余裕が有れば何とかできる-1

人が生きる上で必要なもの、ってのは数多く存在する。
たった一つでは無く、必要な物は数多い。

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金は生きる上で非常に重要なものだが、金だけ有っても地下の牢屋に幽閉されてたらあんまり意味は無い。
昨今何かと話題のフィリピンの刑務所なら大きな意味を持つかも知れないが、山深い古城の地下に一人で幽閉されていたり、或いはモヒカンが世界を支配してバーター取引が経済活動の基本と成っているディストピアでも金はあまり意味を成さない。
SF映画で良く有り勝ちな、脳みそだけが液体に浸って金魚鉢みたいにブクブクされてる状態なら、金の力とテクノロジーで楽しい夢を見せて貰えそうな気もするけれど、地下深い牢獄で鎖につながれたままこの先60年閉じ込められることが確定してるなら、金はあんまり役には立たない。
自由に使える金と共に、それを使える自由が有ってこそ成り立つ話だ。
コインコレクターや、札を勘定するだけで楽しい一部のマニア層を除いて。

 

元気もこれまたとても重要。
元気が有れば何でもできるのは正しい意見だろうとは思う。
だが、幾ら元気が有ってもパンツ買う金すら無いのはこれまた大きな問題と成る。
元気、だからこその大きな大きな問題が生じる。
大きな大きな元気くんが大きな大きな災いを引き起こす場合が有るので、健康で文化的な最低限度の生活を送る程度の金銭的余裕は必要だ。
金が全てとは言わないけれど、街を歩くならせめてパンツ買う金くらいは必要だ。
がんばれ元気も程ほどにしとけってこった。

 

人が生きる上で重要なもの、ってのは数多く存在する。
ドラクエの勇者一行のように、人生と言う名のダンジョンを進むには数多くの持ち物が必要と成る。
この世の中、ひのきの棒一本で渡り切れる程に容易くは無いので、持ち物は色々と必要と成る。
そんな、幾つか有る人が生きる上で持っておくべき大切なものの中、人が健やかに生きる上では『余裕』を持つ事もまた大切だろうと思う。
一日に一本しか来ない始発のバスに乗らないと身動き出来ない所に住んでいたら、毎日が余裕無さ過ぎて大変だからね。
色々と事情は有るんだろうけど、もうちょっと余裕が持てる所に引っ越したら?と普通にアドバイスを送りたい。
そんな余裕が持てないような事情は何かしら有るんだろうけど。
ともかく、経済的にも精神的にも物理的にも、余裕ってのは大事なのだ。

 

クアルタラロなら、ヤマハとの次の契約更新をこの格好で行っても全然構わない。
契約金下がってもいいからマシン開発頑張ってくれ、俺も頑張るからさと言ったら、ヤマハの人たちは涙を流して喜んでくれると思う。
スゲェ格好だなとは思いつつも。
それが、クアルタラロがヤマハに対して持っている余裕。
Moto2で悶々としてた頃には一切無かったが、今のクアルタラロにはヤマハに対して大きな余裕を持つ。

そんな余裕が有るクアルタラロだから許されるので有って、就職活動する学生がこの格好でヤマハ発動機株式会社様の就職説明会に行ったらきっと大きな問題と成るだろう。
お祈りすらされないどころか、大学のキャリアサポートの人にちょっとツラ貸せやとシメられるのも必至だ。
就活生にはそんな余裕は無いのだから、そんな無茶を振られても困っちゃうな。

もっとも、このドルガバの上下は35万円くらいするので、ファクトリーライダーや鳩山元首相くらいの余裕が無いと、どっちにしてもこれに袖を通すのは中々に敷居は高いんだけどね。
私にはちょっと敷居が高いわ。

そんな余裕の有る生き方をしているクアルタラロは、今季は開幕以来やたらとぶつけられて苦戦をしてるのだけど、これもサーキットの上ではヤマハのマシンとクアルタラロに余裕が無いからの事。
余裕を持って予選でタイムを出して一列目に入ればリスクは少ないのだけど、予選でのタイムが伸び悩んでる現状ではちょっと難しい。
だから集団に飲み込まれ、結果的にリスクを背負いこむハメに成る。
ヤマハでも戦える余裕を取り戻すなら、プラクティスからの単独でのタイム短縮が必要不可欠と成る。

この余裕が無いって話はホンダも同様、と言うかホンダがその中心とも言える。
ブレーキも加速も旋回も安定性も乗りやすさも、その全てに余裕なんて微塵も無い今のホンダは、無理に無理を重ねないと勝負さえさせて貰えないのが悲しい現実だ。
ライダーの頑張りでどうにか詰めれるのは必然的にブレーキングから一次旋回なので、そこでどうしてもリスクを背負いこんでしまう。
伝統的にただでさえ乗りにくいと言われ続けてるバイクで無理したらどうなるのか?
その結果は、皆様ご存じの通りで。
しかも、単独で逃げ切れる余力なんて無く集団に飲み込まれるので、そんな中で破綻を来した際の被害は余りに大きい。
ちょっとのミスがミサイルに成っちゃう。

ただ、この手の話は際限がない訳で。
仮にホンダとヤマハが来年、唐突にジャパニーズスーパーマジックを魅せて驚異的な進化を遂げたら、今度はドゥカティとアプリリアが無茶する乗り方を強いられてしまう。
二次旋回~加速~ストレートエンドでホンダやヤマハに置いてけぼりにされて勝負に成らない状況に成ったら、紳士バニャイアだってブレーキングや進入のライン取りで無茶をせざるを得ないのだから。
今は余裕のブレーキと余裕の加速が有るから余裕のライディングが出来るので有って、それらの余裕が無くなれば無茶を強いられるのも仕方ない。

もっとも、現在のレギュレーションではドゥカティを直線で軽くブチ抜くってのは現実的じゃ無いんだろうけどね。
電子制御や最高回転やギアレシオを規制して最高速を落とさない限り、今のドゥカティを抜くならムジェロで380km/h近く出さなきゃ成らないのだから。
それはちょっとヤンチャが過ぎるわ。

リンスのように自由自在にラインを変えれる変な乗り方が出来るライダーなら他にも戦う手段は色々ありそうだけど、あれはリンスだから出来る乗り方なので、他のライダーが真似するのはちょっと難しいか。
そのリンスとてホンダのバイクじゃオーバーテイクが出来んすと言ってるんだから、ホンダの余裕の無さはとても深刻なお話な訳だ。
ああ、なんでこんな事に。
なんとか上手い事やって欲しいもんだ。

 

続く

MOTOR CYCLE

Posted by tommy