お見送りは結構です~後編

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あ、どうもどうも。
ちょっと体調不良で寝込んでた。
自動更新されるからイイかって思ってたら、設定するのを忘れてた。

まぁそんな事もあるさと、特に気にしないでおこうかと思う。
小惑星を食い止めたとか、巨大サメと戦ったとか、異星人に歌を聞かせたとか、そんな気の利いた話しでは無いけれど、適当に前回の続きを。

この猛烈に寒い最中、随分遠くから友人が尋ねて来た。
広い林道を走るには最高だが、高速道路乗るには苦痛以外の何者でも無いME08と言うスパルタンなバイクに乗って。
みかん一杯積んで。

そもそもの目的は、相変わらず私の周囲の人たちの間を転々としてるR33GT-Rを買うかどうか考えるため。
一体、私の周囲の何人の手に渡ったか解らない程にオーナーの変わってるR33。
広島だったか岡山だったかの私の知らない人の手に渡り、ついに33とも今生の別れと思ってたら今はまたもや関西へと舞い戻って来てるらしい。
何が気に入らないんだ?
R33の一体何が気に入らないんだ?
あれほどのパフォーマンスの車、一体何が気に入らないんだ?
まぁ、私も要るか要らんかと聞かれたら、ちょっとアレだわと答えざるを得ないのだけど。

で、それを買うかどうしようかと、その相談、と言うか商談の為にやって来たついでに、ちょいと足を伸ばして我が家へと来てくれたのだ。
みかん一杯積んで。

その商談相手の現オーナーは知らない人なので別に私がしゃしゃり出る気は無いのだけど、折角来てくれたのだから出発のお見送りくらいしよう。
と、玄関に明かりをつけてお見送りした。
もう夜と言って差し支え無い、夕方を大きく回った薄暗く、そしてとても寒い最中に。
北風がピュッピュ吹いてる最中に。

掛からないの。
もうね、本当にこのバイクはエンジン掛からない。

そもそもME08、要するにこのXRは始動性抜群!とは言いがたいのが正直な所。
キックしか無いし、元々レーサーだし。
気象条件とエンジンコンディションが良く、ピストン上死点を正しく出して正しくキックしてやればそう苦労する事も無いのだろうが、非常に寒い最中にお世辞にも整備が行き届いてるとは言いがたい、只でさえザンザラ言ってるプラグも何時替えたか解らない整備不良ME08を適当にキックしたら本当に掛からない。
正しく整備してたらそう苦労する事も無いと思うのだけど。

これで山の中を走ってるんだから、きっと凄く大らかな人なんだろうと思うな。
私ならこれで山奥に分け入るのは不安で仕方無い。
山奥でエンジン掛らなくなったら一大事だ。
虫食べながら助け待つのなんてご免だ。
割と本気で心配してしまう。
ちょっとは整備しようよと。

もっとも、思い返せばこの人って、本当にバイクのコンディションには無頓着な人。
ME06に乗ってた頃から、最低限しか気に留めないタイプ。
エンジン掛らないのは最低限を下回ってる気がしないでも無いのだけど、乗ってるバイクが調子悪いの今更な事だったりもする。
ん、毎度の事だ。
この人のバイクが整備不良で調子悪いのって。

ちなみにこちらがME06

s_Honda XR250R 94

こっちがME08

s_XR250RT

どっちもエンデューロレーサーのXRだけど実は随分と違ってる。
チビッコバイク博士で無くても違いは解ってくれるだろう。
解る...解るよね。
ん、意外と随分違うもんなんだよ。

具体的には
・フレームの見た目が違う(ME08はオイルタンクも兼ねた角パイプと成る)
・クランクケースが違う(ME08はウェットサンプ化され、車体の強化メンバーとしてピポッドを受ける構造へと変更される)
・他いっぱい(色々有りすぎて面倒に成った)

と言う具合に色々と違うので、基本的に互換は殆ど無かったりする。
ただ言えるのは、やっぱどっちも良いバイクだって事。
セルの着いてるMDだって、良いバイクに違いは無い。
だから切に願う。
ちょっとは整備してやってくださいよと。

特にホンダフアンでは無い私でもXRの名前が消えたのは残念で成らない、と思う。
またこの伝統と格式のXRの名が何時の日か復活する日が来る事を祈りたいけれど、フルサイズのトレールバイクが2機種併売される事は無いので、XRの復活が有るとすればCRFの消滅か生産終了がアナウンスされた223cc枠での復活しか道は無い。
CRF250Lと、同じフルサイズのXR250の併売なんて有り得ない。

でも棲み分けはアリなので、フルサイズのCRF250Lに対してライトクラスのXR230(MD36)後継機の二本立てはとても正しい選択だと言える。
でもXR250(MD30)有ってこそのXR230(MD36)と考える人に取っては、ちょっと複雑な思いを抱くかも知れない。
どの道水冷に成るので、どの道ディグリーと呼ばれる運命は避け様も無いのだけれども。

それはともかく、この整備不良のME08は掛らない。
掛かりそう。
でも掛からない。

ツンとデレとを巧みに使い分け、オーナーを翻弄するME08。
必死に成って、キックしても掛らない。
必死に成る程掛らない。
焦れば焦るほどに掛らない。

ジャンプケーブル持って来てあげようか?

と、セルモーターの付いてないバイクのオーナーにそんな嫌がらせをしてみたくなる、そんなM男へのご褒美を忘れたりしない私も意外と律儀な人間だなと、一向に掛る気配の無いME08の横で半笑いしながら寒空の下眺めながら、しみじみ思う。

そして。
R33買う前にME08を整備しようよ、と普通に思う。
折角、歴史に輝く名車の中の名車に乗ってるのだからと。

でもこのME08のオーナーはきっと心の底から思ってるだろう。
お見送りは結構です。
と。

と言う訳で、特に入院したりもしないので、明日からも適当にお付き合い頂ければと。
ではまた。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy