己の業を知った、彼と私のエピソード

2020年6月30日

友人の一人に、かなりの規模のクラッシュを起こした人が居る。
事故では無く、わざわざクラッシュと横文字使ってみたのは、何処かのベンチャー企業の社長に影響された訳では無く、それがサーキットだったから。
サーキットで事故って表現もね。
単独でグラベルに突っ込んだのを事故って表現するのはちょっと。

乗ってたのはシビックだったか何かだったか、ともかく小さくて結構速くてすっごい安い車。
バイクでは無く四輪車。
当時、車検って何ですか？な爆音が轟く存在感抜群なニンジャに乗ってた彼は、車でもサーキットを走る人だった。
それでサーキットを走ってる際、かなりド派手なクラッシュを起こしたのだ。
サーキットの帰りに、そのまま解体屋へ直行しそうなレベルの。

ヘルメット被って、6点式シートベルト締めて、車はケージで補強されてても、クラッシュを起こすと体は無事では済まない。
人間はそこまで頑丈には出来てないのだから。

彼の場合もまた同じく、ちょっとしたダメージを負ってしまった。
それはむち打ち。
交通事故でも良く起こる、頚椎の捻挫。

HANS社製新 HANS3 / ハンス3 ハンスデバイス 20° Mサイズ FIA8858-2010適合

新品価格
￥50,000から
(2020/6/27 06:55時点)

このHANSと呼ばれる、首の動きを制限するデバイスを装備しておけばマシだったのだろうけど、残念ながらそんなの着けてなかったので、ダメージはモロに首に負う事に。
ヘルメットの重量までも加えられた重い頭の運動エネルギーが首にのしかかる事に。
HANSさえ付けておけば。

もっとも、これを付けるには対応するヘルメットの他に、HANS対応のバケットシートとシートベルトも必要なので、これから買い揃える人は最初からHANS対応品を買っておくのが吉だと思う。
レースは出なくてもサーキット走るならHANSを装備しておいて損は無い。

むち打ちは、頚椎＝要するに首の骨に負ったダメージなのだけど、事は首が痛いってだけには留まらない。
めまいや吐き気、手の痺れなんかを伴う場合も有る。
彼の場合は頭痛。
それもかなり強烈な頭痛に悩まされる事に成った。
クラッシュの半月後くらいから数ヶ月に渡って。

自律神経障害型と呼ばれ、長い場合は事故後の半年くらい経ってから発症する人も居るとか。
北斗神拳や空手バカ一代みたいだけど、実際に起こり得る厄介な症状だ。
半年後に発症って困った話だ。

彼の場合は数週間後に自覚症状が現れ、1ヵ月後くらいが頭痛のピークだったらしい。
頭痛は外から見てても何も解らないんだけど、本人が言うには頭が猛烈に痛いらしい。
秘孔突かれた人みたいに頭がボコボコしたら解り易いんだけどね。
横で頭がボコボコされたらちょっとドキドキしてしまうけど。

そんな彼の悩みはバイク。
自分のバイクでは無く、家の前を走るバイクの音。

ってのも、当時はよりによって幹線道路沿いに住んでたので、朝から晩まで原付からトラックまで家の前を容赦なくバンバン走ってたのだ。
そりゃ幹線道路沿いに住んでるんだから仕方無い。
わざわざそんな所に住んでるんだから。
通るなってのが無理な話だよ。

じっとしてても割れそうな位に頭が痛い中、バイクのエキゾーストは本当に堪える。
いわゆるマニ割りなんて呼ばれる、強烈なバタバタ音出してるトラックよりはまだ随分マシなんだけど。

あ、そうそう、改造トラックの排気音で、ぴゅるぴゅるぴゅる～って音出てるアレって、わざと鳴らしてるそうで。
私はてっきり適当に変なマフラー組んだから変な音鳴ってるのかと思ってたのだけど、まさかわざとぴゅるぴゅる鳴るパイプを突っ込んでぴゅるぴゅる鳴らしてるとは。
世の中には色んな趣向をお持ちの人が居るもんだね。
地球から出てってくれないかなと思う。

ともかく、強烈な頭痛に悩まされた彼は、夜も殆ど寝れない日々が続いたのだ。
家の前を走るプリウスのタイヤノイズですら頭に響く重症。
直管のVツインなんてプランターをブン投げたく成る気持ちに成ってしまう。

己の業を知る。

自分の悪しき行いなんてのは、無自覚な場合も多い。
一時停止を無視したり、火の着いたタバコをそこらに捨てたり。
でも、何かのキッカケでその自らの悪しき行いを自覚する事が有る。
出会い頭で交通事故起こしたり、ポイ捨てされたタバコで火事なんて起こされた日には、嫌が応にも強烈に自覚させられる。

家を燃やす前にそれくらい解れよ、ってお思いだろうけど、それが解ってたら道端に煙出たタバコが落ちてたりはしないもんだよ。
出会い頭で事故起こす人も居ないし、路上駐車する人も居ない。
そして、わざわざマフラー交換してバーバーベーベー言わせる人も居ないのだから。

でも、何かをキッカケに、己の業を自覚する。
このままじゃダメだよ僕はと自覚する。

と言う訳で、彼のニンジャはそれ以来バーバーベーベー大騒ぎするマフラーを捨て去り、それ程バーバー言わないJMCAへと変更される事に成った。
己の業を自覚した、と言うよりも、自分のバイクの音にさえ頭痛が耐え切れなくなっただけなんだけど。
いっそノーマルに戻そうよ、とか思ったりもするのだけど、イタリア製のマグホイールにスウェーデン製の金色のフォークと言う、光り輝く超豪華盆栽仕様のニンジャに、ナマズみたいな真っ黒けのノーマルマフラー組めよ言うのは流石にちょっと酷な話だ。

先日、随分と久しぶりに神戸の中華街へと行って来た。
目当てはこれ。
やっぱり餃子ですわ。