選択

日々を普通に生きていると、そうそう大した選択なんて求められやしない。

ショッピングにはダイソーに行くかセリアに行くか?
今夜のディナーは松屋に行くかすき家に行くか?
今夜の夜食はFANZAに行くかMGSで行くか?
その程度だろうと思う。
大体はその程度。
まぁまぁ大体は。

だが、バイクに乗っていると、その瞬間、その刹那が選択の連続と成る。
時に命をも左右する、大きな大きな選択を求められる。

 

走行ラインは左寄りか真ん中か?
走行車線は左か右か?
青から黄色に変わる瞬間の信号は止まるか行っちゃうか?
ここでガソリンを入れておくか、それともあの山を越えてからで構わないか?

サーキットでの極限走行だけで無く、そこらの道端を適当に走るだけでも、運命を大きく分ける選択は波のようにやってくる。
それ以前、そもそもバイクを買う時点からその後の明暗を大きく分ける選択が求められる。
経済性と扱いやすさが第一条件の通勤バイクにスーパーデュークを買ったり、ハイウェイツーリング用途にSDR200を買ったりと、そんな一風変わった選択を取ってしまうとその後は何かと苦労が絶えない事と成るだろう。
もっとも、誰に取ってもベストな選択が必ずしもあなたに取ってのベストな選択だとは言い切れない。
狭くて走りにくい遠回りのルートには意外な絶景が現れたり、人知れない辺ぴな所で素晴らしい蕎麦屋と巡り合えたりとか。
そんな新たな発見も時に有るので、必ずしもベストな選択が、王道な選択が絶対の正解で有るとは限らない。
通勤バイクにスーパーデュークだって構わない。
鍋の具にサバを選んだって構いやしない。
赤いスーツで面接に行っても構いやしない。
ジオング相手にガンタンクで出撃したって構わないさ。
必ずしもベストな選択が絶対の正解で有るとは限らないのだから。
それでもやっぱりハイウエイツーリングにSDRはあんまりお勧めしないけどさ。

 

 

制限速度は50km/hやでと、道路上に掲げられた道路標識はそう訴えかける、とある幹線道路。
この日私はR1と言う超絶凄いぜなバイクに乗り、特に用事もないのに街中をウロウロとしていた。

YZF-R1。
高速域での運動性能では世界の5本の指に入るかな、って、ともかく物凄いバイク。
とは言えバイクって乗り物は、誰でもハンドル切ったら曲がるような乗り物では無い。
そして、まだ自立走行なんて全然確立していない現代。
良くも悪くもバイクは乗り手、つまりライダーの技量によって運動性能の上限値は決められる。
ある人が鼻歌混じりに鈴鹿の130Rを230km/hで突っ込みながらフルブレーキングして、150km/hで曲がりつつ200km/hで脱出できたとしても、だからとそれが誰にでも出来る訳では無い。
ある人に取っては鼻歌混じりのどうって事の無い事で有っても、それが万人に取っても同じで有るとは限らない。
上には上が居て、下には下が居る。
何の世界においても同じ事で、バイクの場合もその幅はとても広い。

制限速度50km/hは、スポーツバイクに乗り慣れた人に取っては大した速度では無いだろう。
原付スクーターではほぼコントロールは出来ない速度だろうけども、スーパースポーツに乗り慣れた人が乗るR1なら特に問題には成らない。
急に道端からイタチが飛び出したとしても、ブラインドコーナーでバナナが散乱してても、急にヨネスケが突撃してきても、50km/hならまぁまぁどうにか成る程度の速度だ。

制限速度ってのは、あれはあれで意外と上手く出来てるもんだと思う。
確かに原付(一種)の制限速度は30km/hってのは余りに遅いのは確かだけど、速度が上がると体へのダメージは急激に上がるので、特別の教習やテストを受けてない人がナメた格好でナメた乗り方してて転倒しても死に難い速度と考えられてる訳だ。
だからあれはあれでちゃんと意味は有るんだよ。
誰しもが教習所で最低限の訓練を積んで試験をパスして、誰しもが十分な装備と心構えで乗るなら制限速度を上げる事も不可能では無いかも知れないけれど、バイクをナメた人間がナメた格好でナメた乗り方をしてる現状においては、やはり30km/h制限を撤廃するのは難しいかも知れない。

