イリジウム保険-2

 

スパークプラグ。

基本的に私はNGKのイリジウムを使っている。
昨今のロングリーチ化されたプラグでは、イリジウムしか選べない、またはイリジウムが選べない、なんて場合も有るけれど、標準プラグから高級プラグから謎の中華プラグまで、選び放題な規格のプラグの場合、私は迷わずNGKのイリジウムを選ぶ。
標準プラグとイリジウムの違いとか、薄い銅板でシムを作ってプラグの電極の開放部の向きをアッチ向けたりコッチ向けたりどうするとか、そんな事を考えてた時期も有ったけれど、今や普通にイリジウムを普通のサイクルで普通に交換するだけ。
普通に生きるって意外と難しい事なのかも知れないけれど、プラグを普通に交換するのは普通に簡単だ。

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ただこのイリジウム。
水冷直4なら、ほぼこのプラグに異論を唱える人は居ないと思うのだけど、例えば単気筒だったり、或いは2ストだったりな場合、ちょっと待てよと言う人は存在する。
○○のバイクには、電極の細いイリジウムよりも、普通のプラグの方がイイんだよ、なんてお気持ちを表明する人が存在する。
それが確実にデータを取った上での事なのか、或いは経験則なのか、それとも単に世間に抗うオレって恰好イイってだけの鮭みたいな人のご意見なのかは解らないけれど、ともかくそんな意見は昔から存在する。

ちなみに私の場合、特にイリジウムにネガティブな意見は持ってないが、過去に3XVやVJ21Aを触ってた時は、迷う事なく普通のプラグを使っていた。
ってのも、2ストはプラグの寿命が恐ろしく短いってのが理由だ。

かぶったプラグは交換すべきか否かは、かぶるって事の定義によるんじゃ無いかと。
『かぶる』と表現する場合、単に始動失敗して軽く燻ぶっただけの場合も有れば、電極がベットベトに成ってる場合まで様々有る訳で。
そんな『かぶる』の定義の違いだったり、単に知識の差異だったりするので、話はそうそう簡単でも無い。

話はそうそう簡単でも無いのだけど、少なくとも私がかぶったと判断した場合は、迷う事なくプラグを新品に交換してやることにしている。
ビービー言わずに取り敢えずプラグ換えとけって。

な訳で、場合によっては出先でプラグ交換する事も珍しく無いので、2ストに乗ってた時は新品プラグは常に2セット常備していた。
綺麗にクリーニングして再使用する場合も多いけれど、基本的にちょっと使ったプラグはどんどん使い捨てていくので、普通の安いプラグを選択するのが必然って奴だ。
そもそもイリジウムはクリーニング出来ないのだけどね。
油田でも掘り当てたらイリジウムを使い捨ててやってもビクともしないんだけど、ガンマなんて重油みたいなのを吹くばかりだから話に成らないや。

一方セロー。
空冷の単気筒の場合も、これまた普通のプラグの方が良いよな勢力は存在するのだけど、私は随分と前からイリジウムしか使ってない。
交換サイクルは最長で8000キロ。
通常は5000kmくらい。
耐久性に関しては、普通のプラグと大差は無い。
イリジウムは凄い耐久性だよと、男性の活力系サプリメントみたいな謳い文句が繰り広げられる事も有るけれど、高耐久のイリジウムは接地電極にプラチナチップが付いている四輪用のイリジウムMAXの方で、残念ながらバイク用のイリジウムIXは特に高耐久では無い。
勘違いすんなよと、NGKも言ってる。
https://www.ngk-sparkplugs.jp/ngk/pickup/replace_time/

このプラグギャップ=電極間のすき間は、標準プラグのようにマイナスドライバーを突っ込んで広げると、中心電極がポッキリ折れるのでご法度とされている。
接地電極=外側電極(L型の金属部分)だけをラジペンでつまんで広げてやれば問題は無いけれど、中心電極に力が加わるとほぼ確実に折れるので注意しよう。
また、シクネスゲージをちょっと無理に突っ込んだらこれまた折れる可能性が出てくるので、全ての面においてデリケートに扱ってあげよう。
勿論のこと、ワイヤーブラシで磨く、なんてのは単に壊してるだけに過ぎないので、そんなヤンチャは止めておこう。

したがって、単に普通に組んで、時が来たらまた新品に交換する、ってのがイリジウムとの基本的なつきあい方。
点火系を強化してるなら、プラグギャップを広げてやるのは効果的だけども、くれぐれも先っちょは折らないように注意しよう。
先っちょはデリケートな事くらい皆様十分にご存じだろうから、そんなの今さらな話かも知れないけれども。

 

価格は標準のDR8Eが400円程なのに対して、イリジウムは1000円。
倍程度の価格差は有るものの、セローの場合は1本で済む話なのでどうって事も無い。
これがツインプラグのゼファー1100なら8本も必要なので、同じく1000円程するCR9EIXを選ぶのはちょっと躊躇してしまうかも知れないけれど。
流石にプラグ交換に8000円ってのは、ちょい高い。
もっとも、今どきのロングリーチのイリジウムは、1本で2000円くらいするので、4気筒だと結局は8000円コースに成っちゃうんだけどね。
何でもかんでも高くなったもんだ。

 

保険。
保険とは、何かしらの不具合、アクシデントが起こる事を前提に、事前に手を打っておく事。
金銭面だけでなく、サイクリングにはパンク修理キットとポンプを積んでおいたり、スマホ用のモバイルバッテリーを持っておいたり、転ぶ前にタイヤ交換しておいたり、なんても保険の一種。
スパークプラグも同様。
4気筒なら、仮にプラグが一本壊れたとしても、どうにかこうにか動く事は出来るかも知れないが、単気筒の場合はまったくもってどうにも成らない。
したがって、消耗品とは言うものの、消耗する前に換えておくのが正しい選択だろうと思う。
ブレーキパッドやスプロケットも同様。
流石にLEDの寿命が切れる前に解る人はそうそう居ないかも知れないけれど。

だから私は、保険を兼ねてイリジウムをさっさと交換するようにしている。
常時160000rpmで走るバイクでは無いので、セローなら8000km程度の走行距離では実際には大して消耗はしてない。
だから、そんな消耗しきる前にプラグ交換しても大したご利益は実感出来ないのだけど、何も変わらない品質がこの先8000km程度は確実に続くと言えるので、それはそれでイイんじゃ無いかと、そう思ってる。
保険だからね。
そうそうありがたみが骨身に染みるような事態は御免被りたいわ。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy