アキュラメロン、お前の負けだ、と誰かが言ったから

人は誰しも、不必要に格好をつけたがる年頃って奴が必ず訪れる。
傍目からは全然格好ついてないのに、本人は格好つけてると思い込んでる、痛々しい時期ってのは必ず通過する。

 

超甘ったるい缶コーヒーしか飲めないのに、あえてブラックで飲んでみたり。
本当はアルマゲドン見たかったのに、ミニシアターで良く解らない東ヨーロッパの辛気臭い映画を見てみたり。
何言ってんだか一切解らない北欧の音楽を聞いてみたり。

人は誰しも、不必要に格好を着けたがる年頃って奴は必ず訪れる。
往々にして、何やってんだこいつ?と奇異の目で見られてるだけだったりするのだが。
だがそれを滑稽と切り捨てるのは早計だろう。
先ずは自分の行いを省みたい。
そう言う自分はどうだったのか?
と。

実は私も、そんな道を通って来た人の一人。
通過儀礼を済ませた身。
まだ20代前半の、そんなお年頃真っ盛りな時代の事。
あんまり年食ってから罹患すると厄介だけど、まぁ20代前半なら一般的なので実害もそれほど無いと思う。

私の症状はエビアン。
エビアンを飲んでる私って格好イイなぁと、訳解らない事を思ってた、ちょっと困った症状。
何時でも、どんな時でも、常にエビアン。
寝起きもエビアン、ランチにエビアン、ディナーにエビアン、寝る前にエビアン。
何ならカキ氷にさえもエビアンをかけてしまいそうなレベルで。
来る日も来る日もエビアンエビアンエビアンアン。

 

何時しか急に正気を取り戻して事態は無事に終息したのだけど、人には誰しもそんな訳の解らない事やってた時期ってのが有るモノだよ。
大なり小なり。

以前、ホンダのフィットにコレを着けてた人が居た。

アキュラ(Acura)
主に北米で展開されるホンダのブランド。
アメリカでも中国でも、ホンダはホンダとして車を売ってるが、アキュラは高級車路線のブランドとして展開している。

ちなみにAcuraとはAccuracy(正確さ)を基に作られた造語。
別に社長の名前がアキラだった、なんて事は無い。

 

逆に置くと長安汽車に成っちゃうので注意しよう。
エンブレムの上下は、AcuraのAだとちゃんと覚えておこう。

 

そんなアキュラのエンブレムをわざわざ買ってきて愛車のFitに付けてた人が居た。
あれって1個が6000円くらいするんだけどね。
しかも取り付けても運転してたら全く見えないのに。
ご苦労なこったなぁと思うかも知れないけれど、実はこれも私は過去に通過してたりするのでとやかく言えた義理は無かったりする。
あん、そうなんだ、またやってたんだな、私も。
ただのローバーミニ・メイフェアに、Austin Mini Cooperと貼ってたのでとやかく言えたもんじゃ無かったりする。

2代目のミニは紛う事無く最終型のキャブクーパーだったが、最初に買ったミニは1000ccのメイフェア。
まぁ、何が違うのかと聞かれても困ってしまうんだけどね。
目につく箇所は、マニホールドがIN-EX共用だったメイフェアから、IN-EXマニホールドが別に分かれたって事くらいかな。
それ以外は....何だろう。
まぁイイじゃん。

あ、ミニに載ってたA型と呼ばれるエンジンは、シリンダーヘッドの片方に四角い排気ポート3つと丸い吸気ポートが2つ並んだデザイン。
バイクじゃまず見かけないけれど、吸気と排気が片方に並んでるのって車のエンジンではそれほど珍しくも無い。
だから吸排気マニホールドは一体で鋳造されてたのだ。

そんなので良いの?
って思うだろうけど、当たり前だけど良い訳は無い。
排気の熱で吸気がガンガン熱せられるので良い訳は無い。
だからエキパイと吸気マニホールドを分割するのが一般的なんだよ。
それが最初から分割されたクーパーは画期的なんだよ。
買ったその日にスプリットウェーバーとフルエキに交換した私はとても罰当たりだと自分でも思う。

ちなみにCooperはpが1つなのでスペル間違いに注意しよう。
GooseはOが2つだけどCooperはpが1つだ。

 

それはさておき、下手すると車の値段より高いんじゃないかってアキュラの高級エンブレムをつけた彼を、アキュラマンと称えられていたのはもう随分と前の事。
最近は隣の県に隣っ越した事も有り、以前に比べて顔を会わす機会も減ったのだが、話によると生活環境の変化と共に今はもうちょい大き目のミニバンに乗ってるとか。
バイクでは極たまに顔を会わすが、車は知らないんだけどね。
国産のミニバンだって事以外は。

 

そう言えば、彼は今は何の車に乗ってんだろう?
ヴォクシーかな?
ヴォクシーじゃ無いよね。
まさかヴォクシーには乗ってないよね。

と、前を行く『L』のマークのエンブレムが付いた隣の県のナンバーが付いたヴォクシーの後ろに並んだ私は、まさかコレは違うよねとただただ祈るのだった。
いや、流石にエンブレムチューンの年頃は過ぎてるだろうと、流石にもう完治してるだろうと、ただただ思いたい。

そんな気分で静かにLのマークが輝くヴォクシーの後ろ姿を見送る私だった。
何となく気には成るけど、でも何となく確かめるのはなんかアレなので確認するのは諦めておく。
なんかアレなのでアキュラめておくわ。

 

CAR

Posted by tommy