その辺のAbbreviated Injury Scaleって話は、こっちに書いてるのでどうぞ。

『COST 327 Motorcycle Safety Helmets』をさらっと読んでみる

要するに、道路事情は良く成ってラッタッターの頃よりも遥かにバイクやタイヤや安全装備が進化したとしても、人間の体は別に耐衝撃性能は進化してないので30km/h制限ってのは撤廃するのが中々難しいんだよ、って話だ。

 

 

で、話は戻ってとある幹線道路。
この日私は、R1と言う超絶凄いぜなバイクに乗り、特に用事もないのに街中をウロウロとしていた。

制限速度50km/h。

私は別に鈴鹿を8秒台で走れるちょー凄い子では無いのだが、それでもガキンチョの頃からモトクロスに乗り、19歳の頃からリッタースポーツに乗ってたので、別にその程度の速度でピーピー叫んだりはしない。
ぶっちゃけ、どうって事の無い速度だ。
それはここをご覧の多くの方も同様だろうとは思う。

だがしかし。
だからと言って、パッコパッコとスロットルを開けるかと言えばそうでは無い。
取り締まりも有るし、周囲の車が急に挙動不審な動きをするかも知れない。
そうそうバナナは散乱してないにしても何が起こるかは解らないので、幾らとんでもない速度が出るバイクに乗ってても普通はそんなにスピードは出さない。
それはきっとここをご覧の皆様も同じだろうと思う。
フルスロットルが義務化されてるかのような朝のアドレス125を除いて、通常はそんな愚かな選択はしないだろう。
勿論私もそんな中の一人。
その気に成れば250km/h程度なら鼻歌混じりに軽く出せるとしても、アイドリングのちょい上くらいの回転で走るのが常だ。
それが当然の選択。

だがこの日、私は大きな選択に迫られていた。
50km/h+αの周囲と同調した速度で普通に走るか?
或いはR1の性能を如何なく発揮して自分のライディングテクニックの限界までスロットルを開けるか。
白バイなんてバックミラーのハナクソにしてやるぜな心意気でフルスロットルをくれてやるか?
私は大きな二つの選択を求められていた。
時間は掛かるが交通事故と交通違反を回避して安全運転に徹するか?
或いは、全てのリスクを背負いこんでも最短時間で目的地へと直行するか?
私は大きな二つの選択を求められていたのだ。

ちょーウNコしたい!

恐らくは多くの人は知らないだろうけど、私がまだ花も恥じらう女学生だった頃、割と便秘気味だったのだ。
多分皆様はそんな事は知らないだろうし、一部のハードコア層を除いて特にそんな事を知りたくも無いだろうけど。

水を一杯飲んだり、お粥や繊維質の漬物を食べたりと、あれこれ悩んだ結果、私は一つの光明を得たのだ。
それは、ウンチングポジションにより、排便効率が大きく違うって事を、ある日の朝のトイレの中で掴んだのだ。
右手でトイレットペーパーを掴みながら、確かな光を左手で掴んだのだ。
ガンダムのオープニングのアムロ君のように。

前傾姿勢。
Forward Leaning Unching Posture
その頭文字を取ってFLUP=フラップと呼ばれ...たりは特にしないが、ともかく前傾したらウNコがプリプリ出てくれる事を発見したのだ。
ある朝のトイレの中で。
余りの嬉しさに、尻にペーパーを挟んだままランバダを踊りたく成ったよ。

そんな大発見をした私は、その後トイレの中ではスキージャンプする人みたいな体勢が常に成った。
お陰で健やかなるプリプリライフを送る事が出来たのだが、だがこの世界には陽が有れば陰が有るように、全てにおいて負の面が存在する。
ワクチン然り、重病の治療方法然り、そしてウNコ時のポジションもまた然り。
そう、前傾姿勢でウNコする事に慣れたら、前傾姿勢のポジションのバイクに乗ったらウNコしたく成ってしまう、って恐ろしいしっぺ返しを食らってしまうのだ。

