翳した掛矢に翻弄される(壱)
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掛矢
木製の大きなハンマー。
鉄のハンマーよりもこっちの方がマリオ感が出そうなのにと、ハンマー振り翳してた頃のHHHを見て良く思ったもんだ。
まぁ古い話だけど。
あ、ちなみに初代ドンキーコングは、ハンマーを振り回してたマリオがプレイヤーでドンキーコングが悪ゴリラだったんだよ。
まぁさらに古い話だけども。
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で、この掛矢。
私が始めて使ったのは中学生くらいの事。
14歳やそこらの女子中学生としてはかなり早熟だと自分でも思ってる。
中々掛矢は使わないよね。
ソックタッチやBan16なら普通に使うだろうけど、掛矢は中々に。
我ながら中々のおませさんだ。
当時モトクロッサーで遊んでた広場が有った。
元は建設重機の駐機場だったのだけど、重機を整理して余った土地でモトクロッサーで遊ばせて貰ってた。
と言っても、250ccで本気でジャンプしたら柵を飛び越えて家の玄関に突っ込んでしまうような広さなので、コーナーが幾つかと小さなジャンプが精々なんだけどね。
流石にモーターランチみたいには行かない。
そりゃそうだ。
でも免許取る前、自分でモトクロスコースにはいけない身分のガキっちょにはとても有りがたい環境。
有りがたい事だと思う。
近所迷惑だったろうけど、その騒音出してる土地の所有者本人の家くらいしか無かったのでまぁイイやって思ってる。
で、ある日、調子乗った人が柵に突っ込んで壊してしまったので修理する事に成ったのだ。
その時に使ったのがこの掛矢。
杭を打ち込む大きな木のハンマー。
人には分相応、分不相応ってのが有る。
その後、調子乗ってYZ250なんて言う2スト250ccモトクロッサーに乗ってあの世がチラ見えすると言う経験をしてしまう私だが、この時も思った。
人には分相応、分不相応ってのが有るもんだと思った。
ハンマーを振り翳してるつもりがハンマーに翻弄されてる自分自身を省みて、そんな事を。
柵を直してんだか壊してんだか解らない自分自身を省みて、そんな事を。
14歳の夏の事。
私には余りにも重すぎた14歳の夏の掛矢。
トンカチごときに翻弄された中2の夏の事。
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それから時が経て、兵庫県の真ん中辺りに大きな土地を持ってる人に知り合った。
知り合った、と言うかその人自体は随分前から知ってる人だったんだけど。
まぁ細かい話はさておき。
これまたデリケートな話なので細かい事は書かないが、大きな土地を手に入れたけど、諸般の事情により当面動かせないから何か遊ぼうぜ、と言う訳で作ったモタードコース。
ただの空き地に線引いたりコーンを置いただけなんだけど。
それでも完全にクローズド出来て自由に使える舗装された大きな土地は貴重な存在だ。
私のモトクロスと言えば重機置き場だったように、私のモタードと言えばこの空き地。
まぁどちらもこじんまりとしてるけど、こじんまりとした生き方してる人間なので気にしないさ。
不特定多数の者が自由に通行できる所は私有地で有ろうとも道路と見なされる。
つまり、単にココはオレの土地だよと言った所で、ゲートも無しにフルオープンしてちゃ道路な訳だ。
空き地しかり駐車場しかり。
自分の土地でスピード違反したからと切符切られるかどうかまでは解らないけれど、流石にモトクロッサーを走らせてたら何かと問題が起きかねない。
痛くも無い腹を探られるのもアレなので、そう成らないように柵しとけって事だね。
と言う訳で、再び柵を作るのに活躍したのが掛矢。
だが過去の苦い思い出を繰り返さないように私は見てただけ。
もう掛矢に振り回される過ちは犯さない。
右も左も、自分自身さえ見えてなかったあの頃とは違うのだから。
大人に成り掛矢を振り回さずに人を振り回す事を覚えた私は、もうトンカチごときに翻弄される事など無い。
つづく