何万kmも整備してないバイクに付け加えたい整備ポイント-前編

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中古のセローを買った人が居る。
5万キロ程走った中古のセロー225を。

0904serow225

セロー225が欲しいなら言ってくれたら適正価格で売ってあげるのに。
私はそれを足しに250を買うから。
なんて言いつつも、整備済みとやらの中古セローを整備してたのだ。

整備済みと言っても千差万別。
それこそバルブクリアランスの調整までやるショップも有れば、ざっとプロの目線でさらっと目視して終わりと言う職人の店まで様々。

実際の所、ブレーキフルードが入ってりゃブレーキは効くし、ピポッドのグリースがちょっとくらい切れててもだからどうって事も無いのは確かだ。
だから、目視してチェーンがデロデロに弛んで無かったり、ブレーキパッドの残量が有ればそれでイイじゃ無いかって、それは強ち間違いでは無い。
それで整備済みと謳うのはどうかとは思うけど。

・ステム、ピポッド、リンケージのグリスアップ
・ホイールベアリングの点検及び交換
・フォークオイル交換
・ブレーキフルード交換
・クーラント交換(水冷の場合)
・エアクリーナーエレメントの清掃、或いは交換

これらの油脂類と冷却水の交換、最充填に加えて点検項目としては

・インレットパイプの亀裂点検
・燃料、バキューム等のホースの点検
・フォークダストシール、及びフォークオイルシールからのオイル漏れの点検
・チェーン、スプロケットの点検
・ブレーキパッドの点検
・ディスクローターの点検
・タイヤとホイールの点検
・保安部品の点検

それにさらに、サイドスタンドやシフトリンケージのグリスアップとボルトの点検

概ねこれくらいやっておけば正体不明の中古車でも大丈夫だ。
流石にカムチェーンからクランクの点検までは現実的では無いけれども、正体不明な中古バイクを買ったらこれくらいはやっておきたい。
現実的に、中古バイク店にここまでの整備を基本の納車整備料金でやれってのは難しいかも知れないけれども。
さらに新品バッテリーにも交換してくれる店も有るみたいだけど、そりゃ中々大変そうだとつくづく思う。

上記に加え、特にセローに限った話ではないけれども何万キロも走ったバイクの場合、エアクリーナーボックス内の点検もその項目に加えておきたい。
具体的には、エアクリーナーボックスにオイルが溜まって無いかの点検を。

ココに溜まるオイルの出所はクランクケース、もしくはシリンダーヘッド辺りのブリーザーから吹いたオイルミスト。
それが原因。
勝手に油が湧き出した訳でも無く、ましてCIAの陰謀なんかとも関係無い。
自分のエンジンから吹いたオイルが溜まっただけの事だ。

特に目新しい環境対策が成されてないセロー225の場合、ブリーザーからのホースは単にエアクリーナーボックスへ繋がる一般的な構造をしている。
ブローバイガスを吸気して再燃焼させる、特にどうと言う特徴の無い一般的な構造だ。

新車のうちから多かれ少なかれブローバイガス=要するにピストン/ピストンリングとシリンダーとの隙間から漏れた燃焼ガスの吹き抜けは有るものの、何万キロも走ってヘタったエンジンはそのガスの吹き抜けがどうしても増えてしまう。
で、そのガスが増えたら同時に噴出すオイルのミストも増えてしまう訳だ。
結果的に、エアクリーナーボックス内にオイルがたぷたぷに溜まってしまう事に繋がるのだ。

だから、エアクリーナーボックスにオイルだたぷたぷ溜まると言うのは、既にエンジンがヘタってると言える。
要修理。

だが、純正部品としてシリンダーが欠品してる以上、正攻法では直せないのが実情だったりする。
通常は、新品のシリンダーとピストン一式を交換するのが今時の正しいエンジン修理なのだが、肝心のシリンダーが欠品なのでスマンかった。

勿論純正のオーバーサイズピストンなんて存在しない。
今時そんなエンジンは早々無いけど。

しかしATV用の変なピストン使わなくても、今時は社外品のXT225用の0.25mmOversizeのピストン/リング/ピンの一式セットが手に入るので心配は無用だ。
お値段は大体4000円程とお求め易い価格。
正体もメーカーも不明、多分中国製だけどこのピストン一式とシリンダーを内燃機屋に送ればシリンダーを直してもらえる。
自分でやるのは凄く手先の器用な人でも無理な話だからご免なさい。

ちなみに、井上内燃機の料金票によると、単気筒225ccのボーリングは11,644円。
意外と安いが、5MP以降はアルミのメッキシリンダーなので再メッキが必要だ。
もしくは再メッキだけでオッケーな場合も有るかも知れない、けどそれでも結構高い。

これのメッキが概ね30,000円~くらいとちょっと高いのが難点。
大量生産してるシリンダー製造工場ならともかく、シリンダー一個をメッキするのは結構コストが掛かってしまうのだ。
だって新品のシリンダーって5万円程で買えたんだから、そりゃちょっと高いよってなもんだ。
鉄製のシリンダースリーブなら、オーバーサイズピストンに合わせて研削研磨してクロスハッチ刻んでやればそれで良いのだけど、アルミシリンダーの場合はメッキしない訳には行かないので何かと大変。
4TG時代の鉄スリーブ入りシリンダーを中古で手に入れ、それを外注で加工して貰うのが結局安上がりかも知れない。

したがって、正体不明のピストンを受け入れるならば、概ね5~6万円くらいでかなりヘタったシリンダーでも直す事は可能だ。
現状で新品のセロー225用シリンダーが入手出来ない以上、これが現状取り得る正しいセローのエンジン修理の手法だろう。

だがここで持ち上がるのが、果たしてセロー225のエンジンをそこまで手間と金を掛けてシリンダーを再生させる必要が有るのかと言う事。

通常、シリンダーがヘタって圧縮が抜ける状態に成ると、クランクにも相応のダメージを負ってる事が考えられる。
ヘッドに関しても、バルブやステムガイド、バルブシートの磨耗も起こってるだろう。
さらにはクラッチからミッションの駆動系も。
つまり、シリンダー直した所で他の所もヘタってるので、それじゃ済まない訳だ。
だから5~6万円ほど掛けてシリンダーとピストンの圧縮を直したとしても、それでエンジンが直ったとは言えないのが現実。

さらには、そこまでエンジンが消耗する程使い込んだバイクなら、ホイールベアリングにステムやピポッドのベアリング、フォークのメタル類のダメージも考えられる。
要するに、圧縮抜けるくらいにエンジン使ったバイクは、一箇所直した程度じゃ済まないって事だ。
世の中は中々に手厳しい。
心臓だけ元気に成っても、足腰がボロボロで頭もボケてりゃどうしようも無いのは、人もセローも一緒の話だ。

何かしらの理由が有ってセロー225を完璧に直したいのならば好きなだけ思う存分コストを注ぎ込んで頂ければ結構なのだが、そうでない多くの方の場合は....

まぁ、エンジン掛かって普通に乗れたらそれでイイや

と、割り切った関係を築く事もまたアリなんじゃ無いかと思う。
それはそれでアリじゃ無かろうかと。
世の中何でもかんでも完璧じゃ無きゃダメだって道理は無いのだから。
割り切った関係も、それはそれでアリじゃ無かろうかと。

と言う訳で、前置きがやらたと長く成ったので本編は後編へ続く。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy