イワシの処世術

 

何度か書いた事は有るけれども、ワルキューレ・ルーンと言う1800ccも有るバイクに乗ってる人が居る。
ゴールドウイングのエンジン積んだ超絶クルーザー。
もうね、笑ってしまうほどにデカい。
まさにうすらデカい。

その人の友人も、ワルキューレに乗ってたのだけど、何時の間にかバルカンに乗り換えたりしてた。
バルカン2000に。
もうね、笑ってしまうほどにデカい。
まさにうすらデカい。
2000ccって....
しかも二気筒。
正気の沙汰じゃ無い。

で、別の友人はまたもや同じようなのに乗ってる。
その名はウォーリア。
ヤマハの1700ccのアメリカン。
流石にワルキューレと並ぶと一回り小さく見えなくも無いけど、単体で見たらやっぱり笑ってしまうほどにデカい。
まさにうすらデカい。

どれもこれも本当にデカい。
ゼファー1100を横に置いたらバリオスに見えるくらいにデカい。
実は意外とコンパクトなゼファー1100と言っても、これらは余りにデカ過ぎる。

そんな超巨大クルーザー3人組に加え、ご近所の1100カタナさんと盆栽ニンジャ。
そんなこんなの不経済なバイクの5台が寄り添ってちょっと出かけて来たのは、我が家からバイクで30分って所に有る住宅街。
そこにお住まいの方に会いに行くのがこの日の用事。
ちなみに私は車。

用件は、この家の方が暫く仕事で海外に行くとかで、バイクに乗れなく成るから処分してくれないか?って件。
かなり大きなお宅なので、バイクの一台や二台くらいは置ける為最初は冬眠も考えてたものの、行政上或いは法律上の手続き以外で当面日本に帰ってくる予定も無いとの事なので、この際なので処分しようって事に。
本人いわく、特に思い入れが有る訳でも無いので、欲しくなったらまた買うわとの事。
それがイイと思う。
乗らんバイク置いてても仕方無いもんね。
私が言うのもアレだけど。

バイクは現行V-Max(国内モデル)

欲しければ買取屋の現物確認後の提示価格で譲るよ
との提案を受けたので、この日見に来た訳だ。
マジですか?
ってか買うんですか?

そんな、買う気満々な困った人が一人。
我が旦那様。
そもそも、この日は私と旦那さんとカタナさんとの3人で見に来る予定だったのだけど、ワルキューレの人達が実はこの家の方と友達だって言うので一緒に来た訳。
どうやらツーリング仲間らしい。

同じく同行したカタナさんもこの方とは旧知の仲で、そもそもこの話を持ってきたのがこのカタナさんだったりする。
なんかややこしいけど、私達夫婦を除いてみんなお友達って訳だ。
私達だけが知らん人なだけで。

ちなみに盆栽ニンジャは全く何の関係も無い。
何しに来たんだ?君は??

点検と洗車と買取屋との交渉はウチでやる事に成りそうだ。
時間も無ければ休みも無いので、バイク王を呼んで買取の立会いする暇すら無いとの事で。
流石に夜中にバイク王は来てくれないのだから。

と言っても、名義変更してない他人のバイクを他人がバイク王に売り飛ばせる訳も無いので、実際に引き取られる際には顔出して貰うか、或いは委任状を書いて貰う必要は有ろうかと思う。
どうすれば良いかはバイク王と相談しなきゃ解らない。

さてどうしよう。
ウチで買い取るか、それともバイク王へGOするか。

現状、夜だった事も有り状態は良く解らないので、一旦このV-Maxを持ち帰る事に。
そう遠くない所に新旧問わずV-Maxを良く知る人が住んでるので、一旦その人の所に持って行こうとV-Maxを走らせた。
私も旦那さんも他の人も、V-Maxなんて全然知らないので、良く知る人に見て貰った方が確実だと。

先頭にワルキューレ。
そしてカタナと盆栽ニンジャが続き、バルカン2000とウォーリア。
そして最後尾には現行1700ccのV-Max。

私は後ろから車で着いて行っただけだけど、総排気量9000ccのこの集団は異様だ。
この面子ならGPZ900Rが一番小さいバイクなのだから。
しかも排気量は半分程。
ミドルバイクと言って差し支え無いかも知れない。

バカじゃ無いか?
ああ、多分バカなんだろうね。

R1が混じったらR25に間違われかねない。
そんな異様な迫力。
ちなみに私は車。

カタナと盆栽ニンジャはJMCA組んでるけど、他のバイクはどれもノーマル。
図体はデカいけど、走ってたら静かなもんだ。
ちょい前を走る原チャリ小僧の集団に比べれば。

ばばびんばばびんばばびんばばびん

と、なんかスロットルを用事も無いのにパコパコしながら、消音機能を持ち合わせて無い消音器から騒音鳴らしながら、玩具のヘルメットを首からぶら下げて走る少年達が前に。
その数ざっと6台くらい。
ドン・キホーテでの買い物帰りのような風体は、お世辞にも余り賢そうには見えない。
服着て原チャリに乗れてるので少なくともミンククジラやウォンバットよりは賢いとは思うけども、正確には計りかねる。