この恐ろしいしっぺ返しを始めて思い知ったのは、私がまだ京都に住んでてCBR250Rに乗ってたピッチピチだった頃の事。
有る風の強い日、琵琶湖のあっち側の直線道路をカウルに伏せて走ってる時に初めての悲劇に見舞われた。
やばい、ちょーウNコ行きたい!!
と。
それは突然に、あまりに唐突に。

琵琶湖のコッチ側ならまだしも、琵琶湖のあっち側って何も無いんだ。
あっち側に住んでる人には申し訳ないけど本当に何も無い。
だが、何も無い、と言っても火星くらいに本当に何も無いんだらウNコなんてその辺でしてやるんだけど、流石に何も無いレベルはそこまででは無いので、道端でプリッツする訳には行かない。
猫でももうちょっと場所を選ぶゼってもんだよ。

 

幸いにして、その日の私はどうにか難局を乗り切ったのだろうと思う。
泣きながらパンツ洗った記憶は無いので、わざと頭をぶつけて記憶消去をしてない成らばきっとどうにか乗り切ったのだろうとは思う。
だがこの日の私は本当にヤバいくらいに切羽詰まっていたのだ。
R1と言う超絶凄いぜなバイクに乗り、特に用事もないのに街中をウロウロとしていたこの日の私は、この上なく切羽詰まってたのだ。
フフ....周囲の人たちは誰一人として気づいていないだろう。
この美しさと力強さを具現化した芸術作品に華麗に跨る私がちょーウNコしたい事なんて、誰一人として。

のるかそるか。
昔の漫才師に居そうなコンビ名では無く、伸るか反るか=つまりは運を天に任せて大勝負に打って出るか?
或いはやっぱり否か。
私は大きな二つの選択を求められていた。

一秒でも早くトイレへと駆け込む為スロットルをワイドに開けてやるか?
MAX200PSにも達する超絶パワーをリヤタイヤに伝え、最先端の電子制御に助けられながらコンマ一秒でも早くコンビニのトイレへと駆け込む為スロットルをワイドに開けてやるか?

だが、これには大きなリスクが有る。
スロットルを開ける程、指数関数的に増大する事故のリスク。
そして、白バイやパトカーによる取り締まりを受けるリスク。
この2つの大きなリスクが有る。

1秒、否、コンマ1秒をも争う切羽詰まった状態。
今にも尻からこんにちわしそうな、そんな切羽詰まった状態。
タケノコ掘り名人なら躊躇なくクワを振り下ろすような、今にも尻から立派なタケノコが顔を出しそうな、そんな春を感じさせる危機一髪状態。
事故を起こすのは勿論の事、白バイに止めらたならもはや手遅れなのは明らかだ。
へっ!汚ぇ花火だぜ、は避けれない。
青切符で尻を拭く、そんな悲劇に見舞われるのは必至。
被害は余りにも大きすぎる。
余りに高い便所紙だよ。
イカリスーパーでもそんな高い紙は売ってないよ。

 

大きなリスクを背負いこんででもコンマ一秒でも早くトイレへと駆け込むか?
或いは急がば周れの先人の教えに従って、スロットルを抑えて安全第一にトイレへと向かうか?

バイクに乗っていると、その瞬間、その刹那が選択の連続と成る。
時に命をも左右する、大きな大きな選択を求められる。
泣きながらパンツを洗う事態を回避するには、どの選択がベストなのだろうか?

さて私の選択は如何に。

 

と言う訳で、長い事放置してたくせに唐突に長々したお上品な話を投下したこのブログは、2023年3月よりぼちぼちと再始動するので、まぁまぁ適当に相手頂ければと。
今どきブログってのもなぁ、って気は大いに有るかも知れないけれども、まぁそんな事を言わずにお付き合い頂ければ光栄でございます。

では、適当にお一つ。
あ、生きてるから大丈夫だよ。
んじゃまた。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy