三輪噺

まだ私がハヤブサに乗ってた頃の事。

その日私は、六甲山をテレテレと走っていた。
教習所第一段階くらいのスピードで、ハヤブサでテレテレと六甲山を登っていた。
6速でフルスロットルくれてやれば300km/hに到達すると言われるモンスターに跨り、平地の自転車くらいの速度で六甲山を登っていた。
流石に六甲を登る自転車よりは速いけれども。

そんな、逆にバランス崩して転びそうなゆっくり速度で走ってたのは幾つかの理由がある。
個人的な技術的問題理由がまず第一。
ハヤブサでNSR50みたいな開けっぷりなんて出来ないから。
そりゃゆっくり走るさ。
私が六甲でハヤブサをワイドオープンなんてしてやれば、イノシシ一家と添い寝するハメに成ってしまうからね。

そしてもう一点は、有る意味決定的とも言える理由が、目の前にパトカーが走ってたから。
つまり、パトカーさんの真後ろを走ってたから、って事だ。
これから何時もの場所で何時ものように取り締まりに向かおうとしてるパトカーが目の前を走ってたからだ。

ここをご覧の皆様は知らないかも知れないけれど、実は私は日々とても真面目に暮らしている。
それはそれは、日本昔話に出て来る真面目キャラのように、静かに慎ましく真面目に暮らしている。
宝箱は迷わず小さい方、もしくは謹んでご遠慮申し上げるタイプ。
実はそんな生き方してる。

もう長い間バイクはドノーマルだし、幹線道路での車の流れに乗った程度の速度超過以外の違反はしてないので勿論切符も切られて無い。
その他、後ろに手が回る事は勿論、道端にゴミを捨てたり、ピンポンダッシュしたり、パチンコに負けた腹いせにそこらの看板蹴っ飛ばしたり、泥酔して郵便ポストの上でランバダ躍ったりもしてない。
ってか酒も飲まなきゃギャンブルもしない。
そう、実はとても真面目に暮らしてるんだよ。

そんな、違法アップロードされたエロビデオを見る事すら無い、極めて真面目に生きてきた、そして今を静かに生きる私だけども、概ね10年に一度くらいはリミッターを解除したく成る事が有る。
ボロボロのダッジ・チャージャーのサイレンサーを投げ捨てて、御堂筋を直管Vサウンド&轟音クラクションを鳴らしながら逆走したく成る、そんな荒ぶったソウルがコンニチワする事は、概ね10年に一度程度は有ったりする。
これでもか!と他人に迷惑掛けまくりたい、そんな衝動が起こる事が有る。
きっと何か、時限タイマー的なモノが有るんだろうと思うな。
私のハートに荒ぶるスイッチが入る、そんな漆黒の時限タイマーが。

幸いにして、気持ちは荒ぶれど行動には移してないので特に実害は起こってない。
アメ車なんて持ってないし、今のところ看板を蹴っ飛ばした事すら無い。
だから実行には移してないので実害は無い。
犯罪係数は爆上げしてるだろうけど、だからとそれで裁かれる世の中で無いので全然大丈夫だ。
今のところは。

良かった良かった。
世が世なら、北斗神拳受けた人みたいに爆散してる所かも知れないけれど、そんな世の中じゃないので良かった良かった。

コンクリート塀の隙間に潜むマルムシのように、人畜無害にじっと生きてる私だが、時に荒ぶる気持ちが芽生えない事も無い。
行動に移すかどうかは別として、そんな気持ちが芽生えない事も無い。

だが、流石に六甲山でイエローラインを割ってパトカーをぶち抜く程に荒ぶったりはしない。
そこまで自暴自棄な人間では無いよ。

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そんな自動磁気な人間では無い。

荒ぶる素振りなんて微塵も見せず、六甲山頂の何時もの場所に漁をしに行くで有ろうパトカーさんの後ろを慎ましくテレテレ走ってると、後方からバイクの大きな音が近づいて来るのに気付いた。
フルフェイス被って前を走る人間に聞こえるんだから余程の音だ。
カミナリ族だね、カミナリ族。

ミラーでチラリと見ると、後方にはその音の主で有る一台のバイクの姿。
大型ツアラー。
でも何やら挙動不審。
何やってんだろう?
パトカーの後ろの後ろでこの人はガチャガチャと何やってんだ?

ミラーには、時速40km/h程なのに、やたらとオーバーリアクションな人の乗るバイクの姿。
まるでマルケスのように、やたらめったらアグレッシブなリーンを決めるライダーの姿。
まるでマルケスの親父のように、やたらめったらオーバーリアクションなライダーの姿。
時速40km/hで何やってんだ??

Lehman Trikes USA Trike Riding Safety Video

と思ったらコレ。
バイクじゃ無くてトライクだった。
ああ、なるほど。
そりゃガチャガチャした乗り方するのも仕方ない。

トライクは基本的にハンドル切って曲がる乗り物。
通常、バンクしないので車体を傾けて曲がる事は出来ない。
あくまで通常はね、の話。

バンクも出来る、KSG トライク "The Future" ザ・フューチャー PV (クライスジーク)

時に例外は有るもんだ。

基本的にハンドルを切って曲がる乗り物なのだけど、ただ単にハンドル切るだけではアールのキツいコーナーではアウト側にひっくり返ってしまう。
だからある程度の速度の場合、もしくはキツいコーナーの場合はマルケスのようにイン側に体をリーンさせる必要が有る。
だからマルケスの親父のようにオーバーリアクションに成るのも仕方ない。
これで六甲走ったらしんどいだろうなって思うな。

トライクって乗るのが滅法難しい乗り物だ。
以前、ちょっとした機会が有ってトライクに乗った事は有るんだけど、あれは私には無理だと悟ったもんだよ。
通常のバイクと同じように跨った状態で、通常のバイクと同じようにバーハンドルを握って、通常のバイクと同じようなポジションと景色で、でもその上でそのハンドルをグイって切って曲がるって感覚にはどうにも慣れなかった。
ATVなんかと同様、あの乗り物も慣れる気がしなかった。
これに慣れたら逆に普通にバイク乗るのがとても怖そうだとも思った。
ありゃ無理だ。
謹んでご遠慮申し上げておくわ。

それ以来、トライクにも、トライク乗ってる人にも特に関わる事無く過ごしてるのだけど、ちょい前にご近所で立ち話してる際にこんな事を聞いた。
その立ち話してたご近所さん、の旦那さんがトライクってのを買おうとしてるんだと。
そんな事。

その旦那さんとは特に面識無いのでどんな人か良く知らないんだけど、何か急に何処かのスイッチが入ったらしく、トライクを買っちゃるけん!って言い出したとか。
ワシはトライクに乗っちゃるけん!って言い出したんだとか。
そんな言い方かどうかは知らないけれど。
面識無いし。

何だって急に?
って思うけれど、人には何かの拍子に何かのスイッチが入る事も有るもんだよ。
ジョギングだったり、登山だったり、合唱団だったり、アイドルの追っかけだったり。
どのスイッチが入るか解らないけれど、人は突然に何かしたのスイッチが入るもんだ。
この旦那さんはたまたまそれがトライクだっただけで。

原付は乗った事有るけれど、それ以外のバイクには乗った事無いらしい。
もちろん二輪免許は持ってない。
普通免許はMTだそうで。
したがって、法律上は堂々とトライクに乗れる。
資金と、置き場と、家族と周囲の反応次第で堂々と乗れる。

私は生涯遠慮させて頂く乗り物であり、構造上あれはどうなんだろうねって思う乗り物なのだけど、バイク未経験の人には逆にスムーズに乗れるのかも知れない。
バンクさせて曲がるって感覚の無い人の方が逆に馴染み易いのかも。
私は遠慮しとくけど。

特に交流の無い人なので、頑張れとも止めとけとも言える立場では無いのだけど、仮に乗ったとしても静かにしてて欲しいなと、自己顕示は余りに独特過ぎるトライクの見た目だけで満足してて欲しいなと、ただただ思うのはそれだけ。
タイヤが2つだろうと3つだろうと構わないから静かにしててくれと。
例え、10年に一度ハヤブサにAKRAPOVICレーシングラインを組んで40km/h制限の国道43号線でフルスロットルくれてやりたくなる、漆黒の時限タイマーによりそんな犯罪係数が跳ね上がる私としてもだ。

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