日。
タンクの上に温度計を置いたら何度を指し示すか解らない炎天下で、高発熱のエンジンを股下に挟んで乗ってて涼しい訳は無いんだけど、どう言えば良いのかとちょっと返答に困ってしまう場合が有る。
何とお答えすれば宜しいかと中々に返答に困ってしまう。
いや、これが真夏の炎天下では凄く暑いんですよ。
エンジンの熱気が凄いんですよ。
空冷ネイキッドなら全体に湧き上がる熱気が凄いんですよコレが。
水冷フルカウルならファンが作動したらラジエーターを通った熱気が足元に噴出してこれも凄く熱いんですよ。
さらに特にアルミツインチューブならフレーム自体も熱を持ってくるのでコレも凄く熱いんですよ。
ZZR1400みたいなバックボーンモノコックフレームならその辺は随分改善されてるんですけど....
なんて事を早口でまくし立てるのはちょっと考え物。
と言うのも
『バイクって涼しそうですよね』
と声掛けてきた人は、昨日タイガースが勝ったとか白鵬が負けたとか、ってそんな時候の挨拶程度のどうって事の無い話なのだから。
別に真相を深く知りたい訳でも、長々と訳の解らない話を聞きたい訳でも無い。
単なるサラっとした話なのだから。
『松の内のにぎわいも過ぎて、ようやく平生の暮らしがもどってまいりました』
なんて時候の挨拶に
『いやお前の正月ってドラクエやってただけだろ?
ってかクリスマスだろうと年末年始だろうと一人でドラクエやってるだけの日常だろ?』
なんて血も涙も無い返答するのと同じくらいに考え物。
さらっとした話に、ネチネチ絡むのも絡まれるのもご勘弁したい話だ。
蒸し暑いのに。
『バイクって涼しそうですよね』
と声掛けてきた人は、ぶっちゃけた所、別にバイクが涼しかろうと涼しくなかろうとどうでも良い話な訳。
単なるさらっとした世間話なので、これにネチネチと返答するのはちょっと考えどころ。
でもかと言って
『ええ、涼しいですよ』
って返答するのもまた悩みどころだったりもする。
ってのも、以前に涼しそうですね攻撃をご近所の奥さんに受けた際に、夜勤明けで本当に究極なまでに面倒だった私はそんな適当な返答をしたのだけど、その後その奥様がバイクに乗り始めたって話を聞いた私は、あの適当な返答が禍根を残しやしないかとちょっとドキドキした。
暑いやんけ!と怒鳴りに来られたらどうしようって。
幸いに、その奥様の乗ったバイクはvinoだったかズーマーだったの50ccスクーターだったので、私の適当な発言は強ち間違いじゃ無かったと胸を撫で下ろした。
後ろにエンジン積んでるスクーターは涼しいしね。
いきなり大型二輪免許取っていきなりスーパーブラックバードに乗る事は無いだろうけども、ともかく嘘つき呼ばわりされなくて良かったなと、適当に思う。
まぁまぁ適当に。
涼しそうですけど意外と暑いんですよ。
この程度にサラっと答えておくのが良さそう。
暑いのにガタガタ言いたくも、そして相手もきっと聞かされたく無いだろうから。
この程度が良さそうだ。
まぁでも、返答に困る事って色々と有る訳で。
『12月の半ば頃にコストコで大きなクリスマスツリーを買って、クリスマスが終わったら返品しに行くの』
と、以前そんな暗黒のライフハックを披露されて返答に大いに困った経験が有るのだけど、意外とアドリブには強く無いのでお手柔らかに願いたいなと思う。
まぁ、そんなこんなグダグダ言いつつも、昼間はまだまだ暑いものの昨今の朝夕はめっきり涼しく成ったので
『ええ、涼しいですよ』
って、そろそろそんな具合に適当に答えても問題無さそうな気はしないでも無い。
いやぁ、バイクにはイイ季節に成りつつ有るもんだ。
いやホントにね。