『戦いは数だよ兄貴』と、ドズルが言ったから

質は勿論大事なのだが、世の中数が無きゃどうにも成らない事って有る。
例えば工具。

 

世界最高の誉れ高い天下のスナップオン様とて、ピカピカに輝くラチェットレンチとソケット幾つかだけでは、ハンドルマウントのバックミラーも締め付けれないし、ウインカーのバルブ交換はおろかニトリの家具の組み立てすら出来ない。
質は確かに大事だが、必要最低限の数を揃えるってのはもっと大事なのだ。
高級ラチェットハンドルと高級ソケットを二個三個有った所で話には成らない。
一本で何でも出来る工具なんて無いし、似たようなアイデア工具は有るけど大体何をしても使いにくいしね。
結局数だよ、結局は数なんだよ兄貴。

 

何するにも数が無ければ話には成らないのが現実。
だからスナップオンやらハゼットにこだわり抜くのは非常に難しい。
ビグ・ザムの量産が難しいように、スナップオンやハゼットで揃えるのは中々に難しい。
財布が許しちゃくれないのさ。
許してくれる人はその限りでは無いけれど、少なくとも私の財布さんはそんなにニコニコとお口を開けてくれないんだよ。

 

ちなみにスタビレーのショックレスハンマー(50mmヘッド)は25000円程もする。
ストイックに全てをスタビレーで揃えるのって大変だ。
勿論そんなの持ってない。
25000円もするトンカチなんて買えないよ。

ちなみにアメリカでは、385mm-50mmヘッドで90ドル、355mm-35mmヘッドなら60ドルで買える。
それでも高いっちゃ高いけどね。
25000円もしないとしても。

 

0209sk2

セミディープインパクトソケット。
ブランドは、財布に優しいみんなの友達ストレート。

これはゼファーのシリンダーヘッドに使用するソケット。
ここは一般的な1/2Dr.のソケットは入らないので、薄肉のディープソケットが必要と成る。
3/8Dr.なら問題なく入るけれど、恐らく工具が壊れると思うので止めた方が良いと思うな。

 

0209sk1

ゼファー1100の場合、シリンダーヘッドの締め付けトルクは新品ボルトで40N・m。

ここは長いボルトでシリンダーヘッドからシリンダーを貫通して、クランクケースに締め付けてる構造。
数値で見れば3/8Dr.でもカバーしてる程度の締め付けトルクだが、工場出荷以来四半世紀も外してないエンジンのボルトはそう簡単に緩む程に甘く無い。
分解整備が規制されてない時代のレース用エンジンみたいに、1レース終わったら全部バラバラにする場合ならその限りじゃ無いけれど、何十年も緩めてないシリンダーヘッドのボルトはそう甘く無い。
締めるのは3/8Dr.で問題なくても、これを同じサイズの工具で緩めるのは大いに問題は有る。
ロングハンドルの1/2Dr.ブレーカーバーや、ハイパワーなエアインパクトレンチで緩めるのが得策だろう。

ただ、上記した通り一般的なシャローソケットでは入らないので、ディープ、或いはセミディープソケットが必要と成る。
恐らくバイク整備では、こんなソケット、滅多に使わないんだからね!、とちょっとキモい事を言ってしまいそうになるけれど、ともかく無いと話に成らないので買わねば成らないのだ。

 

0209sk3

インパクトソケットを使うのは、ハンドツールでは手に負えない場合はエアツールを使う為。
エアツールを使う、と言うか私の場合は何をするにもまず手にするのがエアツールだったりするので、必然的にインパクトソケットの出番が多い。
自動車整備ならホイールや下回りの一部くらいしか使えないけれど、バイクの場合はボルトへのアクセスは簡単なのでエアツールの出番は非常に多い。
ちなみにセローのシートを外すのさえインパクトレンチを使うタイプ。
面倒そうに思うだろうけど、環境さえ整えたらこれがとても使い易いんだよ。

シリンダーヘッドの分解にエアツールってどうなのさ?
って思う人も居るかも知れないけれど、まぁきっと問題なんて無いさ。
あの程度の振動でどうこう成る程にヤワじゃないし。

難点は使うソケットにもよるけれどボルトの頭がちょい痛み易いって点。
でもこのシリンダーヘッドのボルトは新品推奨なので、まぁイイんじゃ無いのって思う。

 

この辺りも、ハゼットで揃えれたら言う事は無いのだけども、2度と使わないくせに1個4000円程もするソケットを中々買う根性は持ち合わせて無いので、まぁココはストレートでイイかと、そんな判断。
でもその繰り返しでどんどんストレートに侵食されつつ有る私のキャビネットだったりする。

なんせこのサイズでお値段は600円以内。
ハゼットのディープインパクトソケットを1個買うコストで、ストレートなら圧倒的物量が手に入るのだ。
圧倒的じゃないか、とほくそ笑む程に。

 

戦いは数だよ兄貴。
珠玉の一機より、そこそこのが一杯の方が何かと役に立つもんだ。
改めて、あの日のドズルの言葉が胸に染み入る。
もっとも、あの状況でドムを10機程度送った所で焼け石に水だったろうけどね。

 

MOTOR CYCLE

Posted by tommy