セロー225のローダウンは言う程簡単では無い

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先日、エンジンを乗せ替えたセローの持ち主がやってきた。
テストライディングを兼ねたプチツーリングの帰りに。
淡路島に行って来たとか。

自称好調エンジンとは言え、嘘か本当か解らないエンジンを乗せ替えていきなり淡路島に行く無謀な行動力は驚くばかりだ。
バカじゃ無いかって多くの人は思うだろうけど、私もその多くの人の中の一人と成るかと思う。
バカじゃ無いか?

幸いにして、謳い文句に偽りは無く、本当に好調だったみたい。
圧縮を計測してもかなり良好な数字だったので良いエンジンを手に入れたとは思ってたけれど、オイル漏れだったりクラッチやミッションの問題が有るかも知れないのだから、いきなり淡路島ってのはなぁ。
まぁ無事に帰って来たから良かったんだけど。
南あわじで止まったから迎えに来いとか言われたら、危うく知らない人の振りする所だったよ。

で、本題。
ローダウン化したいんだって。
また厄介な事をおっしゃる。

セローが動かない間、その人の兄弟の乗るマグナ250が日常の足だったようで、あのべったりと着く足つきに非常に心が惹かれたのだとか。
マグナとセローじゃ比べる対象として大きく違ってる気がするのだけど。

で、マグナよ再びと、セローをローダウン化したい。
との事。
目標下げ幅5cm以上。
出来たら10cm。
そんな無茶な計画。
それはちょっと…..

シートを削るのは嫌らしい。
だからシートはそのままに、車体を下げたいのだとか。

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セロー225のローダウン化の際にネックと成るのがこの部分。
リヤリンケージ。

現行セロー250を含め多くのバイクはこの部分が本官さんっぽい形の鉄板、もしくは三角の鉄板、或いはその両方で繋ぐ構造をしている。
車高調整なんて気の効いた機能のついてないバイクの場合、この鉄板を社外品に、或いは他車からの流用、場合によっては鉄板をカットして自作して車高を調整する。
鉄板替えるだけの簡単仕事。

だが、セロー225の場合はアルミの塊感溢れる手の込んだ部品が使われる。
セロー250とはリンクのデザインが随分違うのだ。
これにより、鉄板の長さを変えて車高を上下させる、と言う事がとても難しいのだ。
お茶の間でコレを作るのはちょっと難しい。

ちなみに、ローダウン化として流用出来る部品は知らない。
逆にリヤを高くする目的として昔に乗ってたセローには、フォークを延長してフロントを上げてDTのリンケージを組んでリヤを上げてた事が有るけど、セローをこれ以上下げれるリンケージは知らない。

したがって取るべき手段はリヤショックの全長を縮める方法が挙げられる。
要するにスプリングの短いショックに交換するって事。
大昔にワイズギアで売られてたセロー225用ローダウンキットも多分コレ。
リヤショックとサイドスタンドがセットで4万円くらいしたような気がする。
今も売ってるのかって?
はは、今更そんな無茶言われたら困っちゃうわ。

短いスプリングに変更するには、切ってしまうのが一番手っとり早い。
昔のヤンキーみたいだけど。
そもそもスプリングをカットなんて正気の沙汰じゃ無いけれども、街乗りを法廷速度で走る分に関してはちょっとくらいスプリングが硬くなろうとストロークが短くなろうと、恐らく大して関係無い話なので適当に切っちゃうのが正解な気がする。
そこらを50km/hで走るだけなら、底突かなきゃバネなら何だってイイんじゃ無いの?
って。
バランスは崩れるけれども、そもそもダートでも舗装道路でも....って曖昧なセッティングのバイクなので、大した事は無いと言えば大した事は無い。
市販トレールバイクは存在そのものがが曖昧なバイクなのだから。

ちなみに、G-Senceではセロー225用オーリンズが出てるが、車高を上げる方向には調整可能だが下げる方向には、どうなんだろう。

スプリングカットと同じく、スプリングをバーナーで熱して無理やり縮めてやるのも、昔のシャコタン少年の間では行われた手法の一つ。
真っ当な頭の構造してたら、スプリングを熱して無理やりかつ適当に縮めるなんて事して良い訳無い事くらい理解出来るだろうが、そんな細かい事は気にしない人たちしか行わないので、特に問題は無い。
そんな事を気にする普通の人はこんな事しないさ。

やり方は簡単。
スプリングコンプレッサーで縮めてバーナーでガンガン炙ってやるだけ。
それだけでスプリングの自由長は短く成るので、結果的に車高を落とす事が出来る。
上記したスプリングカットと同じく、真面目に走る人にお勧め出来ないのは言うまでもないが、私やこのローダウン化したい人のようにそこらを普通に走るだけの人の場合なら、足がツンツンで辛抱する位なら縮めてやった方が良いかも知れない。
ピシっと走りたい場面ならノーマルに戻せばイイのだから。

年に一度のオーバーホール、3年に一度のリヤショック交換をしてる由緒正しい方なら正気じゃない荒業だが、15年前から手付かずのリヤショックを使ってるバイクなので、今更バネを縮めた所であーだこーだと大騒ぎする必要なんか無いとは思う。
どの道、セロー225に限らずリヤショックなんて3年使ったら正直アレなんだから。
新車の頃から正直スマンかったなトリッカーよりはマシと言えばマシだけど。
と言うか、15年使ってたらそもそも何もしなくてもすでにスプリングが縮んでる気がしないでも無い。

だから今更ちょっと位縮めても街中を普通に走る分には大差無いさ。
....多分ね。

別の手としてはホイールのインチダウン。
お手軽なのは、トリッカーの前後ホイールを入れる事。
18インチ→16インチと成るので、その分車高はちょっと下がる。

ただ、ただ、ただ。
ホイールサイズが小さくなったからと、車高が下がると考えるのはちょっと浅はかと言える。

トリッカーの16インチに適合するロード用タイヤは130/90-16。
ブリヂストンのBT-39/45、ダンロップならGT601なんかが適合する。

対してセローの純正リヤホイールに適合するロード用タイヤは120/80-18。
ダンロップのD604やIRCのGP-210辺りがセロー用のロード向けタイヤの定番。

で、肝心の外径はと言うと、ダンロップが公表してる数値で見ると、GT601の130/90-16は641mm、D604の120/80-18は658mm。
その差17mm。
車高に与える影響はその半分と成るので8.5mmの車高ダウンと成る計算だ。
大きな一歩と見るか、金掛けた割りにちょっとも変わらんぜと見るかはアナタ次第だ。

いっそ14インチにしたらTT-900GPなら546mmまで小さく出来るので55mmも車高が落とせる計算になる。
見た目に目を瞑れば、フロントXT250Xの17インチにリヤがDトラ125の14インチが意外と良い組み合わせ、かも知れない。
見た目に目を瞑れば。

見た目はともかく性能に関しては、意外と前後17インチよりも良い可能性が有る。
良く言えばクイック、悪く言えば切れ込み過ぎる17インチモタードのネガを消すなら、やっぱり生まれたままの姿を維持出来る、フロントタイヤがちょい大きい姿勢が良さそうだ。
セローで単に前後17インチにしただけでは、フロントが下がり過ぎてしまうのだから。

現にDトラッカーで街乗りする際はわざわざフロントに18インチを組んでる人も居るし。
サーキットは別として、街乗りやツーリングなら18インチが結構イイ感じなのだとか。

だから生まれたままのトレールバイクの姿勢にちょっとだけ近づけてやるのが良さそうな気がする。
フロントが17インチなら、リヤはそれより小さい方がイイんじゃ無いの?って思う訳だ。
19-14はちょっとやりすぎな気がするが。
21-14?
まぁそこまで弾けたいなら何も言うまいて。

21インチから17インチに替えると、トレール量が減少するのが大きな問題。
クイックなそのハンドリングをヨシとするなら良いのだが、高速の継ぎ目とかで怖い思いした経験のある人ならもうちょっとどうにかしたいと考える、かも知れない。

その点ブロンコは良く考えられてたと思う。
あれって、セローの外装変更だけと思ったらちょっと違うのだ。
実はアウターチューブが違うのだ。

セロー225をフロント17インチ化するならあのアウターチューブに換えるべきだろうと思う。
普通のフォーク、要するにリーディングアクスルの方がトレール量を稼げるので、街乗りモタードならフロントの落ち着くそっちの方がイイんじゃ無いの?って。
フォークオイルを固めにしてストロークを制限してやればなおヨシ。

スペックを紐解くと、トレール量はセロー225の105mmに対してブロンコは134mm。
インチダウンに伴って、フロントが暴れすぎないようにフォークのアウターチューブを変えた結果がこの数値に現れている。
ミニサーキットでWR250Xに本気で無茶な戦いを挑むなら別だけど、普通に街乗りするなら落ち着きのあるブロンコのフォークが良い選択だろうと思う。