たかだか6馬力程の原チャリと言っても、公道においては馬力に似合わぬ移動速度を誇る。
なんせ彼らには信号は有って無いような物なのだから、幾ら1700ccのV-Maxと言っても信号の多い幹線道路においてはぶっちぎる事は難しい。
デスソースを垂らすくらいにほんのちょっとのアクセル開度で抜き去る事は容易だが、信号と速度を守る普通の生き方してる以上、それらを守らない相手を完全に置き去りにする事は難しい。
赤信号だろうと歩道だろうと構わず走る彼らを引き離すのは難しい。
ルールを守らない相手に勝つのは非常に難しいのだ。

そりゃそうさ。
ルールを守らなくてイイなら、私だってロレンソにGPで勝てるよ。
ルール無視したら楽勝で勝てる。
1時間前にスタートしたら絶対に勝てる。
8耐は1時間ハンデじゃ無理な気がしないでも無いけど、流石に前の日に出走したら勝てるさ。
それもぶっちぎりで。
ルールを無視したら絶対に勝てる。
セガール以外には大体勝てる。

だからずっと居る。
なんか周りにずっと居る。
バビバビバーバー言わせてずっと居る。
嗚呼、とても鬱陶しい。

イワシの処世術。

イワシは、数多く固まる事で安全を確保する。
理由の一つが、幾らかの個としての犠牲が有れども、集団としての安全を確保すると言う考え。
マスケット銃を構える相手に石斧振りかざしながら集団で突っ込むような物だ。
ちょっとくらい犠牲が出ても、集団が守られたらイイじゃんかって考え。
犠牲者は気の毒だか、戦いとは非情なモノなのさ。

そして一つが、集団になれば襲われ難いという考え方。
クジラを飲み込む程に大きな群れになったイワシは中々襲い難い。
私としては食べ放題な気がするんだけど、マグロからしたらちょっと襲い難いみたいだ。
まぁ、プランターのトマトにアブラムシが数匹着いた程度ならまだしも、アブラムシに埋め尽くされたりしたら結構怖いのと同じか。
小さな虫けらでも、群れたら結構怖いもんだ。
昔育ててたワイルドストロベリーが、株と言わず実と言わず、全てをアブラムシでコーティングされた時は戦慄を覚えたもんだ。
その数、数万とも数十万とも居そうな、大量のアブラムシに支配された日には本気で怖かった。
プランターごとゴミ袋にダンクシュートしてしまうほどに。

これは、NATOや旧ソ連の集団安全保障条約(昔で言う所のワルシャワ条約機構)或いはニュアンスはちょっと違うけど中国を中心とした上海協力機構なんかも同じ。
みんなで固まって大きくなったら安全なのさって考えは、アブラムシだろうとイワシだろうと国だろうと同じ。
そして勿論、原チャリ暴走族だって同じだ。

だが、集団安全保障や何かしらの条約を結んだ国同士でも、イザって時には絶対どこかが裏切るのと同じく、集団は永遠ではない。
次はイタリア抜きでやろうぜと言った所で後の祭り。
何時かそれが破綻を来たす時が来る。

夜の幹線道路を走る原チャリ小僧とてそれは同じだ。
みんなで寄り添って暮らし、みんなで寄り添って眠り、そしてみんなで寄り添って世間に迷惑を振りまいてる訳では無い。
それぞれがそれぞれの家を持ち、それぞれがそれぞれの家へと帰って行くのだ。
現に、有る時から一人消え二人消え、気付いたら原チャリはたった2台に。
そして最後の一台もついに幹線道路から路地へと消え去り、ついに目の前には原チャリが一台。
用事も無いのにばんばら言わせて信号無視して蛇行してた原チャリ少年は目の前に只一台。
総排気量9000ccの巨大なバイク集団の前に、49ccの原チャリが一台。
マッコウクジラの群れの前を泳ぐカタクチイワシ一匹みたいな状態だ。
とても大人しい。
借りてきた猫と言うか、冷凍したイワシのようにとてもおとなしい。

イワシの処世術。

弱いイワシは、身を守る為集団を作る。
より大きな群れを作り、自らを大きく見せる事で身を守る。

だが、一度一匹と成ると、只ひたすら見つからないように静かに泳ぐだけ。
何も身を守る術もない、そして逃げ切れる泳力も持たないカタクチイワシは、ただ敵に見つからない事を祈って静かに泳ぐのみ。
死んだ振りできるもんならしたい気分。

何時しか隊列は、ジャギっぽい格好したワルキューレを先頭に、両サイドをバルカンとV-Max、後はウォーリアをカタナと盆栽ニンジャが固める。
そして真ん中にはイワシ。
高発熱の巨大なバイクの群れに、ただ一匹取り残されたか弱い金髪カタクチイワシは、暖かく包まれる、否、正確には飲み込まれるのだった。
そりゃ信号守ってりゃ飲み込まれるわ。

あ、別に威嚇したり蹴っ飛ばしたりなんかしないよ。
そりゃそうだ。
人を何だと思ってる。

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