ちなみに現行セローと、アクスルはそのままにホイールを替えたXT250Xとを比べると、26°40′/ 105mm(セロー)、24°55′/72mm(XT250X)
キャスター角とトレール量の数値だけでバイクの運動性なんて何も語れないけど、この数値もバイクに取って非常に重要なのは言うまでもない。
ただ、ここはどう捉えるかはお任せしようと思う。
17インチ化でスーパークックなハンドリングを手に入れたと考えるか、ホイール変えただけだからやたらと切れ込むわと考えるかはお任せしようと思う。
好きなように、思いたいように思って頂ければ結構だ。
本当にホイールを変えただけで済ませた初代Dトラよりはまだ他に色々やってる分マシ、と言えなくも無いけれど。

個人的には、折角WR250Xの存在が有るヤマハには、XT250Xにはもっとゆるっとしたセッティングの方が良かったんじゃ無いかとは思う。
重ね重ねキャスターとトレール量だけでうだうだと言えた話では無いのだけど。
そんなに簡単な話ならみんな苦労しないのだから。

もっとも、本気で走る人ならチェーンを引く量によって変わるホイールベースの違いすらも影響を及ぼすだろうが、そこら走る分にはトレール量なんて現実的な範囲内なら大して影響も無いので、どっちでもイイっちゃどっちでもイイんだけどね。
ちょっとのトレール量の違いだけで逆向いて走る訳じゃ無いんだから。
余程イカれたデザインじゃ無い限り、その辺の道路を法廷速度を守ってりゃ前向いて普通に走るので、どうでもイイと言えばどうでも言いと言えなくも無い。
世の中にはとんでもない設定のバイクなんてごろごろ走ってんだから。
曲がり角で立ち往生するようなバイクとか。

あ、セローで高速乗るなよ、なんて言わないで。
高速(明石海峡大橋)越えなきゃ淡路島に行けないのだから。

そんな素晴らしい14インチ化計画だが、残念ながら14インチリムは通常28Hなのでセローのハブには適合しない。
従って、Dトラッカー125のホイールをセローに丸ごと組むと言う作業が必要。

付くのか?
付くのかい?

等とお考えの方も居るかも知れないが、世の中にはモンキーをハブステアにしたりスーパーカブをプロアームにしたりする凄い人は沢山居るので、セローにDトラ125のホイールを入れるなんて容易い話だ。
細い車体に太いホイール入れるのは問題は多々有れど、逆はカラー製作とブレーキとチェーンライン合わせるだけで話は済む。
どうと言う話では無いさ。
足つきを良くする為だけに14インチを履くぜ!と、色んな事を投げ打ってそれだけの為にこだわる気概さえあれば、後の作業自体は割とどうと言う事は。
特にお勧めはしないけど。

話は長く成ったが、セロー225をローダウン化させるのは大きくは2つ。
ショック(スプリング)を短くするか、或いはホイールを小さくするか。
その2つ。

どちらもバイクのバランスが崩れるので良い方法とは言えないけれど、どの道15年間リヤショックを未整備な上、トレールバイクにロード向けタイヤ履いて舗装道路走ってる時点でバランスもへったくれも無いので、その辺はまぁ適当でイイんじゃ無いの?
林道行く時にはちょっと邪魔臭いけどノーマルに戻せば?
どうせ行かないだろうけど。
と言えなくも無い。

と言う訳で、千葉のヤンキーか自動車改造番組に出てくるアメリカ人みたいだけど、リヤショックのスプリングをカットするか火あぶりで縮める方向に傾きそうな気がする。
良い子のみんなにはあまりお勧めしないけれど。
あ、勿論切断するリヤショックは別途入手する事と成るだろう。
流石に1個しか無いリヤショックを切るのは止めた方が良さそうだ。

ご本人は何を選択するかは知らないのだけど、ちなみに私が思う一番ベストな足つき向上計画の手段は....
マグナに乗ればイイんじゃ無いの?
と、凄く根本的な所からの見直しを求めたい。

それが金も手間も何も掛からずベストで有ろうと、結局セローにあーだこーだ手を入れるよりマグナが良いと、そう思う。
少なくともスプリングを切ったり炙ったり、ジャンプの裏表紙に乗ってる通販グッズで足伸ばそうとするよりは、余程真っ当な選択だろうと思うな。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy